映画評 評論

【2021年新作映画評論】『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』評論!

 

さて本日は2021年公開の新作映画を深堀り・評論をしていこうと思います。

ということで今回は『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』を見てきたので解説したいと思います。

 

編集長
ちなみに前作にあたる『とびだす絵本とひみつのコ』は、
2019年の「個人ランキング1位」に輝いたシリーズですので、
今作にはめちゃくちゃ期待をしておりました!!

 

今作のポイント

  • 前作と同じく、ちょっとブラックな笑いが良き!
  • やはり「深い」問いかけを用意していくる作品

『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』について

基本データ

基本データ

  • 公開 2021年
  • 監督 大森貴弘
  • 脚本 吉田玲子
  • 原作 よこみぞゆり(サンエックス)
  • 出演者 井ノ原快彦、本上まなみ ほか

あらすじ


サンエックス株式会社の人気キャラクター「すみっコぐらし」を映画化し、スマッシュヒットを記録した「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」に続く劇場アニメ第2弾。

とある秋の日、キャンプへ出かけたすみっコたちは、空にいつもより大きく青く輝いている月を発見する。

「5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いたちがやって来て夢をかなえてくれる」という伝説の通り、すみっコたちの町に魔法使いの5人兄弟が出現。

彼らはあちこちに魔法をかけ、町中をパーティ会場のように彩っていく。
楽しい夜にも終わりが近づき魔法使いたちは月へと帰っていくが、たぴおかが魔法使いのすえっコ・ふぁいぶと間違えられて連れて行かれてしまう。

公式サイトより引用

今回も深い問いかけ!

2019年公開の前作にパンチをもらう

 

今作を語る前に語らねばならないのは、2019年に公開された前作『映画 すみっこぐらし とびだす絵本とひみつのコ』についてだ。

というのも前作は公開時には「みるつもり」もなかったが、ツイッターなどSNSで話題になっており、「みないのはもったいない」と思い劇場に駆けつけ鑑賞。

あまりの傑作ぶりににその足で二度鑑賞、さらにBlu-rayを購入するなどしてしまった。

 

 

前作の素晴らしさは「爆発」的な感動ポイントが有ることだ。
しかも、それを「盛り」で表現しない、実はシンプルに「映像」と「音楽」で泣かせるという「引き算」思考で作られていた。

昨今のクライマックスに要素をてんこ盛りにする潮流と反して、シンプルに効果を最大限発揮する作劇にやられてしまったわけで・・・。
まぁその勢いのまま「2019年鑑賞作品ランキング」で1位にしたというね、ものすごい「ダークホース」だったわけですよ。

 

 

しかも作品内で描かれる「テーマ」の深さ。

それを語るにはそもそも「すみっコぐらし」というものの立ち位置に注目しなければならない。

 

というのも「すみっコぐらし」には圧倒的なセンターキャラはいない。
この作品は「サンエックス」という会社が生んだのだが、同社のキャラだと例えば「リラックマ」「たれぱんだ」などが有名だ。

編集長
個人的には「センチメンタルサーカス」もいいと思っている

 

 

この「すみっコ」たちは例えば「リラックマ」のように、表題になるキャラ、いわば圧倒的センターがいない。
彼らはそんなセンターよりも、むしろ「すみっこ」を愛するキャラクターなのだ。

しかもキャラクターそれぞれが、実はちょっとした「負」のような特徴を持っているのもポイントだ。

 

 

例えば常に自分が何者かを考える「ぺんぎん?」
「とんかつ」「えびふらいのしっぽ」は食べ残された存在で、いつか「食べられたいと」願っている。
さらに2019年に大ブームを起こした「タピオカ」
そこからインスパイアされた「たぴおか」というキャラは飲み残された存在であるなど、当時の社会問題をモチーフにしていたのだ。

 

 

そんなある種「中心」には存在しないキャラクターが「すみっコ」なのだ。

前作はそんな「すみっコ」が、絵本の世界で存在できない「ひよこ」
つまり「居場所」のない存在に、世界の「すみっコ」にいる彼らが「居場所」を与える話になっている。

このあまりのテーマ的深さ、映画として「盛り上げすぎない」
品の良さに、たいそう感動させられてしまったというわけだ!

