
最近すっかり「ジブリ」に「どっぷり」な僕ですが、いよいよこの「”一生に一度は、映画館でジブリを”特集」も最後の作品となりました。
ということでトリを飾るのはこの作品!!
「風の谷のナウシカ」
ということで今作についても「ものののけ姫」「千と千尋の神隠し」の時にも言いましたが、今更、僕なんかが語る必要もない「傑作」なわけでですね。
この「再上映」の機会に鑑賞するのは、間違いなく「オススメ」なんです!!
だから「オススメです」で締めてもいいんですけど・・・。
まぁね、一応「劇場で見た映画は必ず書く」というルールでやってるので、書きますし、読んでほしんです!!笑
そして、この先は「ジブリ弱者」の感想だと「暖かな気持ち」で見守ってくださいな。
この記事を読むと
- 宮崎駿の「本心」がわかる。
- 明らかに「もののけ姫」は今作の反省(?)を踏まえている。
ということで、お付き合いしてくださる方・・・。
ありがとうございます!!笑
目次
「風の谷のナウシカ」について
基本データ
- 公開 1984年(2020年リバイバル公開)
- 監督/脚本/原作 宮崎駿
- 声の出演 島本須美/納谷悟朗/松田洋治 ほか
あらすじ
舞台は「火の7日間」といわれる最終戦争で現代文明が滅び去った1000年後の地球。
風の谷に暮らすナウシカは、「風の谷」に暮らしながら、人々が忌み嫌う巨大な蟲・王蟲(オーム)とも心を通わせ、有害な瘴気覆われ巨大な蟲たちの住む森「腐海」の謎を解き明かそうとしていた。
そんなある日、「風の谷」に巨大な輸送機が墜落、ほどなく西方のトルメキア王国の軍隊が侵攻してくる。
墜落した輸送機の積荷は、「火の7日間」で世界を焼き尽くしたという最終兵器「巨神兵」であった。
そして、少女ナウシカの愛が奇跡を呼ぶ…
どんぐり共和国作品紹介文より抜粋
明確な”メッセージ”

素直な作品という印象
今作品を見て、第一に思ったのが「素直」という言葉だ。
というのも今作品は「明確」に「エコロジー」的なメッセージに溢れているからだ。
だからこそ「もののけ姫」(1997年)とは相反する作品だとも言える。
僕も「もののけ姫評」で語っているのだが、「もののけ姫」は明確な「答え」という物を、最後まで語ろうとはしなかった。
「もののけ姫」についての要点整理
「自然」には「自然」の言い分。
「人間」には「人間」の言い分。
どちらが「正しい」という「答え」を提示せず、その「答え」を探すことにこそ意味がある。
(それがどれほど苦難に満ちていようとも、それこそが「生きる」ということ)
だが今作は割とストレートにその「答え」が明確に描かれている。
この「ナウシカ」という作品はどう見ても「エコロジー」つまり「自然保護」的な観点から描かれている。
だからこそ、見ていて「わかりやすい」という印象を受けた。
- 後年の同テーマを扱う「もののけ姫」と比べると、結論が「明確」
宮崎駿の後悔
今作の主人公ナウシカは、自然や人々に死をもたらす「腐海」にすら慈しみ、その「腐海」から生まれた巨大な「蟲」を愛する女性だ。
そんな彼女が、クライマックスに愛する「風の谷」と「王蟲」の争いを止めるために身を投げ出す。
そして「蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし」という伝説が具現化されるシーンはまさに「自然を慈しむナウシカ」だからこそ起こせた「奇跡」だと言える。
今作は、まさに「自然主義」的な側面が前面に押し出されて幕を降ろす。
要は「自然を愛する気持ち」が大切なんだよ。というメッセージだ。
もちろん、ここに何かしらの文句を言うつもりもない、作品として「綺麗」な幕引きをしていると感じた。
ただ、これは直近に「もののけ姫」を見たから。
それが理由だが、「よかった」という感情と同時に「宮崎駿よ、これでいいのか?」
という気持ちが芽生えた。これも否定できない。
個人的には今作で「答え」を描いてしまったことが、この後に「もののけ姫」で「答え」を出さない。ことを選択する理由になっているのではないか?
そう感じてしまった。
今作の「巨神兵」のシーンを描いている際、「庵野秀明」(エヴァンゲリオンを後に監督する)は宮崎駿がこのように発言していた。と述べている。
「”人間なんてね、滅びたっていいんだよ!!”」
「”とにかくこの惑星に生き物が残ってれば、人間という種なんていなくなっても全然いいんだ!”」
って(宮崎駿が)怒鳴ってるのを僕は横で聞いてて、この人すごいとその時思ったんですね(中略)人そのものに執着してないってのが根っこにあって」
これだけ聞くと、本作のラストは「その発言」からきている結論のように思えるのだが、これは本心ではないのではないか?
「”人”そのものには執着はしていない」だけど、「命」つまり「生きる」ことを「愛し」「執着」しているのではないか?
何度も例に出すが、後年に制作された「もののけ姫」はこの「命を愛する」という点を全面に押し出している。
だからこそ「人間の”生きるため”の過ち」を断罪はしていないし、否定をしていない。
今作のクシャナの思想「腐海を焼き払う」というのも、人間目線で考えるならば、これは「正しい」ことのようにも思える。
このこと、つまり「生きる」ために「間違った考え」(かも知れない)で行動する。
そのことについて「間違い」だと断言する。
そう思われるシーンで今作が幕引きになることを、宮崎駿は"良し"としていない、のではないだろうか?
