映画評 評論

【映画記事】「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」 [新編] 叛逆の物語 を語る!

2021年5月3日

 

さて、今回も先日発売された「魔法少女まどか☆マギカ 10周年」記念の劇場版Blu-ray BOXが発売されたので、その話をしたいと思います。

 

ということで、今回は「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語」を紹介します!

 

 

 

 

この作品のポイント

  • 一見すると完璧な「前作」から、想像以上の作品が誕生!
  • 何をもって「ハッピーエンド」とするのか?
  • 「叛逆」の意味とは?

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語」について

基本データ

基本データ

  • 公開 2013年
  • 総監督 新房昭之
  • 監督 宮本幸裕
  • 脚本 虚淵玄
  • 声の出演 悠木碧/斎藤千和 ほか

 

あらすじ

魔法少女は絶望から救われたのか――

“円環の理”に導かれて、少女たちの新たな物語がはじまる。

鹿目まどか
かつて幸せな日々をおくっていた平凡な一人の少女が、その身を賭してすべての魔法少女たちを残酷な運命の連鎖から解き放った。

まどかへの想いを果たせぬままに取り残された魔法少女・睦美ほむらは、彼女の残した世界でひとり戦い続ける。

「懐かしいあの笑顔と再びめぐり合うことを夢見て――」

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection より引用

一見、完璧な前作からの続編!

序盤から、やはり不穏

 

今作は、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 / [後編] 永遠の物語」からの直接の続編となっている。

 

 

 

 

編集長
前作に関しては上記の記事を見てくださいね!

 

今作は前作のラストからの続編ということだが、どこか冒頭から「不穏さ」「違和感」が漂っているのが特徴だと言える。

 

まぁ、「不穏」「違和感」というと「まどか☆マギカ」は毎回そうなのだが、今回はいつにも増してその要素が強いのだ。

 

 

それは何故か?

 

 

前作のラストで「鹿目まどか」はその身を捧げ「円環の理」になり、すべての「悲劇」に終止符が打たれた世界を創造することになった。
そのことが、「暁美ほむら」(今作の実質の主人公)のナレーションで説明される。

 

 

だが、明らかに前作で死んでしまった「美樹さやか」が違和感なく登場していたり、そもそも「鹿目まどか」が「魔法少女」として登場している。
いきなり冒頭のナレーションと食い違う物語が始まるのだ。

 

そしてしばらく経つと、まるで「前作」の冒頭をそのままなぞる「鹿目一家」のやり取りが行われる。
さらに「暁美ほむら」が転校生としてやってくるなど、前作やTV版の冒頭をなぞる展開。

明らかに「まどか☆マギカ」を知っていると、「おかしいぞ」と「違和感」を抱くシーンが続くのだ。

 

 

そこから、夜な夜な「見滝原市」を襲う「ナイトメア」の存在が明らかになり、まどか、ほむら、マミ、さやか、杏子の5人がどうやら「チーム」を組んで街の平和をも守っていることが描かれる。
さらにマミの相棒に「べべ」と呼ばれる、前作でマミを殺害した「魔女」のような存在がいるのも忘れてはならない。

 

 

編集長
このチーム名が「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット」
という名称なのは、多分「マミさん」センスでしょう

 

 

この魔法少女がチームを組んで「ナイトメア」と戦う展開。
これはこのシリーズが否定してきた、いわゆる「魔法少女モノ的」展開とも言える。

 

 

編集長
ちなみに前作の「前編 始まりの物語」でも、冒頭の40分は外し演出として
「魔法少女モノ的演出」をかなりしていたが、今作はそれよりもさらに、その演出の味付けが濃い

 

 

5人同時の変身シーンなど、しかも大変「可愛らしい」演出がされている。

 

ただし、ここが「まどか☆マギカ」の特徴だとも言えて、というのも変身シーンや、BGMは非情に「可愛らしい」のだが、しかしよく見ると所々、怖いのだ。

 

特に顕著なのが「佐倉杏子」だ。
彼女は自分の表皮を引き裂いて、その中から変身した姿をみせるのだが、「目のアップ」など、とても「正気」と思えぬ「ホラー演出」もされている。

さらに、彼女たちの変身時の背景など、さすが「劇団イヌカレー」と言いたくなる「ゴシック」「ホラー」な要素もきちんと用意されている。

 

 

このようにこの、冒頭だけでも「いないはずのメンバーの登場」「対立していた者同士のチーム化」「魔法少女モノ演出」というシリーズを知るからこその「違和感」「不穏さ」をきちんと描いている。

そういう意味では、やはり油断ならないのが「まどか☆マギカ」だとも言える。

 

