
さて今回も「ディズニー総チェック」
と言うことで今日は、記念すべき10本目「メロディ・タイム」について語ります。

ポイント
- クオリティーは相当低いです。
- 在庫セットセールと呼ばれているのは「伊達じゃない」
目次
「メロディ・タイム」について
基本データ
基本データ
- 公開 1948年
- 監督 クライド・ジェロニミ/ハミルトン・ラスク/ウィルフレッド・ジャクソン/ジャック・キニー
- 脚本 ウィンストン・ヒブラー/アードマン・ペナー/ハリー・リーヴズ/ホーマー・ブライトマン/ケン・アンダーソン ほか
作品紹介
ディズニーのクラシックなミュージカル映画の一つ「メロディー・タイム」は、7つのストーリーにで構成された、楽しい音楽と魅力的なキャラクター満載の作品。
「サンバは楽し」では、人気者ドナルドダックが生き生きとおどけてみせる。
「クマンバチのブギ」では、クマンバチが音楽に乗って大冒険。
「小さな引き船」のちびっ子タグボートや、「リンゴ作りのジョニー」「青い月影」の伝説のヒーローたちを応援したくなる。
ウィットに富んだこの作品は、目にも耳にも楽しい世界をお届けする。(※この作品には、現在では不適切な表現が含まれますが、作品のオリジナリティを尊重して制作当時のまま配信します。)
ディズニープラスより引用
またも、最低限の繋がりすらない・・・。

「メイク・マイン・ミュージック」と同じ事態に陥る作品
と言うことで、今作品。
もうね結論から言うと、「酷い」です、はい・・・。

その原因の一つに「戦時中」から「戦後」で予算がかけられなかった。と言うことはあるだろう。
でも、それを差し引いても、今作品は酷いと言わざるを得ない。
逆算的に「クラシック音楽」をアニメで表現する、「ファンタジア」が如何にクオリティーの面からも高かった。
素晴らしい作品だったのか。
と言うことを知れたのが、今作を見た唯一の収穫だといえます。
とにかく「メイク・マイン・ミュージック」と同じで、作品内で語られるオムニバスに、必要最低限のつながりもなければ、ただそれを繰り返すだけ。
(その視点から言うと「ファンタジア」はきちんと、連続性はありました)
その70分間が如何に苦痛か。

*️⃣「メイク・マイン・ミュージック」は短編全てでは無いが「死」が描かれる。
正確には「死んだのか?」「いや生きてた」というパターンだが。
その上で、最後の短編では「本当の死」を描くことで、一応の繋がりめいたものは感じることができる。
前回の「総チェック」でも言いましたが、「この時期のディズニー作品を語る方が少ない」
その理由も見ればわかります。
と言うことで、まず前提として「キツイ作品」だと言うことは繰り返し言っておきたい。
「リンゴ作りのジョニー 」「青い月影 」は面白かった
ただ先ほどから「だめ」だと言う前提で話しをしてますが・・・。
もちろん「いいところ」もあります。
そのことを語る前にまずこの作品を構成する「7本」の短編を紹介します。
- 冬の出来事 (Once upon a wintertime)
歌 - フランシス・ラングフォード
冬山でスケートを楽しむ恋人達。
だがはしゃぎすぎて薄い氷を割ってしまい、川に流され大変な事に…。編集長⬆️基本的にはギャグテイスト。肝心の時に男は役ただず。
- クマンバチ・ブギ (Bumble Boogie)
演奏 - フレディ・マーティン楽団
花や草や虫の形をした楽器達が小さなクマンバチに次々と襲いかかるショートアニメーション。編集長⬆️ピアノの鍵盤がヘビになるアイデアは面白い。でも基本的には上述の通りのことしか起こらない。
- リンゴ作りのジョニー (The old settler Johnny Appleseed and Johnny's angel)
歌 - デニス・デイ
アメリカの西部開拓時代の偉大な開拓者、ジョニー・アップルシードの伝説。やせっぽちのジョニーは天使の啓示を受け、リンゴと信仰の種を広大な開拓地に植えていく。編集長⬆️後述します。
- 小さな引き船 (Little Toot)
歌 - アンドリュー・シスターズ
タグボートのちびっ子トゥートは、やんちゃのしすぎで港を追い出されてしまうが、外海で遭難した客船を見つけて大奮闘。編集長⬆️「ラテン・アメリカの旅」のペドロに近いテイスト。 子供なのにガチで追放されるシーンが可哀想。
- 丘の上の一本の木 (Trees)
歌 - フレッド・ワーリングとペンシルバニアンズ
一本の大きな木とそれに住まう生命を讃えた詩的なアニメーション。編集長⬆️最後に後光を浴びる木は、神秘的。
- サンバは楽し (Blame it on the Samba)
歌 - エセル・スミスとダイニングシスターズ
「三人の騎士」からドナルドダック、ホセ・キャリオカ、アラクアンが再登場(メキシコ在住のパンチートは登場しない)。
アラクワンの作ったカクテルの中で、エセル・スミス(実写)とサンバで踊る楽しいアニメーション。編集長⬆️もはや、ドナルドを出したいだけなのでは? しかもセリフもないので・・・。 実写とアニメの融合という、ここまでの「オムニバス」の手法を繰り返している。
- 青い月影 (Pecos Bill)
歌 - ロイ・ロジャースとソング・オブ・パイオニアーズ
コヨーテに育てられたというテキサスの伝説的カウボーイ、ペコス・ビルと愛馬ウィドウメーカーの逸話。
イントロダクションの実写パートではロイ・ロジャースらの他、「南部の唄」の少年少女、ボビー・ドリスコルとルアナ・パットンが再登場する。編集長⬆️後述します。ウィキペディアより抜粋/加筆
これからも分かる通り、「最低限の繋がり」が短編間で存在しない今作品。
もちろん「ポップ・ミュージック」をアニメで表現する。
というテーマは一応ありますけど、正直それも「やっつけ仕事」的だし、わざわざ「音楽をアニメで表現する」必要があるのか?
それを通じて何がしたいのか?
鑑賞しても。よくわからない結果になっている今作品。
ちなみに同じ手法の「メイク・マイン・ミュージック」は、「クラシック音楽のアニメ化」という「ファンタジア」の興行結果を受けて、それを大衆向けにチューンナップしたという点で、制作した意義はあるんですが・・・。
ということで、「志は低く」そして「映画的にも面白くない」
という二重苦を背負った作品だと言えるので、やっぱり見るのが「忍びない」と言わざるを得ない。

