ディズニー総チェック 評論

【映画記事】「101匹わんちゃん」−頑張れ、ワンちゃん!−【ディズニー総チェック】

2021年1月19日

 

今日も「ディズニー総チェック」

ということで、取り上げるのは「101匹わんちゃん」について語ります。

 

この作品のポイント

  • ディズニー初の(当時の時点)現代劇である。
  • アニメ技術の革新になった作品。
  • エンタメ性は、これまでの作品の中でも随一!

「101匹わんちゃん」について

基本データ

基本データ

  • 公開 1961年
  • 監督 ウォルフガング・ライザーマン/ハミルトン・ラスク/クライド・ジェロニミ
  • 脚本 ビル・ピート
  • 原作 ドディー・スミス 『ダルメシアン 100と1ぴきの犬の物語』
  • 声の出演 ロッド・テイラー/パーディタ ケイト・バウアー

あらすじ

世代を超えて人々を魅了するユーモアと冒険心に満ちあふれた、犬が主役の名作物語。

比類なく非情な悪役クルエラは、毛皮を手に入れるためにロンドン中のダルメシアンの子犬を誘拐。

その中にはポンゴパーディの15匹の子犬も含まれていた。

ポンゴとパーディは動物の仲間たちの協力を得てハラハラドキドキの捜索を繰り広げ、誘拐された子犬たちを救出する。

ディズニープラスより引用

「動く絵本」的な作品

ひと目みて、今までと違う作画

 

今作品を、「ディズニー総チェック」の流れで見ると、「画作り」「画のタッチ」が大きく異るのが、まず特徴的だと感じるだろう。

どことなく「絵本」を思わせる独特のタッチ。
背景は色が輪郭線からはみ出したり、登場人物・犬たちの「デッサン風」の描線。
敢えてだろうが、手描きならではの粗さが残っている。

 

今作品は、この「作画」という面で、これまでの「ディズニー作品」と大きな違いがある。
それは、一目瞭然である。

これまでのディズニーキャラとは、また違うリアリティーラインでデザインされた、登場キャラ。
それぞれにデフォルメがなされており、それらも魅力的な今作品。

 

余談だが今作に、漫画家「鳥山明」が大きな影響を受けており、彼の描く独特の漫画・イラストのタッチの原点とも言える作品だ。

 

 

そして「アニメ制作」の技術的革新としても、今作品は見逃せない点がある。

映画として初めて「トレスマシン」を用いることで、アニメーターの描いた原画を、そのまま「セル画」に転写出来るようになったのだ。

 

編集長
もしも、この技術がなければ、「101匹のわんちゃん」を手書きで転写しなければならなかった・・・。
しかも「ブチ」付き。
その手間は想像を絶する

 

 

そして今作で培われた新技術は、これからの「アニメ制作」のスタンダードになっていく。

まさに「アニメ史」を語ることと「ディズニー」を語ることが同義であるということの証明だといえる。

 

ポイント

✅これまでの「ディズニー作品」と一線を画する「画面作り」

✅この作品で培われた「新技術」が、「アニメ作り」のスタンダードになる。

異彩を放つ「クルエラ」

 

この作品の原作『ダルメシアン 100と1ぴきの犬の物語』(ドディー・スミス著)は、1956年に刊行された作品で、原作付きの「ディズニー作品」としては、初めての「現代劇」となっている。

この「現代」を舞台にしているということは、ある意味で「逃げ」が効かないとも言える。
それこそ、「舞台設定」が現代であるということは、設定にある程度制限が生まれるということだ。

 

編集長
簡単に言うと、敵を「魔女」などに設定できないということ!

