
さて、今日は超人気のタイトルを見てきました!
ということで「鬼滅の刃−無限列車編−」について語っていきたいと思います。
ちなみにボクは「鬼滅の刃」
ジャンプ・単行本・アニメ、どれも全く見てません!!
ということで、今作品をボクは、完全に「知らない人」という立場で見に行って語っています!!
さて、一体何も知らずに見た「鬼滅の刃」はどんな作品だったんでしょうか・・・?
この記事について
- 漫画を1ページたりとも、アニメを1分たりとも見てない。
でも「鬼滅の刃」に興味のある方にこそ読んでもらいたい。 - もちろん「鬼滅ファン」も!!
- 「映画好き」で「鬼滅弱者」が見た「鬼滅の刃」について語ります。
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目次
「鬼滅の刃−無限列車編−」について
基本データ
基本データ
- 公開 2020年
- 監督 外崎春雄
- 脚本 ufotable
- 原作 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』
- 声の出演 花江夏樹/鬼頭明里/下野鉱 ほか
あらすじ
−果てなく続く 無限の夢の中へ−
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。
そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。
禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった。
公式サイトより引用
果たして、初心者でも楽しめるのだろうか??

一見さんお断り?/初心者歓迎?

ということで、まずは作品内容を云々する前に、こんな「疑問」にお答えします!
疑問:そもそも、「鬼滅の刃」を知らなくて見ても楽しめるの?
「鬼滅の刃」という作品が流行っているのは知っている。
でも「漫画」も「アニメ」も見ていない。
けれど、映画には興味がある。という方も多いのではないでしょうか?
そんな疑問に、「鬼滅」初心者がお答えすると・・・。
答え:初見でも問題なく楽しめます!
まずは、丸腰で見たボクがいうだから間違いない。
今回の「鬼滅の刃」は「アニメ未視聴」「原作未読」でも問題なく楽しめるので、これだけの劇場の盛り上がり、ブームの熱さを肌で感じるのもよろしいのではないでしょうか?

ここから、内容に少しずつ触れますが、「どの要素」がどれだけの「ネタバレ」になるかが、そもそもわからないので、ご注意!!
「魘夢」の設定が、ガイドラインとして機能している
今回の作品で「ヴィラン」となる「魘夢」
この敵の能力は「相手を眠らせ、その間に殺す」という能力だ。
それは予告からも類推できるのだが。
今回は彼の「能力」が「戦闘における特殊能力」というよりは、我々の中に「一定数」いるであろう、「初心者」への配慮のように思えた。
最初に「無限列車」に乗り込む、そして鬼との戦闘。
ここで、「鬼滅の世界」特有のルール。
「呼吸」などを説明して、そしてそれを実際に見せる、いわばチュートリアル的な役目を果たしている。
しかし、実際このチュートリアルのシーンは、実際は主人公たち「鬼殺隊」は罠に落ちている、つまり「夢」の中の状態だったのだ。
そして、この「夢」
要はこの「魘夢」は「その人が”幸せ”」と思う夢を見続けさせて、それを裏切り殺すという、悪趣味型の敵なのだが、この「幸せな夢」というのも、今作の重要なガイドラインになっている。
「竈門炭治郎」の過去
そもそも、この主人公「竈門炭治郎」が「なぜ、鬼殺隊にいるのか?」
その理由もこの「幸せな夢」で語られる。
つまり、辿らなかった「可能性」として見せることで、初心者には実はこれは「嘘で、本当は・・・」という「説明」になっている。
そして「ファン」には、「全てを知っているからこその、切なさ」として見せている。
この辺りも「夢」という、ある種の「反則技」的な設定で、これを100%使いこなしていると言えるのだ。
そして、こうした過去の「あり得ない可能性」を見せることで、それはつまり炭治郎の過去への冒涜でもあり、また他者への冒涜である。
つまり、この敵は「許しがたい」
だから炭治郎が倒すべきという理由づけにもなっている。
さらに、もう一人、実質今作品の主人公「煉獄杏寿郎」
彼絡みのエピソードは、この作品で初めて提示される要素でもあるので、この描写が増えてくる辺りからは、もう「初心者」も「ファン」も垣根なく楽しめるのではないだろうか?
ちなみに、「善逸」「猪之助」は主にコメディーリリーフとして、炭治郎/煉獄がシリアスパートなので緩急になっている。
あまりにも「バカすぎる夢」が描かれてるので、彼らのシリーズでの役割は「そういうキャラ」なんだな、というのがここからも読み解くことができる。
ということもあって、今作品はこれまでの「鬼滅の刃」世界の設定などを「魘夢」の夢という技を上手く生かして、展開している言える。
てか、これから身もふたもない事いいますけれど・・・。
この「魘夢」って実際、その役目、つまりストーリーテリングを円滑にする以上の役目がない。
メインポスターや告知で、「メインの敵」みたいな顔してますけど・・・。
詰まるところ、別にコイツは、この作品のメインの敵ではないんですよね!
という事で、これまでのことを一旦まとめると「魘夢」というキャラクターは、我々に状況を説明するのにはうってつけであり、しかし作中では実は「メインの敵」ではない。
「鬼滅の刃」における主人公である「竈門炭治郎」の活躍を見せる相手として描かれており、「無限列車編」の実質の主人公「煉獄」が後半は作品を引っ張るという作りになっている。
だからこそ「知らな人」は「夢」周辺の描写で、その設定を類推できるし、後半は「新しい情報」としての「煉獄」の物語が語られるので、楽しめるというわけだ。
「鬼滅の刃」の面白さ