そう思って過去の発言を調べていると、やはり「宗教的なラストには納得していない」
「もののけ姫」制作時には「過去を否定しないと本音で語ることができない」という趣旨の発言をしている。
おそらく監督の本心は「自然に対する愛」はもちろんあるが、それでも「過ちを犯しながら、それでも生きる”人間”(生命)を愛している」のではないか?
だからこそ個人的には「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」を比べてみると、非常に面白いと感じた。
- 結論を出したことが、もしかすると”後悔”になり、「もののけ姫」に深く影響したのではないか?
- ちなみに漫画版「風の谷のナウシカ」は”答え”の出ない結論になっているとのこと・・・(早く読まねば!!)
漫画原作を読めば、もっと深く理解できるかも!!
世界観の深み

圧倒的な世界観
今作を語る上で外せないのが、圧倒的な世界観だ。
ちなみに原作の(原作が読みたくて仕方ない笑)2巻までの内容を元に映画にしているらしいのだが、そう考えると、どれほど原作は深いのだ?
と思わされますが。
その世界観の構築に欠かせないのは、やはり圧倒的な「絵」の力ではないか?
これはジブリのどの作品にも言えることではありますが・・・。
個人的には”腐海”の流砂の下、底とでも言えばいいのか。
あの空間の神秘的なこと。
あの場所が神秘的であることは、実は”腐海”というのが「人間には害だが、必要なもの」であるということの証明だ。
ある意味でナウシカのその後の行動の理由にもなっている。
だけど、やはり”腐海”が毒であるということも前後のシーンでは強く印象付けられるので、ここのギャップで、深く考えさられてしまう。
「とは言え”腐海”はやはり燃やしたほうがいいのでは?」
「でも、それがないと”土”は浄化されない」
先ほどから何度も言うが、今作では「保護」と言う方に結論が出されてしまい、この「悩ましい問題」に「答え」を出してしまっている。
とは言え、僕らは「人間」だ。
そんな”毒”の存在を無くしたい。
と思う気持ちを持ってもおかしくはないのだ。
このギャップを「絵」で見せる。
こうした問題を説明ではなく「絵」で見せつける。
これこそまさに「アニメ」だ。
この「絵の力」で今作は、その複雑な世界観を如何なく見せつけ、我々を引き込んでしまう。
当たり前だが「アニメ」として非常に素晴らしい魅力に今作は満ち溢れている。
- 宮崎駿作品共通の魅力「絵の力」は半端ない!
ナウシカは”ベストヒロイン”では?
そして今作の主役「ナウシカ」の魅力にも少し触れておく。
彼女は「愛の人」だ。
噛むと言われてもキツネリスに「怖くない」と接し、心を通わせる。
そして「腐海」と言う、ある意味で人間の「敵」のような存在、そしてそれを守る「王蟲」などの「蟲」にも慈悲の心を持つ。
「愛の人」と言えば聞こえはいいが、はっきり言って「変人」だとも言える。
だが、「愛」「慈愛」の人とだけ描かれているのか?
と言えば決してそうではない。
彼女は最初にトルメキア軍の人間と邂逅した際に、「怒り」で人を殺めている。
このように二面性を描くことで、彼女のキャラに深みが出ている。
ちなみに「胸が大きい」設定なのだが、これは「風の谷で死にゆく者」を抱きとめるため、と宮崎駿は言っているが・・・。
理屈はわかるけどね。
まぁ、本当、スキあらば趣味をゴリ押し・・・。
宮崎駿は「油断ならない男」である。
ただ、ここまで凛とした女性キャラはやはり人気にはなるだろうし、僕も「ジブリベストヒロイン」は「ナウシカ」ではないかな?
と思っている。
皆さんの考えはいかがでしょうか?
- 「愛」と「怒り」と言う二面性、そして芯の強さ。ナウシカが人気キャラなのも納得ですね!!
今作を振り返って
ざっくり一言解説!
宮崎駿作品は、連続してみると面白い!!
作家性がこれほどある監督も
珍しいよね
まとめ
今作について語ると言うよりも、「もののけ姫」と言う後年の同テーマ作品と比較しても評になったが、もちろん今作は非常に「面白い」作品だ。
僕は普通に好きですね!!
そして今作の影響を受けた作品は、今の日本で数え切れないほどあるのではないか?
宮崎駿作品で後年の他の作り手に影響を与えた。
その観点でみると「ナウシカ」が与えた影響は計り知れない。
そう言えばサッカー元日本代表の「本田圭佑」が以前こんな発言をしていた「世界を変えるのは”変人”」と。
ある意味で「ナウシカ」という”変人”は世界を変えた。
この物語はある意味で”変人”が世界を変える作品だとも言える。(言えるのか!?笑)
冗談はさておき、今作は、物事を一つの側面からみるのではなく、逆の側面からみること。
我々にとって「不要」なものも、もしかしたら「必要」なものなのかも知れない、そういう視点。
つまり広い視点を持つことの重要性を説いている。
そうした教示を今作品は示している。
そして、この「コロナ禍」の劇場で、我々もマスクをしながら、さながら”腐海”で活動する時のように、本作を見るという経験。
こんな奇妙な映画体験もなかなかないのではないか?
と、いうことで、やはり「ジブリ」は素晴らしい。
「一生に一度は、映画館でジブリを」することは、僕にとって良い経験になりました。
ぜひこの体験を皆様もされることをオススメします!!
まとめ
- 明確な結論を出した作品。
- 世界観の深み、ギャップを「絵」でみせる、「アニメ」を見る喜びに満ち溢れた作品。
- やはり「油断ならない男”宮崎駿”」
というわけで、読了ありがとうございました!
また近々お会いしましょう!!
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