映画評 評論

【映画記事】「モンスター・ホテル」って面白いの? という疑問にお答えします!

2020年5月15日

Netflixで映画探しをしていると、今まで知らなかった”掘り出し物”映画に出会えることある!

ということで、今日紹介するのは「モンスター・ホテル」

この記事を読むと

①普遍的なテーマが描かれる作品であるということがわかる

②展開の巧みさを知ることができる

③「モンスター・ホテル」に興味が出る

まだまだ、知らない名作がいっぱいだね

「モンスター・ホテル」について

基本データ

  • 公開 2012年
  • 監督 ゲンディ・タルタコフスキ
  • 脚本 ピーター・ベイナム/ロバート・スミゲル
  • 出演 アダム・サンドラー/セレーナ・ゴメス/ケヴィン・ジェームズ 他
  • 吹き替え 山寺宏一/川島海荷/藤森慎吾

▼あらすじ▼

モンスター・ホテル、そこはモンスターたちが安心して休暇を過ごすための、モンスターのための社交の場。

ドラキュラが自分の故郷トランシルバニアに作ったホテルである。

モンスター・ホテルで男手ひとつ、娘のメイヴィスを大事に育ててきたドラキュラ。

けれど娘の118歳の誕生パーティの前夜、21歳の人間の若者ジョナサンがモンスター・ホテルに迷い込み、あろうことかメイヴィスが一目ぼれ。

子離れできないドラキュラは、娘の恋に大パニック!

折しもパーティに集まった世界中のモンスターたちを巻き込んでの大騒動に!

YouTubeムービー説明欄より抜粋

ネタバレも含みながらの解説スタート!

今作は「リトル・マーメイド」のフォロワー作品である

構造を因数分解して読み解く

前述したあらすじの通り、この作品は「ドラキュラの娘」と「人間」が恋をするという、異種間恋愛の物語だ。
そこに娘であるメイヴィスを溺愛しすぎているがために、過保護な父親であるドラキュラの物語が交差する作りになっている。

この構造自体は、別に珍しくもなくい。
例えばディズニー作品の名作の一つ「リトル・マーメイド」これはどうしたって連想せざるを得ない。

リトルマーメイドのアリエル。これはメイヴィス。
トリトン王はドラキュラ。
人間エリック王子のポジションはジョナサン。
あとリトルマーメイドにおける海底世界アトランティカ、これは「モンスター・ホテル」だと言える。

このように構造はほとんど同じである。

それは各キャラの考え方にも現れている。
人間界に思いを抱くメイヴィス。
「人間は危険」と教え、外に出ることを堅く禁じるドラキュラ。

ここまで聞くと、似通っていることがわかっていただけるのではないか?

今作品はそういう意味で「リトル・マーメイド」の一種のフォロワー的作品だと断言してもいいかもしれない。

ポイント!

物語を構成する要素は「リトル・マーメイド」とほとんど同じ
フォロワー的作品だと言ってもいい

親離れ、子離れ

今作で描かれるのは「異種間の恋愛」もさることながら「親離れ・子離れ」である。

まずは「親離れ・子離れ」についてだね

ドラキュラは悲しい過去がある。
それは妻を人間に殺されたことだ。そのためにメイヴィスに人間界にいくことを堅く禁じている。

そして彼女を「モンスター・ホテル」に留め続けている。

かたやメイヴィスは人間界に行きたい。そういう思いを抱き続けていた。

メイヴィスは父親に、外の世界との接触を禁じられている。
そして、そのことを堅苦しいと思っているのだ。
いつまでも子供じゃない。と父に反発する。

ドラキュラは娘に、絶対に「危険な目にあって欲しくない」と願っている。
だからこそ、外に出ることを禁じる。

どちらの主張も間違ってはいない。

いつまでも子供じゃない。
自分で判断できると、父親の言いつけを堅苦しく思うメイヴィス。
その心情はまさに「子の心親知らず」といえばぴったりだ。

逆にドラキュラは娘に「危険な目に合わないで欲しい」それだけが願いだ。
どうして娘がそのことに気づかないのか? と感じている。
それは「親の心子知らず」といえばいいだろう。

どちらの主張も正しいし、間違ってはいない。
ここまで極端なことはなくても、こういうことは、誰にでも経験のある話ではないだろうか?

