
さて、今日は「フォードVSフェラーリ」についてです。
今回は「半沢直樹」を毎週楽しみにしている”お前さん”たちにお届けします!
もちろん映画好き、鑑賞済みの方にもです。
今作のポイント
- 「フォードVSフェラーリ」でも実際は「フォード内紛」の物語。
- 何度も妨害される、でもそこからの「逆転」が気持ちい!
- フェラーリが、「ケン・マイルズ」の凄さを認めるシーンで鳥肌!
思わず、劇場で「アクセル」を踏んでしまう、そんな作品でしたね!
目次
「フォードVSフェラーリ」について
基本データ
- 公開 2020年
- 監督 ジェームズ・マンゴールド
- 脚本 ジェズ・バターワース/ジョン=ヘンリー・バターワース/ジェイソン・ケラー
- 出演 マット・デイモン/クリスチャン・ベール
あらすじ
かつてレーサーとして活躍し、今は気鋭のカー・デザイナーとしての日々を送るキャロル・シェルビーのもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社からオファーが届く。
それは、ル・マン24時間耐久レースで絶対王者に君臨していたイタリアのフェラーリ社に勝てる車を造ってほしいという、不可能とも思える内容だった。
さっそくシェルビーは凄腕のイギリス人ドライバーのケン・マイルズを口説き、2人でレーシングカー、フォードGT40の改良とテストを重ねていくが…。
Amazon商品解説ページより抜粋
物語展開で「燃えない」ワケがない!!

なぜ日本人は「池井戸作品」が好きなのか?
今作品を見て、最初に僕の結論から申し上げると、「誰が見ても面白い、非常にレベルの高い作品」だと思います。
まず、ストーリーラインから面白くならないわけがない、という感じで。
元レーサーのカーデザイナーと一匹狼の天才レーサー。
彼らが「ル・マン24時間耐久レース」の王者を目指す。
彼らの敵は他の企業のみならず、「フォード」社内からの横槍、対立。
それらを跳ね除けて、絶対王者「フェラーリ」に挑むという。
ちなみに実話ベースの作品となっています!!

余談だけど、こういうストーリーって実は、今の日本人が慣れ親しんでいるものだとも言えるのではないでしょうか?
例えば「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」とか、要は日本で毎年定期的にドラマ化されている「池井戸潤」原作的な物語だとも言えるかな。
で、これはあまり今作と直接的には関係ないんだけれど、どうしてこんなにも「池井戸作品」はウケるのか? ちょっとこの点を深ぼっていきます。
彼の作品って、勤め人の持つ「内心」の「不満」とかを全部消化してくれるのが気持ちいのかもしれませんね。
- 部下のため頑張りたい、他社に負けないように頑張りたい。
- でもそれを「同じ社内」の利権争いに巻き込まれ実現できない。
そんなジレンマに追い込まれる。
でも、最後は自己実現を成し遂げる。
全てのサラリーマンが、このレベルの問題を抱えているとは思えないが、それでもやっぱ「社内の煩わしい人間関係」「横槍」は、働いていれば絶対起こること。
その「不満」「イライラ」を見事に、それも気持ちよく解消する。
だからこそウケる。

「フォードVSフェラーリ」もこの構造を持っている、だからこそ、特に「半沢直樹」をはじめとする「池井戸作品」がウケやすい日本でも、高く評価されたのではないか?
ポイント
✅多くの勤め人が抱えるストレス、それらを解消できる作品が、好まれる日本。そんな今の日本人にぴったりな作品である。
どちらかというと、「お家騒動」
今作は「フォードVSフェラーリ」というタイトルだが、どちらかというと「フォード社内」での経営方針を巡ってシェルビー率いる「レースチーム」と副社長であるレオ・ビーブの対立に重きが置かれる。
僕らの大半が属すであろう「企業・会社」そういう中に、なんかイチャモンつけて妨害してくる上司いません?
今作で主人公キャロル・シェルビー、ケン・マイルズのコンビ。
彼らに「打倒フェラーリ」を命じる「フォード」
そのためにベストを尽くそうとする2人や、「レースチーム」
そもそもどうして「フェラーリ」に勝ちたいの!?
元々は「フェラーリ」買収のために動いていた「フォード」
その交渉に「フェラーリ」は応じつつ、裏では「フィアット」に自社を高く買わせようと「フォード」を「ダシ」にしていた。
その屈辱を晴らすため「フォード」は「フェラーリ」の一丁一番町である「レース」で打倒をもくろんだのだ。
「フェラーリ」打倒という会社からの要望に答えるためにベストな選択をする。
それにも関わらず、「マーケティング」などを理由に、会社内の人間が横槍を入れまくってくる。
特に副社長ビーブ。
彼はこの物語で終始邪魔しかしてこない。
普通、最後の方で主人公側にこういうキャラって味方してくれそうなものなのに、最後の最後までダメ提案しかしてこない。
特に、シェルビー、ケンのコンビに当然思い入れてしまうからこそ、途中からビーブに対して本当に「邪魔だなぁ」と強く思わされてしまう。
それが物語の没入度を高めてくれる役割にもなっているから、これは本当にうまいんだと思います。
なので、この映画「フォードVSフェラーリ」というタイトルですが、実際は「ビーブ対シェルビー/ケン」です。
そういう意味で「フェラーリ」との対立が、実は薄いということ不満な方がいるのも、それは理解できます。
しかし今作の「フェラーリ」には「敵役」ではない、別の役割を負わされているのだ・・・。
ポイント
✅「内紛」にどう勝利するのか、そこが見所!!
「フェラーリ」は「好敵手」である
今作品の「フェラーリ」に与えられた役目。
それは本当に良き意味での「ライバル」「好敵手」である。
実際に芸術品のように車を作る「フェラーリ」
- 1人、1人の職人によって、手作業で作られる車。
大量生産、つまり工業製品として車を作る「フォード」
- 巨大なレーンで、流れ作業で効率よく作られる車。