 

そして全員が変身後に横並びになり「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット」とチーム名を叫んだり、戦闘中にまどか、マミのコンビ技。
さやか、杏子の連携、そしてほむらのアシストなど、「ド直球」な「魔法少女モノ」らしい展開が続くのだ。

 

ただ、この「ド直球」といったが「ナイトメア」を倒す際の「ケーキ、ケーキ♪」という、歌遊びなど、一体なんだコレ?
という演出もあり、何を見せられているんだ? と脳みそフル回転させられる。

 

これらトータルして、やはり「まどか☆マギカ」らしい展開が冒頭から続くのだ。

 

 

ポイント

✅シリーズを知っているからこそ「えっ!?」となる展開。

✅ストレートな「魔法少女モノ演出」だが、端々に「違和感」「不穏さ」が漂う。

謎解き展開

 

今作はそんな中盤から、暁美ほむらが、この世界そのものに違和感を感じて行動を起こす、いわゆる「謎解き展開」が始まる。
これは先程から何度も繰り返したが「まどか☆マギカ」を知っていると、感じる「違和感」への謎解きだ。

 

 

深堀りポイント

 

そもそもTV版の「魔法少女まどか☆マギカ」の企画立ち上げ時に今作でも監督を務める「新房昭之」しんぼうあきゆき「魔法少女か探偵ものをやってみたい」口にしていたことから企画が立ち上がっている。

そのため、ほむらの謎解きは、おそらく「探偵もの」という、そもそものアイデアを使っているのだろう。

 

 

ほむらはまず、「違和感」の一つである、「べべ」の尋問を行う。
そこで彼女は「鹿目まどか」による、世界再編前の記憶を思い出すのだ。

 

そこから巴マミとの、超絶怒涛の魔法バトルは、今作最大にアツい展開だ。
「時間停止」というチート級の能力者ほむら。
それを経験と予測で対処するマミ。

 

銃火器による近接戦闘は、「ガン=カタ(Gun Kata)」(2002年制作の米国映画「リベリオン」の用語)の進化系とも言うべきスピード感で描かれる。
しかもそこに流れるBGMもまた、素晴らしくアツい。
そして想定よりも作り手のテンションがドライブしたことにより、ここは「シリーズ」にとっても最も「アツい」見せ場だ。

 

 

編集長
ちなみに、この「魔法少女」といいながら「得物」は「銃火器」というのも、
よく考えれば「違和感」ありありといえる

 

 

などなど、中盤から「謎解き」「アクション」とドンドン作中に引き込まれていく手腕は本当に見事だと言わざるを得ない。

 

そして真相に近づくに連れ、世界が狂っていく「サイケデリックな様子」もキチンと描かれる。
その中でも序盤から、時折登場している「偽街の子供達」などの存在感もどんどん増していき、見ている我々は、そのすべてを目にして「あぁ、『まどか☆マギカ』見てる」という気持ちにさせられる。

こればかりは、もう言葉では説明できないので、見て確認してもらう他ない。

 

 

ポイント

✅「謎解き」「アクション」そして、「世界の崩壊」の様子など、それらすべてが組み合わさって「まどか☆マギカ」を見ている感覚が強まる。

中盤以降、「正当な続編」として物語が進む。

 

今作はちょうど「半分」に差し掛かる辺りで、「真相」が明らかにされる。

存在しないはずの「鹿目まどか」「美樹さやか」がいること。
そして、「べべ」という、本来の世界ではあり得ない存在。

ほむら以外は、「再編される前」の世界を知らない。にもかかわらず「まどか」の存在を、皆が受け入れている。

 

これらの手がかりでついにほむらは、真相にたどり着くのだ。

 

 

「ここは、魔女化した自分の作った世界だ」と。
より正確にいうと、魔女化した自分の「ソウル・ジェム」の内側に作り出した世界だったのだ。

 

 

この劇場版が開始してから、我々が見ていた世界は、全て「ほむら」の作り出した世界で、彼女の「深層心理」を反映していたのだ。

 

そう思うと、最初の「魔法少女モノ」らしい展開などをみると、本当は「殺伐」とした人間関係ではなく、「皆で協力したい」と思っていたのか?
と、ほむらの本当の思いを伺い知ることも出来るのだ。

 

 

 

では、この世界を作り出すために暗躍していたは誰か?
その犯人が「キュウべえ」もとい「インキュベータ」だ。

 

 

彼らは元々「魔法少女」を「魔女化」させるシステムを考案し、そしてその際に発生するエネルギーを回収していた。

 

