
今日は、久々に「ディズニー長編アニメーション」を公開順に紹介する「ディズニー総チェック」
今回取り上げるのは「ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!」です。
ちなみに、日本では劇場未公開という、物凄く「不憫」な作品だと言えます。
この作品のポイント
- 全体的にテンポよく、笑える作品。
- 物語の基本に忠実な「行って・帰ってくる」物語。
- 個人的にはかなり「高評価」したい。
目次
「ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!」について
基本データ
基本データ
- 公開 2004年(日本未公開)
- 監督 ウィル・フィン/ジョン・サンフォード
- 脚本 ウィル・フィン/ジョン・サンフォード/マイケル・ラバシュ ほか
- 声の出演 ロザンヌ・バー ほか
あらすじ
欲深い悪党たちが、ある農場を奪い取ろうとたくらむ。
そこで暮らす3頭のウシや、蹴りが得意な馬などの動物たちが、農場を救うために協力して悪党たちに立ち向かう。
高額の懸賞金を手に入れるため、動物たちは団結して危険を冒し、悪党たちと張り合う。
ディズニープラスより引用
日本未公開ということもあり、情報が薄すぎる・・・
この辺り「ディズニープラス」は、ホントいい加減だわ
基本に忠実な良作

物語の骨格は「古典的」
今作「ホーム・オン・ザ・レンジ」について、先に結論を言っておくと、「良作」だと言える。
確かに「日本劇場未公開」で、しかも情報もほとんどない。
なので軽んじられてる作品である、そのことは認めざるを得ないが、それで見ないのは勿体ない。
それほど、良質な作品だと言えるのだ。
そんな、今作品は基本的には、いたってシンプルな物語構造を持っている。
もっというと、「古典的」とさえ言えるほどにシンプルなのだ。
「行って・帰ってくる」
まさに、今作はこの一言ですべて説明したも当然だ。
今作は、西部開拓時代が舞台だ。
そこで、三匹の雌牛「マギー」「キャロウェイ」「グレイス」が、牛泥棒で賞金首の「アラメダ」を捕まえて、その懸賞金で「楽園農場」を守ろうとする話だ。
その「旅」の道中で三匹は喧嘩し、そして友情を育み、そして目的を達成して、戻ってくる。
至ってシンプルな物語構造なのだ。
と、いうことはどういうことか?
このブログ的には非情に「語りにくい」作品であるともいえるんですよね(笑)
しかも、物語のテンポも非常に早い。
今作は「マギー」が別の農場から「楽園農場」にやってきて、そこから、「楽園農場の危機」
そして「旅立ち」までも非常に早いのだ。
最初は品評会で高評価されたこと、そして「下品な言葉遣い」でマギーと、上品な「キャロウェイ」は反りが合わない。
「グレイス」は空気を読まないので、どこか一同のやりとりは、ぎくしゃくしている。
そこに、もう一匹空気をよまない馬の「バック」が関わってくる。
基本的にはこの4匹が関わり合いが、今作では描かれるのだ。
コメディよりの作品
今作は基本的に「シリアス」というより「コメディ」として描かれる作品だ。
三匹の雌牛のやり取りや、空気の読めない馬の「バック」

