
いよいよ年末が近づいてきましたが、今日も新作映画について語ります。
ということで、「魔女がいっぱい」についてです!

この作品のポイント
- 少しだけ意地悪な点があるのは「チャーリーとチョコレート工場」と共通している。
- 子供向けなのでだいぶマイルドだけど、「ギレルモ・デルトロ」色は出てます!笑
- とりあえず最近映画見てないけど、何か見たい!って方にオススメ作品。
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目次
「魔女がいっぱい」について
このCM見て映画館で見ると、「驚くかも・・・」
基本データ
チェックリスト
- 公開 2020年
- 監督 ロバート・ゼメキス
- 脚本 ギレルモ・デル・トロ/ロバート・ゼメキス/ケニヤ・バリス
- 原作 ロアルド・ダール 『魔女がいっぱい』
- 出演 アン・ハサウェイ/オクタヴィア・スペンサー/スタンリー・トゥッチ/クリス・ロック ほか
あらすじ
1960年代、とある豪華ホテルに現れた、おしゃれで上品な美女。
しかし、彼女の正体は誰よりも危ない邪悪な大魔女(グランド・ウィッチ)だった。
この世に魔女は実在し、世界中に潜んでいる。
いつまでも若く、おしゃれが大好きな魔女たちは、人間のふりをして普通の暮らしを送りながら、時々こっそりと人間に邪悪な魔法をかけている。そんな魔女たちの頂点に立つ大魔女が、魔女たちを集め、ある計画をもくろんでいた。
そして、ひとりの少年が偶然魔女の集会に紛れ込み、その計画を知ってしまうが……。
映画.COMより引用
娯楽作品として優秀

全体的に、シンプルで「楽しい物語」
この作品は、とにかく「久しぶりに映画が見たい」
「でも、何を見たら良いのか?」
と悩まれてる方にこそオススメしたい。
非常にシンプルな物語構造であり、そして娯楽作品として良くできた作品だと言える。
物語は至ってシンプルだ。
世界中の人間に混じって生活している魔女。
彼女たちは「子ども」が嫌いで、いかにその数を減らすか?
そのことに苦心している。
そこで魔女の大ボス「グランド・ウィッチ」は世界中の子どもにお菓子を配って、そこに薬を仕込んでおく。
それを食べた子どもを「ネズミ化」させる、という計画を立てる。
そして主人公である「ぼく」や食いしん坊の「ブルーノ」そして「デイジー」はネズミにされてしまうが、そこから魔女たちの計画を挫くために立ち上がる。
その姿をコメディーを交えて描いている。
ある意味で、この作品はこれだけの話だ。
シンプルで、でも作劇として面白い。
これはいい意味でだが、「普通に面白い」と言える。
逆にこういう評論とか感想にすると、ちょっと困るというか・・・笑

変わった映画の楽しみ方ですから笑
ということで、まず総評として、「何も考えずに見て、楽しめる」
そこは間違い無いですし、久々に映画館で映画を見よう!
って方には、間違いなくオススメできちゃう作品だと言える。

マイルドながら描かれる「デルトロらしさ」
しかしこの作品、確かに「癖」も強いところがありまして・・・。
それが制作に名を連ねている「ギレルモ・デル・トロ」
2017年には「シェイプ・オブ・ウォーター」で監督賞を取っていたり、日本の漫画・アニメ通としても有名な方ですが。
彼の描いたクリーチャーデザイン。
確かに今作のデザインは確かにマイルドになっているが、とは言え「悪趣味感」は随所に現れている。
個人的に「魔女」の真の姿。
スキンヘッドに掻き毟ったような傷、裂けそうな口。
鉤爪のような三本の鋭い爪。
指のない足。
個人的には「スプライス」のドレンに通ずる「気持ち悪さ」は感じましたね。
まぁ、もちろん「子ども向け」なのでだいぶマイルドです。
そして、個人的にはグランド・ウィッチの最後の顛末。
その醜悪な姿もまぁ、悪趣味感満載というか。
他の魔女は普通に「ネズミ」になるのに、グランド・ウィッチだけは違う。
彼女を演じるアン・ハサウェイの雰囲気をトレースしたネズミになっている。
普段のデル・トロよりも抑えらて入るが、でも確かに彼が制作に一枚噛んでる。
それは十二分に感じられる作品にはなっている。
なのでSNSなどで、「思ったよりもグロい」などという意見が上がる。
それもまぁ、理解できなくもないです。

「チャーリーとチョコレー工場」にも通ずる点
ちなみに今作の原作者はロアルド・ダール。
彼の作品で有名なのは「チョコレート工場の秘密」という作品があるが、そこと通ずる点も今作では見受けられた。

