映画評 評論

【映画記事】「宇宙でいちばんあかるい屋根」について「天道語録」を添えて解説

2020年9月13日

 

さて、今週も映画を見てきましたので、その感想を語っていきたいと思います。

ということで「宇宙でいちばんあかるい屋根」の話をしたいと思います。

 

 

この作品の要点整理

  • 宇宙でいちばんあかるい屋根。それはどこか?
  • 「家族」となる。
    そのことで最も大切なこととは?

「宇宙でいちばんあかるい屋根」について

基本データ

  • 公開 2020年
  • 監督・脚本 藤井道人
  • 原作 野中ともそ「宇宙でいちばんあかるい屋根」
  • 出演 清原果耶/伊藤健太郎/吉岡秀隆/桃井かおり ほか

あらすじ

14歳のつばめ(清原果耶)は、父親と血のつながらない母親との3人暮らし。

両親に子供ができたことから生まれる疎外感とともに幼なじみの大学生への恋心も抱いていた。

ある日、つばめは唯一の心休まる場所だった書道教室の屋上で派手な老婆がキックボードに乗って空を飛んでいる姿を見かける。

つばめは「星ばあ」と呼ぶことになったその老女に恋や家族の話をするようになり……。

Yahoo映画より抜粋

「宇宙でいちばんあかるい屋根」を探す物語

作品の総評

 

まずは、はじめに僕の総評からいうと。

非常に丁寧に作られていて、月並みな言い方ですが「素晴らしい」と言わざるを得ない作品だったと思います。

 

この作品、例えばウィキペディアなどでは「ファンタジー」として分類されていて、確かに「星ばあ」と出会う「習字教室」での屋上のシーン。

ここではかなり「非現実」的な画面構成がなされていますが、実際この作品が我々に訴えかけるテーマは「普遍的」なものである。
このギャップで非常に引き込まれてしまいましたね。

 


編集長
ていうか、ぶっちゃけるとこの作品、実は非常に「現実的」な話でもあるんですよね

 

 

この作品が我々に訴えかけるのは「見方を変えれば、そこが最も”あかるい場所”」なんだと。
今いる自分の環境・境遇を肯定してくれる、まさに「背中を押してくれる」作品だったと思います。

ということで、ここから詳しく作品を因数分解して語っていきますね!

 

 

ポイント

✅「ファンタジー」なシーンはあるが、非常に「現実的」な物語であり、メッセージに溢れた作品。

 

ここから物語の核心に触れるので注意!!

 

節目がちな少女、だからこそ見えたもの

 

この作品の主人公である「つばめ」はファーストカットから節目がちな少女だ。

どうやら「彼氏(誠)と別れたことについて陰口を言われている」ということ。
両親の間に新しい家族ができる、そのことへの不安。
そして隣人の「享」へ淡い恋心を抱き、ラブレターを渡す。

そして、それを勢いで渡してしまったことへの「後悔」に苛まれている。

彼女は「自己肯定感」が物語の冒頭、非常に低いのだ。

 

そんな彼女が出会った「星ばあ」
そんな「星ばあ」が「書道教室」の入るビルの屋上に突然出てくる。

 

あらすじでも書いたように、「屋上」はつばめに取って唯一の心休まる場所なのだ

 

この「星ばあ」のしょっぱなから「気を使わない」そして「口が悪い」ことなんの。
このあまりの態度には劇場から笑いが漏れてたりしましたが。

ただこの星ばあ、つばめとは真逆でその目は真っ直ぐ、ある種自信で満ち溢れているのだ。

 

そんな星ばあの持ち物であるキックボード。
これに乗る星ばあの姿をつばめがどのようにみるのか?

