ディズニー総チェック 評論

【映画記事】「ファンタジア2000」ーウォルトの理想の具現化ー【ディズニー総チェック】

2021年3月22日

 

ディズニー長編アニメーションを「公開順」に評論していく「ディズニー総チェック」

今日からいよいよ2000年代に突入。

ということで「ファンタジア2000」について、語っていきたいと思います!

 

今作のポイント

  • 最初に説明があるので、わかりやすさは「ファンタジア」より増してる。
  • ウォルト・ディズニーの理想とした形ではある。
  • ただし、結局生じる「そもそも論」

「ファンタジア2000」について

基本データ

基本データ

  • 公開 2000年
  • 製作総指揮 ロイ・エドワード・ディズニー
  • 製作 ドナルド・W・アーンスト
  • 監督 ドン・ハーン
  • アニメーション監督:ヘンデル・ブトイ
  • 演奏:シカゴ交響楽団 フィラデルフィア管弦楽団(魔法使いの弟子のみ)
  • 指揮:ジェームズ・レヴァイン レオポルド・ストコフスキー(魔法使いの弟子のみ)

あらすじ

ウォルト・ディズニーの「ファンタジア」にインスパイアされ、クラシックの名曲と最新のアニメーション技法をクリエイティブに組み合わせた続編。

新たな7作品と、最新のデジタル技術によって甦ったミッキーマウスの「魔法使いの弟子」の全8作品。

クジラの大群がダイナミックに大空を飛ぶ「ローマの松」
フラミンゴの群れが1羽の厄介者を説得しようとして騒動になる「動物の謝肉祭」
ノアの指示を受けたドナルドが、動物たちを箱舟に乗せる「威風堂々」
1930年代、4人のニューヨーカーが、憂鬱な毎日から抜け出そうともがく「ラプソディ・イン・ブルー」

最新技術を駆使して、ディズニーならではの伝統的なアニメーションと現代的な感覚を融合。

目と耳と心で楽しめる作品。

ディズニープラスより引用

「ファンタジア」と「ファンタジア2000」の違い

前作との違い

 

今作は前作の「ファンタジア」と違い、冒頭に作中でオムニバスで語られる短編作品に対しての説明がなされる。

ということで、まずは今作のオムニバス作品は、以下の3つのテーマで描かれる。

 

3つのテーマ

①物語性のあるもの
②物語性はなく、情景を描いたもの
③純粋に「音の構成」のみで語られるもの(絶対音楽)

 

まず、今作品で描きたいことを、どういう風に描くのか?
それが冒頭で説明されるので、前作よりも「親切設計」であるという印象を持った。

 

さらに「ファンタジア」と「ファンタジア2000」は演奏演目が8曲であるのは共通だが、「魔法使いの弟子」の演目以外は、すべて違う楽曲が演奏されている。
そして、これも特徴だが、上映時間が前者は120分、今作は75分となっている。

 

これは、前作が120分あるということが、余りにも冗長すぎるという批判から、今作は内容をぐっと凝縮することになったのだ。

 

 

ポイント

✅「ファンタジア」と「ファンタジア2000」は曲数は同じだが、上映時間が大きく異る。

✅冒頭に、「音楽をどのようにアニメ化するのか?」という点が明示される。

ウォルトの目指した「ファンタジア」

 

もともとウォルト・ディズニーは1940年に「ファンタジア」を制作してから、ある考えを持っていた。

それは「ファンタジア」の演奏演目を入れ替えながら、常に「新陳代謝」をしながら、ずっと「新鮮」な気持ちで見れる作品にしようというものだ。

 

そういう意味ではこの「ファンタジア2000」は「リメイク」というよりは、このウォルトの考えを60年ぶりに具現化した作品だともいえるのだ。

 

 

そして、このウォルトの意図を知ることで、逆算的に「オムニバス期」の作品が、なぜ「ファンタジア風」だったのか?
つまり、「音楽を映像化」するものが多かったのか腑に落ちた。

 

編集長
具体的には「メイク・マイン・ミュージック」「メロディ・タイム」なのだが

 

それは恐らく、「入れ替える演目」を作っていたからではないだろうか?
だが、結局1940年当時にして「ファンタジア」はヒットせず、結局演目を入れ替えての「ファンタジア」を再上映することはなくなり、お蔵入りした作品の数々。

 

それが勿体ないので「在庫品セットセール」のように繋げて、オムニバス映画を作ったのではないだろうか?

そう考えると、あの2作品に最低限の「つながり」がなく淡白な作品であったことに納得がいく。

 

まさか「総チェック」をしていて、1940年代の作品のナゾが、2000年の作品を見て解けるとは・・・。
これぞ「総チェック」の醍醐味と言わざるを得ない。

 

 

ポイント

✅ウォルトは「演目」を入れ替え「ファンタジア」を永遠に新鮮に保とうとした。

✅「メイク・マイン・ミュージック」「メロディー・タイム」のナゾが解けてしまった・・・。

各短編について

 

正直なところ、本作の評論はこれ以上語ることはない。
というのも作品の性質上、「音楽」を「映像化」しているので、深堀りしようもないし、それに意味があるとは到底思えないからだ。

 

前作「ファンタジア」では「宗教」と「アニメ」
その奇妙なバランスが「音楽劇」の中で語られており、まだ深堀りの余地があったが、そうした余地が今作では大きく削られている。

 

それは、まさに冒頭で示した「親切設計」であるが故なのだ。
だが、この「余地のなさ」が、前作ファンを裏切る結果になったのも事実だ。

 

 

つまり、この作品の短編は「明確に描きたいもの」を「描いている」ので、それ以上も以下も我々は受け取ることが出来ない、額面通りの感想しか抱けないのだ。

 

 

編集長
個人的には「前作」よりも理解しやすいのは「いいこと」だとおもうけどね

 

ということで、一応メモ程度に各演目について述べておこうと思う。

 

 

交響曲第5番(ベートーヴェン)

 

いきなり「ベートーヴェン」「運命」という大ネタ。

前作の「ファンタジア」が「トッカータとフーガ ニ短調」(J.S.バッハ)で始まったことを考えれば、つかみは上々といえる。
(バッハもすごいんだけど、インパクトは「運命」の方がありますよね?)