トンデモ日本描写が楽しい作品なので、一度見るべし!
それは何か?
そこはすごく意地悪な指摘にもなるが、「欲張り」というのが悲劇を産むという点だ。
「チャーリーとチョコレート工場」でも顕著だった、欲張るからこそ痛い目を見る。
今作は確かに「魔女が子どもを、この世界から消すため」という悪意に満ちた策略があるが、それでも、食いしん坊のブルーノはチョコレート欲しさに騙され、まんまとネズミに変えられてしまう。
そういう描写も確かにある。
もちろん、それ以外にネズミにされる子どもたちは、悪意によって半ば事故的な面があるが、しかしそれでも「欲張り」が悲劇を生むという点を描いているのは、両作共通している点ではないか。
そしてもう一つは「家族」というあり方を指摘している点だ。
当然「チャーリーとチョコレート工場」でも「ウィリー・ウォンカ」と、その父との確執。
工場に招待された子どもと家族のあり方に疑問を呈す描写は枚挙にいとまがない。
それは今作にも引き継がれている。
例えば、今作の主人公「ぼく」は物語冒頭の事故で家族を失い、祖母に預けられ、それでもどこか心を閉ざす部分もあった。
そして孤児院から脱走した頃、ネズミに変えられてしまった「デイジー」
そして、前述した「ブルーノ」もまた、親から「欲張り」であるが故に邪険に扱われ、最終的には、ネズミに変えられた彼を拒絶することになる。
このように、子どもたちは全員が家族を失っている。
彼らが、「ぼく」の祖母と最終的に「血は繋がらずとも、でも家族という共同体」を形成することでこの物語は幕を下ろす。
この物語は例え、姿が違えど、血の繋がりがなくとも。
それでも「家族になり得る」ことが出来る。
というのを描いている作品だ。
このように、実は原作者が問題提起している点は、今作でも引き続き描かれていると言える。
アン・ハサウェイの演技がすごい!
今作品の魔女たちは、上記の画像のように非常にお洒落で、品のある姿で人間界に潜んでいる。
魔女たちは日夜、人間の子どもを根絶やしにしようと目論見、その計画を着々と進行させている。
そんな彼女たちが「NPO」的組織という体裁で、ホテルに入ってくるアイデアが個人的にはツボでしたが。
そして、一度その正体を表すと、邪悪。
そして醜悪な姿をしている。そんなギャップが描かれるのだ。
口が大きく裂け、歯茎が露出する、はげた頭に、掻き毟ったキズ。
そして鉤爪。
前述したが、デル・トロが噛んでるのが一目瞭然な姿だ。
その中でも最も美しく、そして最も醜い魔女をアン・ハサウェイが好演している。
ある意味、ここまでやるか?
と思えるほどに楽しそうだし、女優としてまた一つ大きく成長するキッカケになる作品になるのではないだろうか?
元々、アイドル的というか、その美貌でイメージづけられた「パブリックイメージ」通りの役柄にしかキャスティングされてなかった感もあるアン・ハサウェイ。
それを逆手に取った「オーシャンズ8」での演技もありましたが・・・。
かつてのイメージを払拭・逆手に取ることで、さらに魅力が増してることは間違いないと言える。
今作を振り返って
ざっくり一言解説!!
娯楽作品として間違いなくオススメ!!
まとめ
ということで、今作は「娯楽作品」として単純にオススメできる。
誰が見ても楽しめる作品だったのではないか?
だが、その裏側には確かに「教訓」めいたものや、問題的などもしっかり描かれている。
冬休み映画として、まずは家族で楽しめる仕上がりだ。
でも、そこに確実に匂う「デル・トロ」感覚もまた、奇妙な魅力として楽しめる。
なかなか奇妙なバランスで出来上がった作品であるのではないだろうか?
そして今作でのオチ。
あえて言及はしないが、問題そのものの解決はできずとも、ものすごくポジティブな終わり方をする。
それは今作で一番大切なテーマ。
「愛」は何にも勝るということをキチンと描くために必要な要素だったのではないか?
まぁ確かに「それで終わり?」ってなるにはなるんですけど、この終わり方も含めて、この作品の大切な要素だったと個人的には肯定的に見ました・・・。
皆さんはどう感じるのでしょうか?
まとめ
- 娯楽作品として面白い!
- その裏に描かれる「メッセージ」は同原作者の「チャーリーとチョコレート工場」にも通ずる点もある。
- オチも含めて、キチンとテーマに沿って描かれていると感じた。
ということで、今回も読了お疲れ様でした。
また次回の記事でお会いしましょう!!