 

だが、この作品であるヴィラン「クルエラ」は作中の中でも異彩を放っている。

 

繰り返すが「現代的」
つまり「設定に嘘」がつけない題材で、しかし彼女はその枠の中でしっかりと「不気味」「狂気」を兼ね備えている。

それは、登場シーンからも明らかだ。
クルエラは、新婚のロジャーやアニータの前に突然現れて、常にタバコを加え、ロジャー、アニータの新居を訪れて、ティーカップに吸い殻を落とす、マフィンを灰皿にする。

そして、ロジャー、アニータの事情をお構いなく、2人の飼い犬、「ポンゴ」「パーディ」の間に生まれる子犬を、言い値で買うとうそぶくのだ。

 

ちなみにこの「タバコの煙」で、どことなくこれまでの「ディズニー魔女」の系譜をどことなく継承しているといえるのではないか?
「白雪姫の継母」「マレフィセント」など、これまでの作品のヴィランに「煙」はつきものだった。

 

話を戻すが、クルエラは、おおよそ人として、「お付き合いしたくない人」認定されるに相応しい行動の限りをしつくす。

 

編集長
ロジャーや家政婦のナニーは、おおっぴらに「拒否感」を示すが、
旧友であるアニータは、「変わった人」だと認めながらも、なんとか理解を示そうとする

 

そんな、彼女が「なぜ執拗に犬に執念を燃やすのか」「なぜ毛皮にこだわるのか」
それらバックボーンは描かれないまま、ただアニータの旧友として現れる。

そして「ポンゴ」「パーディ」たちの子犬を無理やり譲り受けようと試みる。
それが出来ないとわかり、挙句の果てに拉致を計画し遂行する、全ては最終的に殺して、毛皮をはぐためだ。
それだけでクルエラは、犬にとっては恐ろしい存在だ。

 

この「理解」できない、でもその存在が「執念」を燃やして近づいてくる。
そのことで「クルエラ」の「不気味」さ「狂気」をきちんとこの作品は描いているのだ。

 

深堀りポイント

これはどこかの記事で前に論じたが、「恐怖」というものを一番感じるのは何か?
それは「理解出来ない」ことだ。

人間は「理解」出来ないことを「嫌う」「怖がる」傾向にある。
この、クルエラの存在は、その心理をうまく利用していると言える。

ただ、最近の「悪人」にも「悪の道」に走った理由がある、その理由を描こうとする風潮があるが、個人的にはあまり好きではない。

何度もディスって申し訳ないが、「マレフィセント」の実写を受け入れられない理由のひとつに、「眠れる森の美女」でのマレフィセントは「理解できないことが怖かった」のだ。
にも関わらず、そこに理由付けしようとした(それも全く上手くない)。

今回「クルエラ」を主人公にした実写作品が公開決定しているが、「マレフィセント」のような事にならないことを祈らずにはいられない。

 

そんな「狂気」のクルエラだが、彼女の暴走っぷりには、作り手の気持ちもどんどんドライブしてしまっていたようだ。
彼女を描いた「マーク・デイビス」はこの作品で引退をしているが、「描いてて楽しかった」と自信最後の仕事に彼女を描けたことを誇りに思ったそうだ。

特に最後のカーチェイスシーン。
これまでのディズニー作品にはない、アクションシーンでもあるが、クルエラの完全に理性の吹き飛んだ感じなども描かれている。

このように、今作の魅力は実は「クルエラ」という存在が大きいのだが、「現代劇」という制約がある中で、ここまで「狂気」「恐怖」「執念」を持つキャラを描いているのは、考えれば凄いことなのだ。

 

ポイント

✅「制約」ある題材ながら、魅力的なヴィランを描けているのが凄い!

頑張る「わんちゃん」/エンタメ性に特化した作品!