だが、前作で「まどか」による介入により、「魔法少女」は「魔女化」する前に「円環の理」に導かれるようになった。
そのため、エネルギー回収の効率が著しく下がっていたのだ。

 

 

だからこそ「ほむら」を使い、彼女を「魔女化」させ、その間際にやってくる「円環の理=まどか」という現象を視認して、解明しようとしていた。
そして、そのある種「宇宙の物理法則」ともいうべき事案に介入しようと画策していたのだ。

 

 

今作はまず「キュウべえ=インキュベーター」が、まどかの作った「新世界のルール」「法則」への「叛逆」という面が描かれる。

 

深堀りポイント

 

作り手は、今作を「スター・ウォーズ EP5 帝国の逆襲」になぞらえて、「キュウべえの逆襲」というタイトルにしようとしていたとか・・・。

「叛逆」というワードは、もしかしたら、その名残かもしれない。

 

 

しかし、「円環の理」は、「インキュベーター」の介入も察知しており、「美樹さやか」「べべ」そして、記憶を失わせた「鹿目まどか」の一部分を、ほむらの作り出した世界に紛れ込ませていたのだ。

 

今作はそのまま「魔女化したほむら」と「魔法少女」が、ほむら救済の為に力を合わせて戦う。
「前作」では対立していた者たちが、協力して戦うのだ。
そして、それぞれに多くの見せ場を用意している。

 

さやか、杏子という「同じ辛さ」を抱えたが、本編ではわかりあえなかった2人の協力シーン。

本編では、呆気なく死んだが、ホントは強いところを見せつけるマミ。

 

 

編集長
彼女の「ティロ・フィナーレ」はいよいよ、
いい意味で「馬鹿なのか?」と思わせる演出になっているのに注目!

 

 

そして、前作では「ループ中」の時にしか「魔法少女」にならなかった「鹿目まどか」の活躍などが描かれる。

 

つまりこの展開自体は、ファンサービスに富んだ、「これぞ続編」という余りにもストレートな展開に変化していくのだ。

 

 

ポイント

✅「真相」が明らかにって以降から、作劇は「あまりにも正当な続編」として進んでいく。

✅第一の「叛逆」は「インキュベーター」による「円環の理」への介入を意味する。

予想不可の終盤

 

そして、今作で「インキュベーター」の目論見をくじくことになり、ついに力尽きた「ほむら」を「円環の理」つまり「まどか」が迎えにくる。

 

 

ある種ほむらが「前作」から続けてきた長き戦いに「終わり」が来るのだ。
それは彼女にとって「唯一の救い」であり「幸福」なのだ。
「まどか」という存在と「円環の理」として一緒になる、その時が来る。

 

 

「死」「消滅」という瞬間だが、それは同時に「安らぎ」でもあるその時が来る。
だが、ここで「ほむら」は「まどか」を引きずり込み、彼女を真二つ裂いてしまうのだ。

 

純粋に「宇宙の法則である”まどか”」と「人間だった頃の”まどか”」に・・・。
そして、彼女は途方もない「まどか」への「愛」で、「世界の改変」を行うのだ。

 

 

「神」的な存在を陥れ、その力の一部を奪い取る、そのことで「暁美ほむら」という存在は「神と同義」
いや、その反対の存在である「悪魔」を名乗り、「宇宙の法則」に介入して、そして「作り変えてしまう」

 

 

今作のもう一つの「叛逆」はこうした「暁美ほむら」による、「宇宙法則」への「叛逆」の意味も含まれるのだ。

 

 

彼女がそんな途方も無い事を画策するキッカケは、おそらく花畑でのやり取りだ。
記憶をあえて失い、「ほむら」の世界に潜り込んでいた「まどか」

そんな彼女が、「自らを犠牲に、世界を救う」という決断、そんなことしたくない。
友達や家族、それらと永久に別れる事など、したくない。
そんな彼女の思いを聞いてしまったのだ。

 

ほむらは前作のラストで、まどかの作った世界を守るために戦うことを決意した。
今作でも、「偽りの世界」は、まどかに対する「冒涜」だと怒りを顕にしていた。

だけど、そもそもこのまどかの告白に、ほむらは「その選択をどうしても止めなければならなかった」
その事に気づくのだ。

 

 

深堀りポイント

 

ちなみにこの「まどか」の思いは、純粋に「まどか」の思いなのか?
それとも「ほむらの世界」に入ったことで、「ほむら」の考えに影響をうけているのか?