 

ここまでつばめは色々な景色を下から見ていた。
つまりそれは節目がちだったということだが、このシーンではそれを逆手に取り、水溜りに映る星ばあ。
その姿を水溜り越しに見たとき、星ばあが夜空でキックボートに乗って見えたのだ。

 

この冒頭で「節目がち」というのを逆手に取り、つばめが星ばあに興味を抱くきっかけにする。
逆にいうと、「節目がち」だったからこそ、つばめは自分の人生を変える星ばあと出会うことができたのだとも言えるのだ。

このシーンでいう「後悔」について、実は物語のラストでその「後悔」についての伏線も回収されるのだが、それもここで周到に用意していうるなど、振り返ればこの冒頭は非常に重要なのだ。

 

星ばあのいう「後悔」

本当に好きなら「手紙」ではなく「言葉」で示せ。
「手紙」を出してしまったことへの「後悔」は本当の「後悔」ではない。
行動して初めて「後悔」するということになるのだ。

 

ちなみに話は前後するが、この物語の最初のシーン。
それは空から住宅街の屋根を映している、それが一体何を意味しているのか・・・。

こうした物語全体を見終えた際に、実は大切だったのだと振り返って感動できる要素が冒頭から盛り沢山なのもこの作品の特徴なのではないだろうか?

 

 

ポイント

✅様々な要因で節目がちな「つばめ」

✅「つばめ」が節目がちだった。だからこそ「星ばあ」が空を飛んでるように見えた。

✅節目がちだったからこそ見えたものが描かれたり、振り返ると重要なものが描かれる冒頭。

自分が変われば世界が変わる!

 

節目がちなつばめが、星ばあとの邂逅を通じて少しずつ世界と向きなっていく物語。であると今作を要約できるが、それと同時に様々な「屋根」についても描かれる。

この物語における「屋根」とは一体なんなのか?

 

つばめは問いかける「自分の生まれた”屋根”はどんな”屋根”なのか?」
星ばあは「どんな”屋根”にするのか、それが大切」だといった。

この「屋根」とは言い換えれば「居場所」ということだ。

 

 

冒頭での「屋根」を上空から撮っていくシーン。
これは言うなれば「屋根」の集合体でもあり、それは「家族」の集合体だと言える。

そして書道教室の屋上から町を見渡し、様々な「屋根」を「見下ろす」
これは、様々な「家族」がこの世界には溢れていて、その一つ一つが「宇宙でいちばんあかるい屋根」になり得る。
そのことをずっと暗示しているということだ。

 

つばめにとってこの家は、当然物語の序盤では「あかるい屋根」ではなかった。
父親と小さい自分をおいて母親は出ていき、そして父が「麻子」と再婚。

そしてその麻子が子供を身籠る。

そのことで徐々に自分が「愛されないのでは?」という疑念に駆られ、自分の殻に閉じこもっていく。

 

ココがポイント

「愛されない」ことへの恐怖心。

その思いから、つばめは「愛されたい」からこそ享に「ラブレター」を送ったのだ

 

 

その思いから、つばめは、自分と父を捨てた本当の母であり水墨画家の「山上ひばり」と出会うも、ひばりが新しい家族と幸せそう暮らしている(あかるい”屋根”がある)。

それを見てつばめは、「自分の居場所が世界にないのでは?」と疎外感をより強めてしまうのだ。

 

さらには思いよせる享も交通事故にあい足を負傷。

どんどん暗い出来事が彼女を襲うのだ。

 

ここで問いかけられる、この作品のポスターでも強調されるメッセージ。
「ねぇ星ばあ、私はどんな屋根の下で生まれたんだろう―」
このセリフがどんどん重たい意味を帯びていく。

 

これは自分の境遇をある意味で嘆くセリフだ。
自分が本当の母親に捨てられたこと、父の再婚相手に子供ができる。
そのことで自分は「ひとりぼっち」になってしまう。

それは全て「境遇」のせい、つまり「生まれた屋根」のせいなのだと。

 

だがこの作品では星ばあはその考えを否定する。

むしろ大切なのは「自分がその屋根でどう生きるのか?」だと。

 

 

実はこのメッセージで僕はある作品の最終回を思い出した。
それは「仮面ライダーカブト」の最終話でのエピソードだ。

 