だからこそ、やはり見ていていろいろ考えさせられてしまう。
普遍性にも満ちている作品だと言える。

ポイント!

「親の心子知らず」「子の心親知らず」
まさにこの言葉がぴったりな父娘の関係性。
誰もが共感しうる普遍性に満ちている

娘の初恋の相手は二重の意味を持つ

そんな二人の関係に割って入るのが「人間」であるジョナサンだ。

このジョナサンはドラキュラにとって二重の意味を持つ存在だ。
一つは、娘の初恋の相手であるということ。
そして、もう一つは憎き人間という点だ。

まずは娘の初恋の相手という点からみる。

大切な「箱入り娘」にまとわりつく虫を振り払おうと奮闘する父親。
この心境、「父親」真理として理解できないことではない。

娘はいないけどね笑
でも何となくは理解できるじゃん!

そしてもう一つの問題点として、「憎き相手」であるという点も見逃せない。

娘の初恋相手。とは言ってもジョナサンは「人間」だ。
妻の命を奪った相手だ。

モンスターという同胞を見つけては、殺そうとする人間。
ある意味で今作のモンスターたちは、人間に迫害されている存在だ。

そんな人間とモンスターの恋愛。
それがしかも娘。
それはどうしたって許すことができない。

これも心情として深く理解できる。

ただ、この構造も実は「リトル・マーメイド」と似通っているんだ

そんな二重苦を味わうドラキュラだが、今作品では、そこをうまく処理する。
この手際の部分は非常に高く評価できる、その点をこれから見ていきたい。

ポイント!

父として、娘についた悪い虫は振り払いたい。
その心情は理解できる

妻を人間に殺されている過去。
だからこそ人間と娘の恋愛など認められない。
という心境。

二重苦に陥るドラキュラ

非常にうまい「二重苦」の解消

ジョナサンとドラキュラの関係を深めるという手法

今作品は繰り返しになるが構造、キャラ設定などは「リトル・マーメイド」のフォロワー作品であるということは揺るがない。

特に二重苦に陥るドラキュラ。
そこに同じ父親であるトリトンの姿も重ねることができる。

だが、今作はその解消をが非常にうまい。

それは人間ジョナサンとドラキュラに友情関係を結ばさせるという手法だ。

「リトル・マーメイド」はアリエルとエリックの関係を深くしていくことで、
勢いで認めさせている感もあるんだよねー
ここが弱点とさえ思っているよ

この作品は、先ほど「異種間恋愛」「親離れ・子離れ」がテーマだと述べたが、実は一番大きいテーマがある。
それが「ドラキュラ」と「人間」の友情だ。

友情を深めることでの心情変化

最初は人間が紛れ込んだことを必死に隠そうとするドラキュラ。
まずは人間であることを悟られないようにモンスターの仮装をさせ、そのまま追い出そうとする。

だがメイヴィスがジョナサンと出会ったことで、隠しきれなくなってしまう。

ちなみにモンスターは人間が怖い、
人間の血は「体によくない」という
なぜ「殺さないのか」という理由もしっかり描いている

そこで人間であることを悟られないように、娘の誕生日会に参加させ、その後追い出そうとした。

このジョナサンはいわゆるパリピだ。
特に吹き替えだと、オリエンタルラジオの藤森が演じているので、より強調されている。

個人的に藤森さんの吹き替えは、
悪くないと思うんだけどね

ドラキュラのメイヴィスのための出し物は、どれもつまらない。
せっかく参加してくれる、客モンスターも白けてしまっているのだ

それを見かねたジョナサンが、得意のパリピ発揮で、盛り上げる。
バンド演奏の曲をロックアレンジをしたり、騎馬戦大会を催したり、彼のアイデアでパーティーは最高潮に盛り上がるのだ。

ここでドラキュラは彼にジェラスを感じるんだ

何度も、スキを見て彼を追い出そうにも、人気者になった彼。
そんな彼に嫉妬しつつも、空飛ぶテーブルでの出来事をキッカケに二人は友情を深めるのだ。

このエピソードがあるからこそ、前述した二重苦の解消が自然な形で行われる。

ポイント!