と、どちらとも取れるバランスになっている。
個人的には、この告白事態は「まどか」の本音だと思う。

本来の彼女は「神」になったが、本当は「中学2年生」なのだから・・・。

 

 

そして、世界は「再編」された。
「円環の理」という存在は維持されながらも、その中の「まどか」という存在は戻ってきた。
だが、同時に「世界のルール」を自由に破壊し蹂躙する「悪魔」が誕生した。

 

 

つまり、この世界に「神」と「悪魔」が並列するようになってしまったのだ。

 

 

その圧倒的な力で、ついに「インキュベーター」すら、全てを放棄して逃げようとしたのだが、ほむらは彼らを「利用」するために、ついに彼らの支配にすら成功する。

 

自分勝手な理由、つまり「まどか」と共にいたい。
そんな理由で「世界を書き換えた」こと。
それは許せない、ほむらに立ち向かおうとするさやか。

 

 

だが「悪魔」の力で、さやかの「記憶」と「魔女化能力」そして「円環の理の一部である」という事実を奪い取られてしまう。
もはや、相手にもならない。
どんどん世界をほむらが「好き放題に書き換えていく」

 

そんな彼女をさやかは「許さない」と宣言するが、どうしようもない。

 

世界にはほむらの「使い魔である”偽街の子供達”」が蔓延り、明らかに異常な事態を見せていく。

 

 

そして、前作の序盤の序盤と同じ場面、転校生がやってくる。
今度は再び「人間」に戻った「鹿目まどか」がやってくるのだ。

そして彼女を連れ出し、言葉をかわすが、「世界のルール」について2人の意見に相違が生じる。

そこでついに「暁美ほむら」は、とはいえ「神の力」の断片は保持している「鹿目まどか」に宣言をする。

 

「いずれ私達は、敵になる」と。

 

かくして、世界に「悪魔」が生まれた。
そして「愛する」が故に、「神」との対立を「暁美ほむら」が宣言して、今作は幕をおろすのだ。

 

 

ポイント

✅前作は「神の誕生」、今作では「悪魔の誕生」する。そして、その先に「対立」が予感させられる。

✅一見すると「バットエンド」風なのだが・・・。

これは「バッドエンド」なのか?/「まどか☆マギカ」は「SW」的である

 

今作の終盤から、どんどん展開・演出は非情におどろおどろしく、そして世界を蹂躙する「ほむら」が描かれる。

街には「偽街の子供達」という「使い魔」のような者が歩き回り、明らかに異常をきたしている。

 

 

前作「まどか」の行った「希望の改変」と違い、明らかに「負の改変」という要素が強いのも特徴だ。

 

だが、本質的に考えると、これは一概に「バッドエンド」とも言い切れないのが、今作最大の魅力だ。

前作で、とはいえ「犠牲」になった「まどか」
そこに、どんな「大義」があるとは言え、彼女はやはり「最大の犠牲者」だ。

すべての人間と切り離され、認知されない「法則の一部」という存在になったまどか。

 

 

だが、「ほむら」の改変で、「円環の理」は維持されつつも、「鹿目まどか」という存在も、世界に戻ってくることが出来たのだ。
そして「美樹さやか」の復活など、実は「前作」で出てしまった犠牲者はすべて「生き返った」のだ。

 

そして、この改変で割りを食うのは「インキュベーター」という、今まで「魔法少女」を搾取し続けた存在だ。
つまり、冷静に「改変後」の図式を見ると、むしろ世界は「よくなった」とも取れるのだ。

 

 

 

ちなみに作り手は「まどか」の「犠牲」というものが、本質的には「よきことではない」と捉えている。
だからこそ、今作は、かなり「変化球」的作劇だが、そういう意味では、やはり「バッドエンド」的ではあるが「ハッピーエンド」と取れるのだ。

 

 

そう思うと前作は「まどかの犠牲」という、それが「尊いもの」として描かれるからこそ「ハッピーエンド」に見えるが「バッドエンド」だったとも言えるのだ。

 

 

さらにこれは「世界のバランス」という意味でも、実は「正しい」のではないか?

前作では圧倒的な「善」である「神」が生まれた、だが、実は世界はそれでは「不完全」なのだ。
そこに相反する価値観、つまり「悪魔」という存在もまた、必要なのだ。

 

 

そういう意味では、よく脚本の「虚淵玄」は、今作を「スター・ウォーズ」に準えてなぞらえいるが、それで様々な事に説明がつく。

つまりこれは「フォースのバランス」なのだ。
「フォース」を支配するのが「ジェダイ」だけでもいけない、「シス」だけでもいけない。

 

 

以前、僕は前作のラストは「まどかの決断」は「ルーク・スカイウォーカーの決断」である。
「落ちこぼれジェダイが勇気を振り絞り、誰も出来ないことを成し遂げた話」だったと評した。

