
今日は、現状日本では見ることが難しい、ディズニー作品について語ります。
「総チェック」と言ってますからね。
やっぱり見れないものも「見る」
その姿勢が大切ですよね!!
ということで、「メイク・マイン・ミュージック」について語っていきたいと思います。

探せば・・・ね笑
この記事のまとめ
- 「ディズニープラス」ですら配信されていない作品。
- 「ファンタジア」と比較すると、興味深い・・・かも。
- ”幻となった「谷間の争い」”もチェック!!
目次
「メイク・マイン・ミュージック」について
基本データ
基本データ
- 公開 1946年
- 監督 ジャック・キニー/クライド・ジェロニミ/ハミルトン・ラスク/ボブ・コーマック/ジョッシュ・メダー
- 脚本 ホーマー・ブライトマン/ディック・ヒューマー/ディック・キニー ほか
作品紹介
10の独立したミュージカル・ファンタジーからなるオムニバス映画。
個々で短編として扱われる事も多い。
『谷間のあらそい』
Wikipediaより引用
『青いさざなみ』
『みんなでジャズを!』
『あなたなしでは』
『猛打者ケイシー』
『ふたつのシルエット』
『ピーターとおおかみ』
『君去りし後 』
『帽子のジョニーとアリスの恋』
『くじらのウィリー』
”幻”である由縁
そもそも「メイク・マイン・ミュージック」は「ディズニーの公式ルート(=ブエナ・ビスタ版)」で映像ソフトは発売されていない。
今、日本の市場に出回っているのは「パブリック・ドメイン版」しかない。
(前述の商品リンクが、これにあたる)
パブリックドメインとは?
パブリックドメイン(public domain)とは、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のことをいう。
しかも「ディズニーの公式映像配信」の「ディズニープラス」でも配信されていない。
現状、ここまで見にくい環境にある作品も珍しい。
さらにアメリカでは公式ルートから、DVDが販売されている今作だが、「谷間のたたかい」という章が丸々カットされている。
そのため、いずれのタイミングで配信スタートとなっても、「完全版」を見るのが非常にめんどくさい作品なのだ。
もちろんボクは「谷間のたたかい」も見たのでご心配なく。

ただし今作品。
例えば類似性を指摘しなければならない「ファンタジア」
オムニバス作品である「ラテン・アメリカの旅」「三人の騎士」とは違い、ディズニーの人気キャラの登場もないので、まぁぶっちゃけ、そこまでして見るべきか・・・?
と問われると、まぁスルーしてもいいでしょう。
という作品なのは告白しておこう。
なので、今回はもう全部ネタバレしますので、ご注意を!!
比較対象は「ファンタジア」

「メイク・マイン・ミュージック」と「ファンタジア」の違い
ということで、今回はあまり見ている人も多くない作品だと思うので、10の短編を全てさらっと「こんなお話だよー」と紹介します。
ちなみにどれも「ファンタジア」と同じく「音楽」を「アニメで表現する」という狙いは同じ。
ただし、純粋に「音楽」を「アニメで表現」していた「ファンタジア」と大きく異なる点もある。
一つは、今作品はそこに「ナレーション」や、「歌詞」を加えることで、何を描いているのかを「説明」してくれているのだ。
その分、確かに「わかりやすい」
「ファンタジア」では評論家・観客が、ウォルトたち作り手の意図を理解仕切れず、勝手に「この作品からは深遠を感じる」と評したり、一般層からは「インテリ映画」だと言われたりしたが、その反省を活かしているとも言える。
そしてもう一つは、これらのオムニバス作品に最低限の連続性がないことだ。
つまり10本が完全に独立しているのだ。
「ファンタジア」ではナレーターのディームズ・テイラーが、この作品世界全体のガイドとして、各章の間に登場。
これから表現される世界観のあらましなどを説明するシーンもあり。
毎回必ず「現実世界」に戻ってきて、そして「アニメパート」に入るという、一貫した連続性があった。
しかし本作にはそれもない、完全に10の独立した短編から構成されているのだ。
このように、「音楽」を「アニメ」で表現するというテーマは同じだが、ずいぶん受ける印象が変わる作品だといえる。
ちなみに「伝えたい物語」が明確になった分。
確かに物語への理解は、容易にできるようになった「メイク・マイン・ミュージック」
だが、その影響もあってか「ファンタジア」にあった、良くも悪くもだが「芸術性」という面。
これも大きく後退しているという印象を受けたのは正直なところだ。
そして、最低限のつなりもないので、トータルで何をしたいのかがよくわからない印象も受けた。
(「ファンタジア」は、「音楽をアニメで表現する」という野心に満ちていたのは確かで、狙いもはっきりしていた)
もちろん制作された時代背景から見ると、それは仕方のない部分だとも言えるのだが。