✅二重苦を解消する、最良の展開である「友情」を育むという展開

二重苦の解消

二人が友情を結ぶことで、まずは「父親」としての処理が行われる。

彼が「いい奴」「信頼できる奴」
そう気づくことで、彼になら娘を預けることができる。
という考え方の変化、これが自然とできるのだ。

次に「人間」であるという点。
これも「人間」の中には「いい人間」もいると気づく。
そのことで、「人間」を信じてみようと、過去の出来事から前を向こうというキッカケになる。

だからこそ、終盤。
人間だとバレたジョナサンを必死に救うドラキュラ。
その行動には「友情」が起因しているので、飲み込みやすくなっている。

そして、去ってしまったジョナサンを命がけで迎えにいく。
そこで憎かった人間からも手助けをされながら、彼を連れ戻す展開
娘の幸せを祈る父親として、ジョナサンを認めての行動として、ここも自然なものになっている。

この処理があるからこそ、クライマックスまでの展開が自然なんだ

ポイント!

二人が友情を育むことで・・・

「父として」
娘をたくせる存在としてジョナサンを認めるキッカケになる

「ドラキュラとして」
過去の経験から「人間は悪」と考えていたが、もう一度人間を信じてみる
キッカケになる

恋愛映画として

外の世界を彼に重ねる

この作品でメイヴィスはジョナサンに一目惚れするが、それは彼の姿に、自分の知らない世界を投影していたからだ。

ジョナサンは世界を旅するバックパッカーだ。
人間の世界を飛び回り様々な見聞を持っている。

かたやメイヴィスは「モンスター・ホテル」から一歩も外に出たことのない存在だ。

そんな彼女は、彼を通して「憧れの世界」を感じ取っていたのかもしれない。
そのため、どうしようもなく彼に惹かれた。

だからこそ、ジョナサンがモンスターではなく「人間」と知った際も、それでも彼を「好き」だと言ったのだ。

今作で使われる「ビビビ」という単語。
「結婚相手」「運命の相手」と出会ったら、直感で通じ合うものだ。
というこの作品世界では当たり前の感覚。

それを感じるキッカケは彼の後ろの「世界」を感じたからなのかもしれない。

そして、それはジョナサンからメイヴィスに対しても当てはまるのかもしれない。
作中では「顔が可愛い」という理由での一目惚れだった。
ここも吹き替えだと、藤森さんの「キミ、かわうぃーね」ですからね。

だけど、それでもバックパッカーという「知らない世界」を知りたい。
その「知らない」つまり「モンスター世界」という、彼にとって「外の世界」
それをメイヴィスから感じ取ったのかもしれない。

だからこそ、二人は互いに「ビビビ」を感じたのだと僕は考える。

種族を超えでもなお二人は、共通の「何か」を共有していたのかもしれない。

ポイント!

二人は互いに「外の世界」を感じとっていた。
だからこそ惹かれあった

今作を振り返って

ざっくり一言解説!

ビビビ。ときた良作だ!

何なら、僕の抱いてた「リトル・マーメイド」の弱点を補完しているよ

まとめ

というわけで、思っていたよりも良質な映画体験ができた。
かなり得した気分だ。

もし弱点をあげるとすれば、やはり展開が読みやすという点だろう。
基本的には、何度も言うが「リトル・マーメイド」のフォロワー作品だと言うこと。
仕方のないことだが、展開も酷似している。

だが、それ以上に良い点も多くある作品だ。

僕はNetflixで鑑賞したので、加入者はぜひ「モンスター・ホテル」はぜひ見て欲しい。

要点整理

「親離れ」「子離れ」
「親の心子知らず」「子の心親知らず」という普遍性

ドラキュラの二重苦を「友情」で解決する手際

異種間恋愛、二人は互いに「知らない世界」を感じとる。
だからこその「ビビビ」

今日も読了。お疲れ様でした!
また別の記事でお会いしましょう!

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