 

「ジャジャジャジャーン」、もしくは「ダダダダーン」という有名な動機に始まるのだが、この部分の解釈は様々ある。

この動機を「運命はかく扉を叩く」音だと言う人もいれば、「鳥のさえずり」という説もある。
正直前者の方がカッコいいのだが、それはさておき・・・。

 

 

 

編集長
上記の論争については、この書籍を読むのが、おすすめ!!

 

当然今作で「ディズニー」はこの楽曲に全く別の解釈を与えている。

滝から流れる水、そして最終的には「白いベガ」と「黒いベガ」の対決が描かれる。

今作では、このように解釈されている。

交響詩「ローマの松」(レスピーギ)

 

当然「ローマ」の一本松など、一本も登場しない。
クジラの物語になっている。

海を泳ぎ、最後には空を泳ぐクジラの大群。
正直に言おう、宇宙戦艦ヤマト的なるものが、大量に飛ぶ風景は「壮観」だったと。

ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュイン)

 

今作の中で一番「面白い」楽曲。

悩みを抱える各キャラクターの、鬱屈した日常を描き、そのキャラたちが「偶然」にも互いに影響をしあう様子を描く。

結果、全員が理想とする結果にたどり着く様子が描かれる。
一筆書きでNYの町並みを描くシーンが、今作で一番好きなシーンだ。

ピアノ協奏曲第2番~アレグロ(ショスタコーヴィチ)

 

「ピアノ協奏曲第2番~アレグロ」にあわせて、アンデルセンの童話「すずの兵隊」が描かれる。

人間のいない間に動く「兵隊の人形」「踊り子の人形」は、「トイ・ストーリー」を彷彿とさせる。

動物の謝肉祭より「終曲」(サン=サーンス)

 

フラミンゴに「ヨーヨー」を与えると、どうなるか? を描いた作品。

周りのフラミンゴにしてみれば、迷惑千万な話ですが(笑)

アイデアというか、発想がすごい短編。

 

フラミンゴ違い・・・

魔法使いの弟子(デュカス)

 

前作「ファンタジア」にもあった短編。
そのリマスターである。

恐らく、今作の派生である「ディズニーシー」の「ファンタズミック」で、ミッキーは勇ましく「君たちは僕の夢だ!!」と言ってヴィランズを倒す。(うろ覚え)
だけど、元ネタである今作をみると、この「夢を見る」という展開が、ただの「うたた寝」「不注意」というのがよく分かる。

 

 

ミッキーは、やはりこういう「お間抜け」さが可愛い側面がある。

あと、魔法で暴走する箒を殴打するシーンは、明らかに撲殺してるようにしか見えない。
赤いライトも明らかに「流血」なるものを意識させる演出になっているのも特徴だ。

最後に「テヘペロ」から、お尻をひっぱたかれるミッキーがかわいい。

威風堂々第4番・第2番・第3番・第1番(エルガー)

 

「威風堂々」にあわせて「ノアの箱舟」の物語が描かれる。

ドナルドとデイジーが登場するが、この2人「推し」の方は見るべし!

ドナルドとデイジーの不思議な、すれ違いを描いており、非常に見応えのある作劇になっている。

しかしドナルドはやはり「雑」に扱っても大丈夫だし、いいキャラしてるよ。

 

ちなみに「魔法使いの弟子」と「威風堂々」の幕間でのみ、いわゆるディズニーキャラであるミッキー、ドナルドの絡みが描かれるのも特徴だと言える。

火の鳥(ストラヴィンスキー)

 

「ウォルト」の名言「アニメとは旅」を象徴する一遍。

「火の鳥」と言いながら主人公は「水の精霊」
ある種「水の循環」言い換えるならば「水の旅」を描いているといえる。

敵である「火の鳥」に燃やされた大地に「水」が命を運び、再生する様子を描く。

 

「火の鳥」の死と再生を描かずに、でもその本質である「生命の円環」を描いている。
流石に素晴らしいと言わざるを得ない手腕だった。

今作品を振り返って

ざっくり一言解説!!

ウォルトのやりたかったことは、具現化出来た!

面白い試みもあったので、楽しめた!

まとめ

 

演目を入れ替えつつ、「ファンタジア」を常に新鮮に保つ。
そんなウォルトの野望を形にした作品である今作。

リメイクというよりは、理想化した再上映というのが適切な作品だったと言える。

 

各短編に工夫をしており、楽しめる要素も多かった。

そしてその工夫のおかげもあり、1940年の「ファンタジア」よりも、かなり飲み込みやすい作品になっていたのも事実だ。
だが、それが前作のファンからの不評を買ったのも事実である。

 

そして、これは「ファンタジア」でも指摘したが、そもそも「音楽」を聞いて、そこから何をイメージするのか?
それは各人の自由だ。

それなのに「ディズニー」のアニメーターや、作品監督のイメージを映像化すること。
そこに果たして「本質」として意味があるのか?

 

やはり、その点に今回も疑問に感じてしまったことは否めない。

 

 

まとめ

  • 各短編に工夫が見られるのがいい。
  • しかし、そもそも論で、「音楽」の映像化・アニメ化に意味があるのか? という疑問が再び生まれた。

 

 

さて、今回は非常に短い評論となりました。
次回は「ダイナソー」です!

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