 

 

ポイント

✅前作は映画として「盛り上げすぎない」品の良さが素晴らしい!

✅描かれるテーマも「存在なきコ」に「存在場所」を与える優しさと深さにやられた!

今作もやはり問いかけは「深い」

 

では今作はどうだったのか?

まずおおまかな結論めいたことを先にいうと、たしかに前作ほどの「爆発力」はなかった。

というのも内容としては割と淡白な内容だったとも言える。

 

メインの物語としては今回は「すミッコ」たちが住んでいる世界とは別の世界から、来訪者が来る。
その中のひとり「ふぁいぶ」が仲間とはぐれてしまい、「すみっコ」たちと交流して友情を育む。

至ってシンプルになっている。

ちなみに物語の構成要素も前作と共通だ。

 

  1. キャラは喋らない
  2. セリフは簡単な「文字」で一言字幕
  3. すみっコ世界は「井ノ原さん」、異世界は「本上まなみさん」のナレーションで物語が進行する

 

しかし今作は前作ほどストーリーに大きな見せ場がない。

前作はそれこそ「絵本の世界」い「すミッコ」が迷い込むということで、有名な絵本世界の追体験という面白さが詰まっていた。
だが今作は「異世界」から「すみっコ世界」に「ふぁいぶ」が迷い込む構図。

しかも「とかげ」との交流が主に描かれ、実は前作ほどメインキャラに焦点が当てられない作りになっているのだ。

 

なので確かに「前作」ほどの一気に爆発力には欠ける。
どちらかといえばこじんまりとまとめる方向で描かれていた。

 

しかし今作でも、やはり深い問いかけがあったのには驚かされた。

というのも今作は「夢」とはなにか?
とんでもなく深い問いかけを描くことになるのだ。

 

 

ポイント

✅確かに前作ほどの「爆発力」には欠ける

✅しかし「深い」問いかけは健在!

かなわない「夢」に意味はあるのか?

 

今作に出てくる「青い月夜」にやってくる「魔法使い」
主に「ふぁいぶ」というちょっとドジっ子なコがメインになるが、彼らはある種「魔法」を使える。

 

 

これは「不可能を可能にできる存在」だと言える。
そしてこのことは「願望」を具現化できるともいい換え可能だ。

 

つまり、彼らには「夢」という概念が理解できないのだ。
それは、彼らが夢は何でも「叶えられる力」すなわち「魔法」が使えるからなのだ。

 

 

今作では「魔法使い」とはぐれてしまう「ふぁいぶ」が「とかげ」たち「すみっコ」と交流することで、この世界に住む「住人」にとって「夢」は大事なものであることを知る。

しかし彼らには「魔法使い」と決定的な差がある。
それは「魔法」が使えない、ということだ。
つまり「夢」が叶えられないと考えてしまったのだ。

そこで「ふぁいぶ」は良かれと思ってそれぞれのキャラクターの持つ「夢」を忘れる魔法をかけてしまうのだ。

 

 

つまり「ふぁいぶ」にとって「夢」とは「叶えられないもの」
それは可愛そうなこと。
だったら「忘れてしまうほうが幸せ」と考えたのだ。

 

 

実はこれは「夢」という言葉のウラにある「呪い」の側面に言及しているとも言える。
つまり、このブログで何度も言及していた「夢」とは別名「呪い」の側面があるということだ。

 

編集長
下記の楽曲で「夢、別名呪いで胸が痛くて」というのは、まさに叶わぬ夢の痛みを歌っている

 

 

要は叶わぬ「夢」とは、叶わぬ苦しみ、つまり痛みに変わってしまうということだ。

そんな痛みを抱くくらいなら「夢」など持たないほうがいい、ということだ。

 

もちろん今作ではここまで暗い表現はしない。
しかし「ふぁいぶ」は「叶わぬ辛さ」から皆を開放しようと、良かれと思い皆の「夢」を忘れさせてしまうのだ。

 

今作ではまず「夢」という概念を持たない存在が、「叶わぬ夢」の痛みを消そうとしてしまうことで大きく動いていくことになる。

 

 

ポイント

✅「叶わぬ夢」は痛みに変わる、それを消そうという「ふぁいぶ」の優しさ

「夢」とはなにか?