そして今作のヴィラン「アラメダ」と部下のやり取りなども、非常に面白いものになっている。
なかでもアラメダの「特殊能力」ともいうべき「ヨーデル」
牛を洗脳させ、いのままに操る力なのだが、このシーンの表現は、一番「イッちゃってた」時期の「ディズニー」らしい、非常にビビットでドラッギーなものになっている。
「ダンボ」の酔っぱらいシーンや「プーさん」の「ズオウとヒイタチ」なみに、画面がチカチカ、マギーたちのイッちゃってる目など。
この感じもディズニーの面白さだとも言える。
深堀りポイント
彼が悪に染まる原因はアラメダの「ヨーデル」を、かつて彼が働いていた農園の、主にバカにされていたのが原因だ。
恐らく、「歌声」そのものをバカにしたというよりも、副産物的に「牛をおかしくさせる」ことに対する、苦言を呈したのだろうとは思われる・・・。
それを武器にして「牛泥棒」をしていることを考えると、かなり味わい深いキャラだとも言える。
ヴィランでいうと「リコ」はただの「ミスリード」的存在としか描かれないのが、若干不満であったりもする。
そして、この世界観のなかで唯一の「シリアスムード」なキャラクター、「伝説の賞金稼ぎリコ」
彼は、基本的に顔は厳つく、そして悪人を容赦なく捕まえて賞金を荒稼ぎするキャラで、馬の「バック」は彼とともに「正義の味方」として活躍することを夢見ている。
しかし、そんな彼が実はアラメダとグルだったこと、そこでバックは、この物語の中で唯一「信じていたものに裏切られる」という経験をしてしまう。
そこから、自分の「正義」を貫く姿が描かれもするのだが、だがその後の活躍も非常に「コメディ的」になっている。
ちなみに途中「トロッコ」で縦横無尽に駆け回るシーンもあるが、これは「西武時代」や、切り立った岩山という立地。
これらの要素から、「ビックサンダーマウンテン」的なものを想像させられた。
これはかなり、作り手としても意識的にやってることだと思えるのだが。
一体どうなんでしょうか?(笑)
「乗り物アクション」という観点でいうと・・・。
ラストの蒸気機関車で暴走するラストも非常に「ドタバタコメディ」として、勢い重視でここも見応えはあった。
そして「ポイント切り替え」の場面は、うさぎの「ラッキー」の義足を「そう使うか」と工夫も見ることが出来た。
このように、「勢い」「コメディ」に振り切った作りが、今作最大の魅力だと言えるのだ。
「良作」ではあるが・・・
今作は基本的に「コメディ」「アクション」に割り切った、これはこれで「良作」と呼んで差し支えない作品だと言える。
だが、例えば動物のデザイン、特に主役三匹が「かわいくない」というか、なんというか。
まぁこれは「人気は出ないだろう」ってデザインとも言える。
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— ディズニープラス公式 (@DisneyPlusJP) March 2, 2021
45作目『ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!』
動物たちのチームワーク✨
46作目『チキン・リトル』
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また、たしかに「コメディ」として良質であるが(個人的には「ラマになった王様」より全然面白いと思います)、それ以上でもないというのが、評価されない点なのかもしれない。
確かに音楽面は「アラン・メンケン」が手掛けているので、そこは非常に素晴らしい。
だけど、「もう一歩」何か足らないのが、この作品が「良作ではあるが・・・」で止まってしまう大きな原因だとも言える。
恐らくその原因は「キャラ」ではないか? と僕は思う。
やはり「登場キャラ」が、この時期のディズニー作品では「魅力に乏しい」
これが、この時代に付きまとう大きな問題だと言える。
それが「リロ・アンド・スティッチ」を除く、「2000年代」の「ディズニー作品」に共通している、いわゆる「暗黒の理由」なのではないか?
「暗黒期」だと言われても、作品それぞれをキチンとみると、「良い部分」も多いのに、何故か物足りなくなってしまう。
その大きな理由とも言える「キャラ」
恐らく「他社アニメ」なら、これで評価されるかも知れないが、やはり「ディズニー」は多くの「キャラクター」を生み出してきた歴史があるのだ。
そのため、「この部分が弱いと」たちまち「評価が低くなる」のだ。

どれほど「でかい功績」だったか、分かってもらえるのでは?
そういう意味でいうと、やはり今作の「キャラ」は弱い。
勿論、作品としては十分なキャラ付けがされているので、これはこれでいいのだが、それでも「弱さ」を感じてしまう。
恐らく、この「暗黒期」の原因は「ディズニー」が魅力的な「キャラ造形」が出来なくなった時期、つまり「マンネリ」に入ったことなのかも知れない。
今作品を振り返って
ざっくり一言解説!!
悪くはない作品だが、何か足らない・・・
だからこそ「暗黒期」なんだろうね
まとめ
今作品は「日本未公開」ということもあり「知名度」は低いが、しかし大変「見ごたえ」のある作品だったと言える。
「コメディ要素」「テンポ感」「派手なアクション」など随所に面白い要素が散りばめられていた。
しかし、それでも「満足」出来ないのは何故か?
その理由は、恐らく「キャラクター」だ。
この「2000年代」は「総チェック」で何度も繰り返しているが、「暗黒期」と言われる時期なのだが、どの作品も鑑賞すると「光るものがある」
何だったらキチンと「成長している証」すら見えるのだ。
「だけど、足りない、なにか」
アリエルの心境ではないが、確実に「足らないもの」があるのだ。
それが恐らく「キャラクターの魅力だ」
物語内でのキャラ付けとしては十分なのだが、「ディズニーらしさ」「ディズニーに求められている」
こうした要素を取り込めていないのだ。
そう考えると「スティッチ」はやはり「内容」プラス「キャラが良い」ことで「大ヒット」した。
そのことを見ると、「キャラクター」の魅力は、やはり「ディズニー映画」にとっては、必要不可欠と言えるのだ。
それは、ここまで積み上げた「歴史」がそうさせているのである。
だが、映画としてみれば(ディズニー抜きに考えて)、今作は非常に見応えのある作品であることは間違いないので・・・。
というより、「ディズニーだから」損しているともいえるので、ぜひ軽い気持ちで見てください。
絶対楽しめますから!!
まとめ
- 全体として良作!
- しかし「ディズニー映画」としては物足りない、「映画」としては十分楽しめる!