ストレートなことに「衒いがない」
この作品の面白さって例えば「ごっこ遊び」がしやすい。
これが重要ではありませんか?
例えば「剣撃の型」の映像的ケレン味。
「ケレン味」とは?
ハッタリやごまかしを効かせた演出のことを指す。
これは確かに「幼稚園」「保育園」「小学校」で流行るだろうし、「呼吸法」そして「技名」を叫ぶ。
その「技名」の叫びたくなるセンスなど、いわゆる「マネ」したくなるシーンが随所に散りばめられている。
それは、すなわち表現を「ストレート」に描くこと、すなわち「熱い王道展開」に衒いがないと言える。
昨今のクールな、カッコ付きでいうところの「リアル」とは違う、いい意味で「少年漫画らしい」要素が散りばめられているのだ。
そしてその要素を少しずつ分解すると、確かに「ジョジョ」っぽさ、「るろうに剣心」とか、作品の至る所に、これまでの人気漫画がサンプリングされている。
それをひっくるめて「鬼滅の刃」らしさだとも言える。
そして今作では炭治郎の「睡眠」からの覚醒方法など、実はちょっと「ダーク」さも垣間見え(それを繰り返せる、彼の異常さ)、そこまで含んで、あぁ「鬼滅の刃」らしいなという点に、落とし込んでいた。
メインキャラも「死ぬ」
この作品で「煉獄」はある種の「炭治郎」を導く「メンター」だ。
彼の生き様が、炭治郎の成長に直結する。
このように彼の「死」は、今後に大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。
昨今の「流行漫画」のトレンドに、「メインキャラも容赦無く死ぬ」という共通点がある。
「進撃の巨人」がおそらくこの流れを作り出したのは間違いないが、とにかく最近は「油断すると死ぬ」
これは「ONE PIECE」などを別に悪くいうわけではないが、やはりこの「ONE PIECE」で長くメインキャラが退場しない、それは人気あるが故もあるが。
ということへの強烈なカウンターにもなっている。

要は、これだと「死」へのスリルがないので、結局「予想の範囲」に収まるという弱点があるのだ。
「ONE PIECE」ほどまでに達すると「約束のカタルシス」があるので、これはこれで強みでもあるのだが。
だが、「進撃」から続いている流行は「死」のハードルが低いという点がある。
誰もが突然「死ぬ」
その分、「カタストロフ」的な要素で、読者に衝撃を与えることができるのだ。
「カタルシス」・・・「浄化」、つまり気持ちよさの意味を持つ
「カタストロフ」・・・「悲劇」つまり破局的な意味を持つ
このように、きちんと昨今の流れに乗っているのも、この作品の「ヒット」した理由であることも間違いない。
「列車」舞台は映画的
世界最古の映画作品とはリュミエール兄弟が1895年に製作し、1896年に商業公開した映画『ラ・シオタ駅への列車の到着」だ。
ただ駅に入ってくる列車を写しただけの映画だ。
だけど、そこには、確かに物語がある。
「列車が駅にやってくる」という。
そして映画の歴史は「列車映画」とともに発展してきたと言っても過言ではない。
それこそ「大列車強盗」なんて、その典型だし、列挙するとキリがないのでしませんが、「列車」と「映画」は非常に密接な関わりを持っているのだ。
そもそも「映画」という構造が、我々を映画館という乗り物に乗せ、物語という「線路」を進んでいく。
そして目的地へ辿り着く。
非常に「映画」という媒体と「列車」という乗り物は類似性があるのだ。
という事で、ボクなんかは「無限列車」という、列車という限定空間での物語を映画にするということに、「映画史」との関係を見出さずにはいられなかったのだ。
だからこそ、「列車」であることの意味をもっと感じるストーリーでもよかったかなぁ。とは思うんですけど。
そこの理由づけで「魘夢」の作戦の「列車」と合体というのも、ちょっと呑み込みずらさがあったり。