 

この作品の主役たち「わんちゃん」についても言及したい。
というのも、今作は、冒頭から「わんちゃん」が頑張る物語なのだ。

 

うだつの上がらないロジャーを散歩にけしかけて、婚活するように仕向ける、というポンゴの頑張り。(ポンゴがアニータの飼い犬「パーディ」に一目惚れしたこともあるが)
そして、飼い主と、そして飼い犬同士結ばれ、そして生まれた15匹の子犬を育てるという、大家族を切り盛りする頑張り。

子犬が拉致された際に、必至に情報を集めるという頑張り。
そして2匹の危機に街中の犬たちが協力してくれる、そんな街中の犬たちの頑張りにも支えられるのだ。

 

編集長
特に「遠吠え」で情報を伝達し合うというのは、確かに「無くは無さそう」という設定として非常にうまいと感じた。

 

そして子犬たちとジャスパー、ホーレスとのギャグテイストでもあるが、そこから逃げる際の頑張り。
さらになんとか子犬を救出し、そして一緒の助けた「99匹」もの子犬の親になる、ポンゴ、パーディたち。
(ちなみに、ここまで来ると、流石に当然飼い主たちの、協力も欠かせないが、ロジャー、アニータは乗り気)
彼らが、これから、さらなる大家族として頑張るんだ! という締めくくり。

 

などなど、とにかく「わんちゃん」が頑張る物語だ。
そして、そんな姿に自然と感情移入できてしまうのだ。

 

さらに、物語構造も凄くシンプルで「拉致された子犬を探しに旅立ち、見つけて帰ってくる」
つまり「行って、帰ってくる」という基本中の基本に乗っ取り作らている。

そこにクルエラとの駆け引き、カーチェイスのアクションなど盛り込まれ、今作は、これまでの「ディズニー作品」と比べても、かなりエンタメ性の高い作劇になっている。

 

なので、とりあえず「ディズニー作品」で何を見よう?
と迷ってる方にはぜひオススメしたい作品だと言える!

 

編集長
ちなみに、この「車」が使えるというのも、「現代劇」だから出来ること!!

 

ポイント

✅「わんちゃん」たちの頑張りを応援したくなる!

✅「基本に忠実」で「エンタメ性」はディズニー随一!

 

今作を振り返って

ざっくり一言解説!!

今までの「ディズニー作品」と様々な点で、一線を画する作品である!!

非常にわかりやすい物語でもあるね!

まとめ

 

今作品がこれまでの「ディズニー作品」と一線を画するのは、やはり「眠れる森の美女」が、当時ヒットしなかったからだろう。(今では名作認定されているが)

莫大な制作予算を掛けた「眠れる森」がヒットしなかったことで、「ディズニー」は「予算を削る」ことを意識して今作を制作した。
これは「ピノキオ」「ファンタジア」「バンビ」がヒットせず、仕方なく、予算を削った「ダンボ」がヒットした時のことと重なる。

 

「ダンボ」のヒットで、必ずしも「描き込むこと」「いい作品」になるのではないという発見をしたディズニー。
今作で「予算を削るため」「新しい技術」を生み出した「ディズニー」
この「新技術」は後に「アニメ制作」に欠かせない、スタンダードになっていく。

ディズニーはまたも、歴史に残る「発明」をしたのだ。

 

ディズニーの歴史に幾度とある「失敗」
実は、その「失敗」の後にこそ、「新しい発見・発明」があるのだ。

 

そしてこれまで「現代」を舞台にした作品を制作しなかったディズニーだが、今作の成功で、いよいよ「どの時代」「どこの国」「どんな登場人物」であろうとも、作品が作れることを証明したのだ。

奇しくも同じ「犬モチーフ」の「わんわん物語」で、ディズニーが「おとぎ話を作る側」になった。
さらにディズニーはそこから「101匹わんちゃん」を通じて、いかなる「設定」だろうと、物語を語れるようになった。

この2つの「犬」作品はディズニー史において重要作品なのだ。
そのことを今回の鑑賞で学んだ。

 

まとめ

  • 「失敗」の後にこそ注目!
  • 今作の成功で、いよいよ「設定」という制約からディズニーは、解き放たれることになる!

ということで、今日も読了ありがとうございます!
次は「王様の剣」を見ていきたいと思います!

「総チェック」はまだまだ終わらないっ!!

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