
2020年10月15日から10月18日まで行われる「京都国際映画祭」
今年はオンライン開催となりますが、その作品を鑑賞し、短評としてこちらの記事で【まとめ】たいと思います。
観賞後に順次、短評を上げていきますので、よろしくお願いします。
鑑賞作品一覧
- 「ぼくらのミライ映画館」
- 「DINO!」
- 「やんばるキョ!キョ!キョ!」
目次
「ぼくらのミライ映画館」
基本データ
- 公開 2019年
- 監督 吉永眞之介
- 脚本 西村柊
- 撮影 東郷文太
- 出演者 山崎彰太郎/井川真唯子 ほか
作品紹介
短評
子供たちが、子供たちだけで作った作品。
ということで、まず真っ先に個人的に「鑑賞したい!」と思った作品です。
20年後の未来の京都から、「映画館を知らない少女」がやってきて「映画館の素晴らしさ」を知るパート。
20年後の未来の京都に行き「映画館を知る少年」が「映画館を知らない子たち」と交流するパート。
その2つが、同時に語れる今作品。
奇しくも昨今の「コロナ禍」での「映画鑑賞」のあり方。
という点にも繋がるテーマになっていて、まさに「見るなら今!」ということは強く言いたい作品。
20年後の未来では「スマホ」「PC」で一人で映画を見るのが当たり前の時代となり、「映画館」がなくなった。
これは昨今の「Netflix」の台頭や、「ディズニー」の「映画館で公開を前提とした作品リリースを行わない」という宣言も先日ありましたが、本当に起こり得る事態だ。
そして、映画館のない時代を生きる子たちは「映画館の素晴らしさ」を知らない。
ここで問いかけれれる「映画館の良さ?」とななんだろうか?
よく考えれば映画館というのは「異常」な空間だと言える。
知らない人と横並びになって映画を見る。
確かに「映画館」という概念がなければ、そう思うに違いない。
それこそ動画配信サービスがあれば「映画は、”1人” で ”どこでも見られる”」のだ。
そして現代の「コロナ禍」でその動きは加速しつつある。
だけど「映画館で映画を見る」というのは、大きな意味がある。
作中でも語られるが「知らない人と、同じ空間で、同じものを見る」
これこそが「映画館で映画を見る」最大の意味なのだ。
映画とはそもそも、作り手が観客に、「同じ場所で、同じ時間、同じものを見せる」ということによって成り立つ時間芸術だ。
だからこそ、本質的に「映画館で映画を見るということ」は「映画」という芸術を体験する上では不可欠なのだ。
そして、そこで知らない人と「感動」を共有する。
時に意見の異なる感情を抱くかもしれない。
こうしたことを含めて、「映画館で映画を見る」ということは必要なのだ。
こうした「映画館で映画を見る」ということが、制限された今だからこそ、逆説的に「映画館」で「映画を見る意味」をもう一度問い直すことができる今作品は、やはり「今見るべき」なのである。
そしてもう一つ未来から来た少女に「映画館でのマナーを教える」というシーンがあるが、これは「映画館という共有された空間でのマナーを教育」するという観点からも素晴らしいシーンだった。
ということで、この「オンラインで開催される映画祭」(コロナ禍で仕方がないのは重々承知だが)という特殊な状況が長く続く昨今。
それに対して「映画館で映画を見るのがいいよね」「映画館のよさ」ということを再度我々に考えさせてくれる視点で語れる、このことに繰り返しになるが、「意味がある」作品なのは間違いない!
そして、これからもこの子たちには、また「映画を作って欲しい」
届くかどうかはわからないが、「素晴らしい映画」をありがとう!!