今作品を振り返って
ざっくり一言解説!!
初心者が見ても、間違いなく「面白い!」
初心者が見ても、問題ないので、知らないから二の足を踏むのは、勿体ない!!
まとめ
という事で、この作品、ぜひ大迫力のスクリーンで見るのがおすすめだと思います。
特にクライマックスの敵と煉獄戦は、これが一番熱いです!!
その熱さはぜひ、劇場で体感しないといけませんよ。
そして、何度も言っているが、原作未読、アニメ未視聴でも、十二分に楽しめる作品だと、「初心者」のボクが保証しますので。
ぜひこの「祭り」に参加するのがオススメです!!
さて、ようやく購入した「鬼滅の刃」を読んで、ボクも「鬼滅初心者」卒業します!!
まとめ
- 「初心者」でも大丈夫!!
- 列車舞台の一遍を映画にする、これこそ「映画的」
- なぜ流行してるのか、それは「マネしやすさ」と「容赦ない死」」を描けるから。

という事で、読了ありがとうございました!!
【追記】「鬼滅の刃」初心者を脱した視点からみた、劇場版

そもそも「アニメ」のクオリティが半端ない!
ということで、ここまでは「初心者」視点でお届けしてました。
ここからは、しっかり原作を読んで(8巻の『無限列車編』まで)の追記になります。
まずこの「鬼滅の刃」何がすごいのか!?
これは多くの方々も指摘されていて、身も蓋もないんですが・・・。
「アニメがすごい」作品、だと言える。

ちなみに「進撃の巨人」作者の諫山創氏は自虐気味に「原作はアニメの方、僕は絵の描けないコミカライズ担当という感じ」と発言されている。
それほど、アニメのクオリティが高いと言うことの裏返しだ。
劇場版に限った話だけで言うと、「無限列車」での炭治郎と魘夢の戦い。
原作では「夢」の罠など、その中での体験は割とサラッと描写されてましたが、劇場版ではそれを再度「初心者」のためのフックにしている作劇としての工夫は前述した通り。
そしてさらに作り手は「アニメを見る喜び」すなわち「動きの気持ちよさ」を追求し、劇場用アニメに相応しいクオリティをきちんと用意している。
特に後半の、もうこれもネタバレにはならないでしょう・・・。
炎の柱「煉獄」VS「猗窩座」
ここの描写も原作では、話数と話数の行間で煉獄が窮地に追い込まれるなど、かなりテンポが速いのだが、劇場版はそこをきちんと描写をしている。
お世辞にも8巻の時点で、アクションを見せるのが得意とはいえない原作から、ここまでのクオリティに仕上げてきたのは 「ufotable」の凄さだとしか言いようがない。
こうした原作のある作品の「アニメ化」「劇場版」などは、基本的には「知っていることを、そのままする」
言ってしまえば、「知っていることしか起こらない」
それはつまり、「見なくても問題ない」と言い換えることも可能なのだ。
だからこそ、特に漫画原作の劇場版などは、「オリジナル長編」を作ることが多いのだ。(「ONE PIECE」「名探偵コナン」「ポケモン」など)
しかし今作品はそこに真正面から立ち向かう。
「知っていることを、ここまで凄くできますよ!!」と真正面から答えて見せたのだ。
これは「真っ当なクリエイティブな姿勢」の勝利だと言える。
「足し算思考」で作られた作品
先ほどから「原作はサラッとしている」と言っているが、こと「鬼滅の刃」に限っては、それが大ヒットになる要因だと言える。
今回の劇場版は、原作における7巻、8巻のアニメーション化。
つまり原作の要素を全て再現しても、まだ時間に余裕がある。
つまり「足し算思考」で映画化できるのだ。
例えば「ONE PIECE」で「アラバスタ」を劇場版にしたことがあったが、あれは今作とは逆で、要素をどんどん削って「引き算思考」で作らざるを得なかった。
だからこそ、話運びに余裕がなく、原作ファンが見ると「足りない描写」に不満を抱いてしまう。
だが、今作品は「原作がサクサク進む」ので、どんどん要素を足せる。
だから、原作ファンが見ても楽しめる。
そして、「初心者」が見てもクオリティの高さに驚かされる。
だからこそ、この「大ヒット」につながったのではないだろうか!?
深掘りポイント
ちなみに、逆に原作は「サクサク進む」と言ったが、これが「良さ」になっている。
つまり、まどろっこしい点もなく、読者の知りたいと言う欲求を先送りせずに、どんどん見せる。
長い伏線などを回収する気持ちよさ、それを長年追って知る気持ちよさ。とは逆の欲求の解消法だともいえる。
「鬼滅の刃」は昨今の長編漫画にありがちな「もったいぶり」を排していおり、これが強みにもなっているのではないだろうか?

振り返り
まとめ
- 「知っている話」を端折って映画化したのではない。
「知っている話」を、誰もの予想を超えるクオリティで映像化した今作品、だからこそファンも納得の大ヒット! - もし「アニメ化」がなければ、ここまでの「ヒット」もなかったのでは?
と思わせるほどの「アニメの出来の良さ」は特筆すべき。 - 読者の欲求の「解消法」がそもそも、違うのではないか!?