見ながらとったメモを、そのまま貼ります!
「青いさざなみ」
歌詞に合わせ、月明かりの夜、美しい水辺を2羽のサギが邂逅する。
「みんなでジャズを」
若者のヤンチャ文化をジャズに合わせて表現する。
「あなたなしでは」
フラれた男の心情のポエムを歌にして、さらにそれをアニメで表現。
「猛打者ケイシー」
ディズニーでは珍しい野球作品。
9回の裏、4-2でリードを許すマトヴィルの4番ケイシーにチャンスで打席が回る。
ケイシーは実力、人気ともにチームNo. 1。
それ故、真面目に野球をしない。
そして、あんだけ調子乗って、三振というオチ・・・。
これから心を入れ替えて野球に励ことを祈る。
「ふたつのシルエット」
実写のバレエダンサー(影絵風)と、アニメの融合。
キューピットが足に乗るシーンなど、「三人の騎士」の「サボテンダンス」以上に上手くシンクロしてる。
「ピーターとおおかみ」
物語のキャラをそれぞれ、楽器で表現して演奏していたロシアの同名楽曲をアニメ化。
さらに、物語をわかりやすくするために、ナレーションを合わせている。
そのことで、どういう話かは明確になっている。
最後はめでたしめでたしな感じ。
ちなみに楽曲作曲者のロシア人、プロコーフィエフがウォルトと会った際、「これはディズニーでアニメ化してもらうために作曲」したと告げている。
この「メイク・マイン・ミュージック」で、ウォルトはこの作品を一番いい作品だと考えていたそうだ。
「君去りし後 」
楽器が演奏に合わせて「擬人化」されドタバタ。
鍵盤の上の指をダンサーに見立てるのは見事
「帽子のジョニーとアリスの恋」
帽子のジョニーとアリスの恋物語。
百貨店のショーウィンドーで売られていた2つの帽子。
先に売れたアリスを思うジョニー。
アリスを思うが故に、ジョニーはボロボロになり、死にかけるが、最後はなんと「2つとも馬用ぼうし」になって再会・・・。
願えば叶う、真実の愛。
などディズニらしいメッセージが歌われる。
「くじらのウィリー 」
悲劇。
オペラを歌う鯨のウィリーは、人間歌声を認められたいと思っていた。
三色の歌声を持つ奇跡の鯨。
だがオペラ指揮者「ティティ・タッチィ」は、鯨が三人の歌手を飲み込んでいるとして、鯨を殺そうとする。
目の前にある確かな奇跡に気づかず、殺されるウィリー。
なるほど、これは悲劇。
人間に認められたいと願った、ウィリーがその夢かなうと思った瞬間に死ぬのだ。
「人間は奇跡に慣れていない」
このワードがディズニーから出るとは驚き。
「くじらのウィリー」は一見の価値あり!!
個人的には、この作品で一番見てもらいたいのは「くじらのウィリー」だ。
内容は前述した通りなのだが、この作品は「悲劇」だ。
特に「夢」「願い」が成就する、そう思った、その瞬間に主人公が死ぬ。
「メイク・マイン・ミュージック」で描かれた短編は、全て「死」がよぎる展開も確かにあるのだが、全てそれらは回避され、基本的には「ハッピーエンド」で終わる。
だからこそ、ここでは「死」が際立つのだ。
ちなみに「帽子のジョニーとアリスの恋」では「願えば叶う」
それは、ディズニーを象徴する「あいことば」が歌われるのだが、今回はその逆だ。

そこから愛を成就させる展開になっている
しかも、作中の最後にナレーションで「人間は奇跡に慣れていない」というセリフがある。
ある意味で「奇跡」というものを、ここまで熱心に描いてきたディズニーが、それを相対化する視点で物語を締め括っている。
ここには「戦時中」という時代背景もあったのかもしれない。
とにかく、この作品の「悲劇性」よりもボクは、ディズニーが自らの「テーマ」的なものを「相対化」する視点で締め括られるという点にこそ驚かされた。
「谷間のあらそい」について
さて、ではここで「谷間のあらそい」について、これがどういう作品なのか一応解説しておきます。
今後「メイク・マイン・ミュージック」が「ディズニープラス」などで配信が始まっても見れない可能性が高いのですが・・・。
「総チェック」と言っている以上、これも見ました!!

「谷間のあらそい」
「マーチン一族」と「コイ一族」の対立の物語。
ひょんなきっかけで起きた、戦闘で、どちらも子供1人を残してみんな死んでしまう。
残されたのは「マーチン一族」のグレース(女性)と「コイ一族」のヘンリー(男性)のみ。
2人は対立するどころか、出会うなり「恋」に落ちる。

しかし結婚したら、今度は最悪の喧嘩が始まってしまい、幕を下ろす。
血は争えない。というオチです。

と思いますね・・・。
おそらく、「封印」の要因である、銃撃のシーンもどちらかというと、ギャグ演出。
そんなに「封印」するに相応しい作品とは思えませんでしたね。
だから、ちょっとガッカリしたんですよね・・・。
ただ「子供向け作品」という観点から、ディズニーの立場だと、敏感にならざるを得なかったのかなぁ。
今作を振り返って
ざっくり一言解説!!
「幻」のままでも、いいんじゃない!?笑
ウォルトもこの作品は「気に入らなかった」らしい・・・。
まとめ
シンプルに「物足りなさ」を感じた作品である。
これまでのオムニバス作品「ラテン・アメリカの旅」「三人の騎士」
そして比較対象になるであろう「ファンタジア」
これら先行オムニバス作品と比べると、「メイク・マイン・ミュージック」は、それぞれの短編に、最低限のつながりもないので、全体的に薄っぺらい気がしてならない。
ただ、その中でも「帽子のジョニーとアリスの恋」「くじらのウィリー」は語られていることが、実は真逆という面白さもあり、この二作品は見る価値ありと言える。
だから、今後配信開始となったあかつきには、この二作品を見るのがオススメだと思います!!
まとめ
- ただ10本の短編を並べただけという印象。
- 最後の二作品を見るのがオススメ。
- 「谷間のあらそい」は封印するほど過激でもない・・・。
ということで、まだまだ「ディズニー総チェック」は続きます!
この「オムニバス地獄」を早く駆け抜けたい!!笑