ディズニー総チェック 評論

【映画記事】「ビアンカの大冒険」−不遇だけど、面白い!−【ディズニー総チェック】

2021年2月2日

 

今日も「ディズニー総チェック」

「総チェック」をやっていると、時折現れる「不遇」の作品。
これまでも何本も紹介してきましたが、今回もそんな「不遇」作品語ります。

ということで、取り上げるのは「ビアンカの大冒険」です!

 

この作品のポイント

  • アイデアが非常に面白い作品。
  • 男女格差是正へのディズニーの意思表示。
  • 原作からの「ビアンカ」のアレンジが丁度いい!

「ビアンカの大冒険」について

基本データ

基本データ

  • 公開 1977年
  • 監督 ウォルフガング・ライザーマン/ジョン・ラウンズベリー/アート・スティーヴンズ
  • 脚本 ラリー・クレモンズ/ケン・アンダーソン/フランク・トーマス/ヴァンス・ジェリー ほか
  • 原作 マージェリー・シャープ『The Rescuers』(邦題『小さい勇士のものがたり』)『Miss Bianca』(同『ミス・ビアンカのぼうけん』)
  • 声の出演 エヴァ・ガボール ほか
編集長
エヴァ・ガボールは「おしゃれキャット」のダッチェスも演じている

あらすじ

恥ずかしがり屋だが勇敢なバーナードと、彼のパートナーのキュートなビアンカの2匹の小さなヒーローが、助けを求めてきた両親のいないペニーを救うために大冒険をする。

信頼できるパイロット、アホウドリのオービルの背中に乗って、ビアンカとバーナードは悪魔の沼へ向かう。

そこでは、悪女メデューサが船を基地にし、巨大なダイヤモンドを探すためにペニーを働かせていた。

ディズニープラスより引用

特殊な世界観が魅力

現実とファンタジーの共存

 

以前「総チェック」で「101匹わんちゃん」を取り上げた際、その時点(1961年)での「現代劇」であると述べたが、今作品も公開時点(1977年)での現実を、忠実に再現している作品だと言える。

冒頭、難破した船。
そこから怯えるように甲板に出てきて、メッセージ入りの瓶を海に投げ捨てる少女が描かれる。
そして、その瓶が荒波を超えてニューヨークに流れ着く場面から物語は始まる。

ここで驚かされるのは、ニューヨークの国連本部など、当時のニューヨークが忠実に描かれることだ。
そして、その国連本部の中に、ネズミよって組織された「国際救助救援協会」という組織が存在することが描かれる。
そこに擬人化された各国を代表するネズミがやってきて会議を始める。

 

それ自体は別に驚くことではない。
これまでの「現代劇」で擬人化された動物が活躍する物語は存在した。
それこそ「わんわん物語」「101匹わんちゃん」「おしゃれキャット」など数々制作されている。

ただ今作品はそれらと、大きく異る点がある。

それは「人間」と「擬人化された動物」が言葉を交わせるという点だ。

 

少なくとも先程、例にあげた作品は、「人間の言葉を交わしている」かのように描かれているが、それはあくまで「猫同士」「犬同士」「動物同士」の間でしか成立しない会話だ。
当然、人間には「ワン」「ニャン」としか聞こえない。

だが、今作では、少なくともペニーと動物は言葉を交わしている。
しかも我々の知るニューヨークに近い世界観、つまり現実に近い世界観で、それが描かれる。

その感覚が非常に新鮮な作品だと言える。

そして言い換えれば、これまでの作品以上に「現実」と「ファンタジー」の境界線が曖昧な作品だと言える。

 

 

ここまでの総チェックでディズニーが語れる物語の幅の広がりについて言及してきたが、この作品で、また幅が広がったと言える。

第一に、「わんわん物語」で「ディズニーは新しいおとぎ話を語る側になった」
そして、「101匹わんちゃん」では、「舞台・時代設定に関わりなく、おとぎ話を語れるようになった」

 

さらに、今作品で、さらにその殻をひとつ破った。

それは「現実」と「ファンタジー」の境界線を曖昧にするという語り口を手に入れたと言える。

 

編集長
「総チェック」の流れで見ていくと、その「段階」の変化など興味深い!

 

ポイント

✅「フィクション」と「現実」の境界線が、これまでの作品以上に「曖昧」だ。

男女格差是正を目指す、時代感覚の繁栄

 

さらに特徴的なのは、現実にも少しずつ高まっていく「男女格差是正」という、社会的問題点にも少しだが、踏み込んでいる点だ。

それは「ビアンカ」が救援隊として、任務に出るというのを承認するシーンで描かれる。

この物語の世界観ではネズミたちの組織する「国際救助救援協会」は「助けを求める声」があれば、出動して、救助に向かうことになっている。
今回は冒頭に、メッセージ入りの瓶を流した少女「ペニー」の救出が主な使命である。

 

ちなみにペニーは、孤児院で育ちで身寄りがない。
そんな彼女を骨董品店のがめつい女店主「メデューサー」が拉致し、大人では入れない洞窟にペニーを入れて、「悪魔の目」という財宝を手に入れようと利用する。

そんなつらい日々から逃げるためにぺにーは「助け」を求めている。

 

おすすめポイント

彼女の心情を歌う「明日を夢見て」は名曲だ。
その思いに答えようとする「誰かが待っている」はアンサーソングになっている。
今作品は楽曲も非常にレベルが高い。

 