「人間は変われる。人間もネイティブもあるものか。
この世界に生けとし生けるもの、すべての命はみな等しい。他者のために自分を変えられるのが人間だ。
自分のために世界を変えるんじゃない。自分が変われば世界が変わる。それが天の道」

天道総司のセリフ

 

ちなみにこの名言も天道語録と話題になり、作中で天道総司(水嶋ヒロ)がおばあちゃんに言われたことを引用するセリフなのだ。

 

編集長
奇しくもどちらも「おばあちゃん」が寄与しているというね

 

この星ばあ、そして天道語録。
どちらも重要なのは、「自分が変わる」そのことの重要性を説いているということだ。

 

そして嘆くだけではなく、星ばあの後押しもあり、つばめは自ら勇気を出し、両親に謝罪し、実は自分が愛されていたことを再確認する。
そして新しい家族と、両親。

自分の居場所は「この屋根」なのだ。
そのことを理解し、この「屋根」を「宇宙でもっともあかるい屋根」にしようと。

つまり「自分が変われば、世界が変わる」を体現するのだ。

 

だからこそ最後の糸電話。
ある意味でこの作品でもっともファンタジーなシーン。
もしかしたらあれは、つばめのみた「夢」なのかもしれない。

だが確かに星ばあとの繋がりを意識させるシーンに繋がるのだ。

「ここが”宇宙でいちばんあかるい屋根”だろ?」

きっとそういったに違いない。

 

そしてこれは当然、我々にも届くメッセージにもなっている。

自分のいる境遇を嘆くだけではない、少しずつ前向きに行動して、自分を変える。
そうすれば「世界は変わって見える」
つまり「もっともあかるい屋根」になるのだと。

この映画はそんなメッセージに溢れているのだ。

 

 

 

ポイント

✅今いる場所も、見方を変えれば・自分が変われば「宇宙でいちばんあかるい屋根」なのかもしれない、と我々の背中をおす作品

 

星ばあについて

 

この作品で星ばあはつばめを導く存在だ。
だがある意味で、星ばあは「自分ができなかったことで生じた”後悔”」をつばめにはさせたくない。

自分に似た境遇の彼女にさせたくないと思っていたのではないか?

 

「後悔」それは「行動してからするもの」
そういった星ばあは実は「それができなかった」のだ。

 

でも行動することの大切さを知ったつばめが最後に星ばあの願いを叶える。

つばめは導かれる側から、最後には導く側に変わったし、それは逆に星ばあの立場も逆転したとも言える。

 

 

 

 

ポイント

✅星ばあは、導く側から、導かれる側に変わっていたのだ

 

 

今作を振り返って

ざっくり一言解説!!

自分が変わることの大切さ。
今いる場所がもっともあかるい場所になる。
というエールをくれる作品!!

清原果耶、桃井かおりのコンビが尊い作品!!

まとめ

 

人間誰しも「環境」「境遇」のせいにしがちな生き物だ。

「何々があった、だからだめだ」と。

だけど、そこから一歩踏み出して、実際に動いてみる。
そのことで自分が変化できる。

 

自分の世界の見方が変われば、それは「世界を変えること」と同義なのだ。

そして、今いる「屋根」の下、そこが「もっともあかるい場所」にもなり得る。

 

今作のファーストカットで描かれる数々の屋根。
その屋根それぞれが「宇宙でもっともあかるい屋根」なのだ。

非常に優しいメッセージに溢れた一本でした。

 

あと評論とは関係な伊ですが、清原果那さん。
この人の歌声が素敵すぎて、ビビりました。

今後最注目(もうされてるか)な女優さんにもなるでしょう!!

 

 

ポイント整理

  • 自分が変われば、そこが「宇宙でもっともあかるい屋根」なり得るということ。
  • 星ばあがつばめを節目がちな少女ではなく、前向きな少女に変えた。
  • 最後にはつばめが、星ばあに幸せを運ぶ存在になる。

 

 

ということで読了ありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう。

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