 

その根幹には「まどか」は「全ての魔法少女」への「慈愛」があり、その決断をしている。

 

 

ある種、今作はそれに対して、「ほむらの決断」は「アナキン・スカイウォーカーの決断」つまり「シス落ち」といえる。
実際、虚淵玄は「暁美ほむら」は「アナキン」だと発言している。

 

しかも、その「アナキン」も「ほむら」も「闇落ち」の要因はどちらも「愛」が故だ。

 

 

 

奇しくも「まどか」「ほむら」の決断は「愛」がベースになっていることも見逃せない。
ただ、その「範囲」が異なるだけなのだ。

 

つまり「まどか」の「愛」は「ほむら」も含めた「すべての魔法少女」であり、「ほむら」の「愛」は「まどかのためだけ」なのだ。

この「愛」というものの違いも非情に興味深い点ではある。

 

 

 

さて、ここで「バランス」という話にもどるが、「世界のバランス」という意味では「圧倒的善」「圧倒的悪」が存在することで「健全」になったともいえる。
正確には「善悪」のある、「健全」な「不健全」が戻ってきたとも言えるのだ。

 

 

そして、我々はこの先について思いを巡らすことになるのだ。
「まどか」と「ほむら」の今後について・・・。

 

この先行き着くのは「対立」だ。
それも理由は、やはり「愛」が故の。

そういう意味では、この先に待ち受けるのは、永井豪の「デビルマン」になるしかないのではないか?

 

 

そらは新房昭之も言及している。
すべては「デビルマン」に行き着くかも知れないと。

 

 

深堀りポイント

 

そう考えると、邪推かも知れないが「美樹さやか」の「美樹」という名前は「デビルマン」から付けたのではないか?
主人公「不動明」と恋仲になりそうな彼女を、ある種殺すのは「飛鳥了」だ。

そして飛鳥了は不動明を「愛するがゆえに行動」をしている。

 

これは「まどか☆マギカ」でも当てはまる。
「鹿目まどか」の親友である「美樹さやか」
彼女は「暁美ほむら」から見れば、邪魔でしかないのだ。

 

 

もちろん「叛逆の物語」の先が、「デビルマン」のようになるかはわからない。

だが、前述した「スター・ウォーズ」「続三部作」シィクエルのように、そもそも「ジェダイ」「シス」のいない道に行く可能性もある。

 

そうなると「鹿目まどか」「暁美ほむら」の恐らく対立の物語にこの先は、やはり成らざるを得ないのかも知れない。

そう思うと次回作「ワルプルギスの廻天」は、これまで以上に「ハード」な作品になるのか、様々な想像を掻き立てられてしまうのだ。

 

 

ポイント

✅前作は「ハッピーエンド風」な「バットエンド」 今作は「バットエンド風」な「ハッピーエンド」と取れるバランス。

✅世界がある意味で「正しい」形になったとも言える。

✅今後は「神」「悪魔」の対立の物語になるかも知れない。

 

今作品を振り返って

ざっくり一言解説!!

非情に奇妙な「変化球作品」だが、筋はかなり通った作品!!

何度も見ると、筋は通った続編だと言える

まとめ

 

今作は初見時と、2度・3度と見ていくと、どんどん見え方の変わる作品だ。

 

一作目の結論を何もかもブチ壊す「続編」にも見えるが、よく考えると実は「前作」の終わり方に、そもそもの疑問が湧いてくる。

それをある種「否定する」という意味では、実は今回こそ「ハッピーエンド」と捉えることの出来るバランスになっていて、この辺りは見事言う他ない。

 

そして、続編ならではの、ファンサービスの面もきちんとあるのも見逃せない点だ。
マミの活躍、さやか・杏子のやり取りなど、見たかった映像をキチンと見せてくれるのも、素晴らしい点だと言える。

 

そして、その背景のやはり「アバンギャルド」な世界観、そして「不穏さ」などなど、これらすべて混ざりあい「あぁ『まどか☆マギカ』見てる!」という気持ちに毎回させてもらえるのだ。

 

そして、この先に待ち受ける「ワルプルギスの廻天」
これが、どうなるか分からないが、少なくとも「対立」の物語になるかも知れない。

 

それをどう描くのか?

ホントに続編の公開が楽しみでならない。

 

その前に、ぜひ皆さんは「劇場版まどか☆マギカ」をぜひ復習しましょう!
この祭り、絶対に乗り遅れてはいけませんよ!!

 

 

まとめ

  • 「前作」のラストについて考えさせられる。
  • 何度も見ると、印象が変わる作品。
  • この先に待ち受けるのは「対立」なのか?

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