そもそもの車に対するスタンスの違う2社。
確かに序盤で「フェラーリ」は「フォード」を出汁にしたり、見下す発言をしたりしますが、やはりこの2社が合併することは「精神」の部分から不可能なわけで。
そういう意味で「レース」でのスタンスも違う。
「フェラーリ」は「プライド」をかけている。偉大な企業としての名前をかけている。
だからこそレースでは一枚岩。
かたや「フォード」は「商売」にレースの結果をつなげようと、考える。
だからこそ、前述したような社内の対立が起こる。
ただし、だからこそ「フェラーリ」は破産という。経営状況の悪化に追い込まれたということでもある。
僕が「フェラーリ」の姿勢に痺れたのはラストだ。
話は前後するが、レースの衝撃の結末の後、「フェラーリ」社長の「エンツォ」彼だけがマイルズに称賛を送る。
ライバルだが、実は「フォード」の人間の誰よりも彼のレースが素晴らしいということを、それを認め敬意を評する。
そのかっこよさたるや。
会社としての「品格」という差を見せつけエンツォが去る。
レースには確かに勝ったのだが、だが「フォード」は真の意味で勝利したのだろうか・・・。と思わされる。

ポイント
✅「フェラーリ」社長のエンツォだけが、マイルズのレースに敬意を表す姿に鳥肌。
今作の見所!!

友情を深める「マイルズ」「シェルビー」
社内の多くの横槍にさらされ、1965年の「ル・マン」では、メインレーサーでマイルズを起用できず、惨敗することになる。
そこからシャルビー、マイルズの殴り合いの喧嘩。
でもこれは二人がよりコンビを深めるための喧嘩だとも言えて、逆にそういう逆風に晒されれば晒されるほどに、二人の信頼が強固になっていく。
僕らもどんどん二人に思い入れてしまう。

この喧嘩シーンでのマッド・デイモンとクリスチャン・ベールのウキウキ感。
お前ら仲良いだろ。って思わず言いたくなる絡みつき・・・笑
あとクリスチャン・ベール今回も20kg減量ですか・・・。この人もう役作りが尋常じゃないですし、あと煽り顔。うまいねぇ。
など見所も多いですよ!
その後「1966年ル・マン」にマイルズをメインレーサーにどのような手段でねじ込むのか。
そこで見せるシェルビーの機転。
まさかのビーブ監禁という、説得とかしない脳筋手段からの社長に直談判。
そこでフォード二世をレースマシンに同乗させることで認めさせたり、なんとかレースに参加を認めさせるという「勝利」
ビーブからのレース中にもくる横槍を無視することで、「勝利」するシーン。
前述したように、「フェラーリに勝つ」という点での「勝利」はやはり、前述したビーブのとんでもない謀略でカタルシスを一切感じない。
あくまで僕らは、「フォード社内」での争いに勝利することで、カタルシスを感じる作りになっている。
まさに、レースには負けたが勝負に勝ったケン。
彼に降りかかる最悪の事故。
これは、冒頭と事故の直前の7000回転以上の世界を語るシーンと対になっており、「車が重さをなくし、感覚だけが前に進む」というある意味ゾーンに入るとでもいうような感覚を語る描写。
そこから感じるそのゾーンには常に「死」が手招きしている。
そのギリギリを鬩ぎあうレースというものの危険性であり、でもそこに魅入られる。
レースの魅力だけではなく、恐ろしさを最後にきちんと見せるのだ。
ポイント
✅マイルズ、シェルビーの友情を深める過程が見所。
✅レースの「魅力」「恐怖」を描く点も見所。
レースシーンの迫力も言わずもがな
このように、語ってきた「物語的な面白さは当然」
もう一つ最大級に目を見張るのが「レースシーン」ですね。
車をCGを使わず実際に走行させる、実在感のある走行シーン。
そしてエンジン音、タイヤのグリップ音、工具でのピット作業の音の臨場感。
視覚・聴覚的に作り込まれた臨場感に、特に「ル・マン」のレースシーンでは、レーサー、ケン・マイルズと同じようにアクセルを踏む。
僕らの座席の前にある。架空のペダルを思わず踏み込むように、力を入れてしまうこと不可避な迫力たるや。
しばらく頭の中でエンジン音がけたたましくなり続けること間違いなしです。
ということで、ストーリーと、映画的な迫力。これだけで、もうね100点満点です。
ポイント
✅映像の迫力も素晴らしい、これぞ「映画」
今作を振り返って
ざっくり一言解説
気持ちの良い映画です!!
万人におすすめできる作品だと思います
まとめ
ということで、今作品。
ストーリーと、映画的な迫力。
これだけで、もうね100点満点です。
「普段映画とか見なくて」という人がいれば、間違いなく今作をオススメしたい、そういう作品だと思います。
あとね、どれだけ妨害されようとも、信念を持って、やり遂げる勇気。
ていうか、周りなんて関係ない、突き進むんだ!!
という姿勢は普段の仕事とか、いろんな場面で背中を押してくれる、そういう勇気を貰えた作品でしたね。
ただ、実際それすると、やばいよなぁー。なんて思ったりもしますが。笑
でも実際できないことを見せてくれる、それが映画の良さでもあるんだから、また明日から仕事頑張ろーって思わされる作品でした。
まとめ
- 「映画」としての完成度が高い。
- 勤め人の苦労を描き、そこに勝利する「カタルシス」が気持ちい。
- 今の日本人は確実に、今作に「ハマる」でしょう!!
ということで、今日も読了ありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう!!