 

こうして「夢」を忘れた「すみっコ」たち。
ここからの彼らの行動が地味に爆笑だったりするんですが・・・。

 

たとえば「ねこ」は痩せたいという「夢」を忘れて暴飲暴食。
「とんかつ」は「生ゴミ」だと超絶なヤサグレ(ここマジで爆笑)。

などなど、すっかり変わってしまった「すみっコ」たち。
彼らに「夢」を思い出させるための右往左往が描かれる。

 

 

そして「ふぁいぶ」は大きな、学びを得る。
つまり「夢」は叶う、叶わないだけではない。

「夢」があるから「楽しいんだ」
「夢に向かうから、イキイキ見えるんだ」

そんなことを学ぶ。

 

つまり「夢」という概念の本質を知らない「ふぁいぶ」が「夢」の本質を知るという展開が用意されている。

そして最後に「とかげ」の「夢」を皆んなで叶える、そして無事に「魔法の国」に帰る展開になっていく。

 

 

ここも、もう少し劇的にするならば、少なくとも「とかげ」が母と出会ったことがないことにする方が良かったのではないか?
つまり作中で中盤に一度出会っているシーンがあるから、ここに「爆発力」が来なかった。

 

そこは少々残念ではあったが、しかし「ささやかな夢を叶える」という、ある種の「すみっコ」特有の小ささみたいなもののバランスから考えると、これはこれで良かったのかも知れない。

 

ということで、今作は確かに前作ほどの「爆発力」には欠けた。
しかし「夢」とはなにか?
という難しく深い問いかけにぶつかった、挑戦的な作品だったといえる。

 

 

ポイント

✅「夢」は持つことにも意味がある、そのことを教える作品

✅「夢」という概念のなき「ふぁいぶ」が「夢」を知るという深さもよし

✅「爆発力」には欠けるが、「すみッコ」という、ある種ミニマムな存在とのバランスとして見れば、まぁこれでも良いかも知れない。(もったいないとは思うが)

 

 BUMP OF CHICKENの主題歌は映画をまとめる力に満ちている!!

今作を振り返って

ざっくり一言解説

今回も深さは健在!!

勢い、爆発力は前作に劣るが、安定したシリーズ二作目!

まとめ

 

さて今回の『すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』は、たしかに前作級の爆発力は欠けるが「夢とは?」という深い問いかけに、今回も楽しませてもらった。

これを映画館で見た子どもたちが様々な思い、考えを胸に秘めて家路に帰ってくれるのを想像すると、非常にいい映画だったと思わされる。

 

こうした完全に「こどもむけ」と思われる映画にこそ、きちんと深い学びを描くこと、これが大切なのだ。

 

「こどもむけ」と「こどもだまし」は違う。
本気で「何かを伝えたい」という作り手に思いがあれば、見た瞬間は意味がわからないとしても、その記憶は胸に焼き付くはずだ。
そして、成長とともにきっと意味を理解してくれる。

この「すみっコ」の作品には、にそんな思いが込められているのだ。

 

 

そういう意味でこのシリーズの次作にも、当然期待してしまう。

 

ということで、今回も素晴らしい映画体験をさせてもらえました。

 

まとめ

  • 前作よりも爆発力は欠けるが、深いテーマ性は健在!
  • 今作をみた子供が、成長して意味を汲み取るタイプの作品。
  • 「すみっコ」シリーズには今後も期待!

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