特に「リンゴ作りのジョニー」と「青い月影」は、超個人的な理由も含めて、特筆しておこうかなと思いますので、ちょっと語りますね。
「リンゴ作りのジョニー」
実在する、アメリカ初期の伝説的開拓者「ジョン・チャップマン」別名「ジョニー・アルプルシード」の話を描く短編。
これは、個人的なことですが「ジョニー・アップルシード」という喫茶店を見たことがあって、「どういう意味だろ?」って考えてたら、この作品に出会い。
そして由来を知ることができたので、よかったです(笑)
物語としては「リンゴの木」を植えることを生業としていたジョニーが、開拓者として西部に赴く。
彼は、荒れた地を「リンゴの木」で豊かにして各地を周り、そして人々に「開拓精神」を植え付けた。
そしていつしかそれが「伝説」として語り継がれる。
その過程を描いているこの短編。
開拓することで忘れかけてしまう、自然の恵みの大切さ。
それを人々に説教臭く解くのではない。
ただそれを生き様として見せるだけのジョニー。
その姿を見た人は、その恵みに感謝をし、その中でジョニーが「伝説化」している過程を描く。
ある種の「”神話的”物語」だとも言える。
ただし、アメリカの「”神話的”な物語」というのの舞台が、1770年代とかなり新しく、このことから逆算的に「アメリカの歴史の薄さ」というのを再確認できた。

「青い月影」
これは実際にカーボーイ達が話していた、西部開拓期の「ほら話」で有名な人物、「ぺコス・ビル」の伝説を描いた作品。
この「ほら話」をしている様子は実写パートで描かれ、前作「ファン・アンド・ファンシーフリー」でも登場した少女「ルアナ・パットン」が登場。
そして「ほら話」をアニメで表現するという手法をとっている。
しかし、実写パートも風景はアニメで表現されているなど、ここでも「アニメ」「実写」の融合を模索している。
よくよく考えれば、この手法の繰り返し。
最初はアニメの可能性を拡大させるための挑戦だと思っていたが、おそらく「実写」でとった方が「安上がり」だったのでは?
という邪推もしたくなりますが・・・。
話としては、コヨーテに育てられた「ぺコス・ビル」のスケールのデカすぎる話をアニメで見せる。
これもある意味で「神話的」な物語だ。
そして。繰り返しになるが「カーボーイ」が「神話的」であること。
つまりアメリカの歴史とは、やはり薄いということが証明される作品だと言える。
「コヨーテ」が何故、月に向かって吠えるのか?
という問いかけの答えが秀逸な点が面白かった。
それは恋人が月に吹っ飛ばされてしまい、今生の別れとなってしまい失意のペコス 。
彼は、人間の暮らしを捨て、その悲しみから月に向かって泣く。
その姿を見たコヨーテが真似をするようになった。
とまぁ、どんでもなく「スケールのデカすぎる」「ほら話」をアニメ化という意味では、これもまた興味深い点はあった。

その歴史の「浅さ」
つまり、アメリカの歴史はやはり、まだ短い。ということを再確認できたという点だ!!
今作を振り返って
ざっくり一言解説!!
正直に一言、「面白くない!!」笑
興味深い点もなくはないんだけどね・・・。
まとめ
個人的には「アメリカの民話的」な物語である「ジョニー・アップルシード」「ペコス ・ビル」の物語を知ることができた、というのは、よかった点だ。
しかし、ここまでの流れで見てきた上で、「ファンタジア」「メイク・マイン・ミュージック」から続く「音楽をアニメで表現」するという狙い、コンセプト。
確かにやってはいるけれど、形式的だし、何とか工夫しよう。
というのも見受けられない。
そういう意味で退屈であるということは、「否定しない」
いくら「ディズニー好き」って公言している自分も、ちょっとこれを「褒める」のは難しい・・・。
正直に「オススメか?」と聞かれたら瞬時に首を横にふる。
そんな作品だと言わざるを得ない・・・。
まとめ
- 「音楽をアニメで表現」
この点において、何かしらの工夫がない。 - 実写とアニメの融合も、ここまでくると「予算削減では?」と勘繰ってしまう。
ということで、非常にネガティブな評でしたね笑
でも興味深い点はあるし、そういう意味では「見てよかった」です!!
さて、オムニバス地獄も次で終了!!
引き続きお付き合いくださいね!!