という感謝で締め括りたいと思います。
「DINO!」
基本データ
- 公開 2020年
- 監督 細川晋
- 音楽 柳浦遊
- 声の出演 久野遥子/中内友紀恵
作品紹介
ワニのDINOと少年は、失われた王冠を探す旅を続けている。
その背後には同じく宝を狙うバクが迫っていた。
そしてDINOと少年の関係は少しずつすれ違ってきていた。
80年代まで広く使用されていた冒険活劇における特殊効果としてのストップモーションアニメーションを模した人形アニメーション作品。
短評
まず「ストップモーション」ということを忘れてしまうほど、作り込まれていて、ただただ驚き。
そして、観賞後にどれだけの「手間がかかっているのか・・・」
考えるだけで、気が遠くなる。
まずはこの点だけで「見る価値あり!!」というのは強く主張しておきたい。
あと目を引くのは主人公のワニ「DINO」のデザインですね。
ワニなのに6本足。
そして背中には船の甲板を背負っている
しかし、同時に腕もあるし、服も着て、見方によっては人間的にも見える。

そして、めちゃくちゃ可愛い。(これ重要!)
まさに「センス・オブ・ワンダー」に満ちているDINOのデザイン、これも素晴らしい。
さらに敵がパグというのも、またなんとも言えない味がある!!
物語は「インディー・ジョーンズ」のような冒険活劇で、主人公の少年が最後に「お宝よりも大切な何か」に気づく物語だ。
これは昨今の「ディズニー映画」にもある。
「大切だと思っていたものが、本当は大切ではなかった」
「本当に大切なもの」実は近くにある。
それに気づくことが重要だ!
という、テーマにも通ずるものがある。
人間はどうしても「身の回りにないもの」にこそ「何かしらの意味」を求めがちだ。
だが、周りをよく見ると、そこにこそ「大切なもの」がある。
それに気づけば、人生が少し、でも確実に豊かになる。
そのことを教えてくれる作品だ。
ただ、最後に少年がちょっと「お宝」にまた目を向けちゃうなど、そこはあまり押し付けがましくないように、きちんとオチもバランスが取れていた。
とにかくこの作品は「ストップモーション」であるということを、忘れさせるような仕上がりになっていて、こればかりは「鑑賞して、その目で見てもらいたい」と思う。
そして本当にすごいのは「手間がかかっている」ということを、表に出さないほどに、物語にのめり込ませてくれたことだ。
ということで、ぜひ「無料」かつ「20分」ほどの作品ですので、こちらも「見逃す手」はないでしょう!!
「やんばるキョ!キョ!キョ!」
基本データ
- 公開 2015年
- 監督 ゴリ(ガレッジセール)
- 出演者 普久原一生/金城奈津希/石川彩楓/照屋まさお/福田加奈子 ほか
作品紹介
沖縄県最北端に位置する国頭村。
やんばるの森で小学生のマナブは友達のユウナ、ハナ、そして頭を打って5歳の記憶になった村長で祖父の昌秀オジィを連れてヤンバルクイナの保護活動をしていた。
そんななかヤンバルクイナの施設を取り壊しリゾートホテルの誘致を目指す副村長・真栄田の村長就任式の日がせまり、テレビのニュースでは密猟者も現れると報じられ問題は山積みに……
ある日、マナブたちの活動に感銘を受けた雑誌のライター松田とカメラマン矢野が東京から取材にやってきた…。
ゴリ監督が描く地域発信型映画3作目は、国頭村を舞台にした「家族愛」のサスペンスコメディー。
果たしてマナブたちはヤンバルクイナを守ることができるのか?そしてオジィの記憶は戻るのか?
短評
基本的には「ヤンバルクイナ」の保護のために、マナブたちが、記憶喪失のおじいちゃん昌秀とともに、奮闘する話。
ガレッジセールのゴリが監督作品という事で、記憶喪失のため5歳の知能に戻った昌秀の、無邪気さ、それが故の狂気感などは、さすがはお笑い芸人といったところ。
メインストーリーとしてはまずは、雑誌記者に変装した「ヤンバルクイナ」の密猟者を子供たちが正体を見破るなど、個人的には「少年探偵団」を感じたり。まさに子供たちの頑張りの見せ場。
そして最後は「リゾート開発」をもくろむ副市長の野望を、記憶を戻した「昌秀」が打ち倒す。
「おじいちゃん」と「孫」が自然を守るために奮闘する話となっている。
そして、沖縄という風土。
そこに根付く家族という共同体の絆も描かれている。
ただ、まぁ良くも悪くも綺麗に纏まっているといった印象です。
これからに期待といった感じでしたね。
と、いう事で、思ったよりも時間が取れず・・・
また来年には参加したい催しですね!