そんなペニーの救助に、ビアンカが参加を志願するのだが、議長ネズミが「基本的には雄ネズミが行くが、今は『オス・メス』という時代ではない」とハッキリ発言している。

それは現実に「1970年代」史上初の「男女平等裁判」などが行われ、少しずつ「男女平等」「格差是正」を目指す機運の高まりを見せていた。
ちなみに、この「男女平等」を求める裁判は「ビリーブ 未来への大逆転(2018年)」として映画化もされている。

 

 

このような機運の高まりもあり、「男女格差是正」について言及が今作ではなされている。

ただ、これは今の視点から見ればだが・・・。
この議長の「今は、『雄・雌』という時代ではない」というセリフは、それ自体が時代の潮流に、「ディズニーが『目配せ』してます」という恩着せがましさを感じてしまう。
本当の意味での「格差是正」を言うならば、ただ「容認」するという方が正しいのではないだろうか。

もちろん、「男女格差是正」に「ディズニーは意識がありますよ」という意思表明、当時それをすること自体には大きな意義があった、それは間違いないだろう。

 

ポイント

✅「男女格差是正」へのディズニー意思表示が描かれる。

ビアンカとバーナードの凸凹珍道中が面白い

 

今作品で勇敢にも「救援」に志願するビアンカ。
彼女は正義感が強く、一刻も早くペニーを救出しようとする。
かなり真面目で、他のネズミよりも圧倒的に品がある存在だ。

そんな彼女は余りにも育ちが良すぎるのか、若干「世間知らず」的な描写も目立つのだ。

彼女の相棒として救助に向かうバーナードは、「国際救助救援協会」の中では、下っ端だ。
この「世間知らず」と「苦労人」という凸凹コンビが大変良いバランスになっている。

 

編集長
道中の手がかりを発見していく様子は、さながらスパイ映画のようでもある

 

デコボコ感でいうと、飛行機で行こうというビアンカ、だけど彼女は準備に時間を掛けすぎて時間に遅れかける。
それを指摘しながらも、本当は飛行機に乗りたくないバーナード。
この辺りの妙な噛み合わなさも面白いところだ。

 

編集長
ただ、この飛行機(アホウドリ)のニューヨークを滑空し、空を飛ぶシーンは「アラジン」の「魔法の絨毯」級の美しいシーンだ!

 

そして、ビアンカが品のある女性だからこそ「身だしなみ」に気を使うが、彼女は「服にシワが寄る」とシートベルトをしない。
そんなわがままが垣間見えたり。
そして香水をしたせいで、メデューサーのペットであるワニに見つかるなど、品が良すぎて失態を犯すシーンもある。

 

だが、さすがはディズニー。
最後にはビアンカの失態を利用することで、「だからこそ勝利できた」というワンロジックに昇華させ、「香水」を伏線に利用しているのは、なんとも上手いところ!

 

バーナードも正直、華があるというキャラではない。
臆病でビビリだ。
動物園でライオンに吠えられて、結局遠回りするなど、情けない面も目立つ。

だが、臆病だからこそ、弱いからこそ、虐げられるペニーの心情に寄り添い勇気を振り絞る。
そして小さいからこそ、その体を活かして戦う。

今作で「悪魔の目」を発見できたのは、彼らが「ネズミ」だったからだ。

そんな小さきものの勇気が「ワニ」と恐ろしい人間「メデューサー」に勝利をする。
今作品は単純な冒険活劇として、スカッとする、レベルの高い作品だと言える。

 

だからこそ、知名度が低い「不遇さ」が実に悲しい。
そういうボクも、「総チェック」してないと絶対見てなかっただろう。

 

ポイント

✅冒険活劇として「高レベル」な作品である!

 

今作品を振り返って

ざっくり一言解説!!

冒険活劇として、高レベルな作品!

キチンと時代の潮流も捉えようとしている!

まとめ

 

あまり、ディズニーの中でもタイトルの上がらない「不遇」な位置づけの今作品だが、いやはや、こんな面白い作品を知らなかったとは・・・。
恥じ入るばかりである。

 

今作品は、これまで、ある程度のリアリティ。
動物と人間の意思疎通などあまり描かれてこなかったが、今作品ではその境界線を飛び越える。
今まで以上にファンタジー色の強い作品となっている。

だが、そんな曖昧な境界線とは裏腹に、現実の場面。
そこは、我々の生きている世界を忠実に描いており、その辺りのバランスも、これまでにない感覚で描かれている。

 

ちなみに今作は「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」つまり「正史」の作品として、はじめて「続編」が作られている。

その辺りから評価の高さは伺えるが、続編は更に「不遇」である。

作品のクオリティと、世間の評価がこうも一致しない作品があるのかと、思わされてしまった。

 

また、1970年代に機運として高まった「男女差別撤廃」への動きにも反応を示すなど、キチンと時代の潮流を捉えようとしている姿勢は、流石「夢の国」を自認していく企業だと感じた。

この時代の潮流に合わせて、キチンと価値観を刷新していく姿勢、それは現代もディズニーが「エンタメ界の一翼」を担える重要な要素でもあるのだ。

そんな点が垣間見える作品でもあった。

ということで、非常に「レベルの高い」作品である。
それは間違いない!

今まで見てなかったことがもったいなすぎる・・・!!

 

まとめ

  • 非常にレベルの高い「冒険活劇」としてGOOD(でも「不遇」なのが寂しい)
  • 時代の潮流を捉えようとする姿勢が垣間見える。

ということで、読了ありがとうございました!

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