ディズニー総チェック 評論

【映画記事】「ダンボ」−違いを恥じるな、違いを誇れ−【ディズニー総チェック】

2020年9月27日

 

さて、では「ディズニー総チェック」参りましょう!!

ということで今日は「ダンボ」です!!

 

編集長
可愛いダンボにメロメロになること間違いなしの作品

 

この映画のポイント

  • 自分の「弱さ」を「強さ」に変える物語。
  • 「弱さ」を抱えるものを「弱き者」が支える物語。
  • 予算が少なくなったことが、功を奏した作品。

 

ちなみにタイトルは、本田圭介さんのツイートがこの作品にピッタリだと思い、引用させていただきました。

 

人と違うことに恥じるな。

人と違うことに誇れ。

本田圭佑Twitterより

「ダンボ」について

基本データ

基本データ

  • 公開 1941年
  • 監督 ベン・シャープスティーン
  • 脚本 ジョー・グラント/ディック・ヒューマー/ビル・ピート/オーリー・バタグリア
    ジョー・リナルディ/ジョージ・スターリング/ウェッブ・スミス/オットー・イングランダー
  • 出演者 エド・ブロフィ/ハーマン・ビング ほか

 

あらすじ

サーカスの象ジャンボのもとに、コウノトリが赤ちゃんを運んできました。

ジャンボは、心からの愛情をもって大切に育てますが、その子の耳があまりにも大きかったので、ほかの象たちから“ダンボ”と呼ばれて仲間はずれにされてしまいます。

悲しみに沈むダンボを勇気づけてくれたのは、ネズミのティモシー

ティモシーは、その大きな耳を褒め、ダンボをサーカスのスターにしようと懸命に知恵をしぼります。

そして、ついに夢がかなう日がやってきます…。

ディズニー公式サイトより抜粋

怪我の功名か・・・?

とにかく可愛いダンボ

 

この作品を見ると「ダンボ」の可愛さに、のたうちまわる事は間違いない。

なんとも愛くるしいダンボの一挙手一投足を全て語っても良いのだが、それはこの作品を見ればわかる事だから、一々言及はしない。
しかし、その可愛さを堪能する。
それがこの作品の最大の楽しみ方だ。

 

なんでこんなにも「ダンボは可愛いのか?」
まずはこの点を切り口に語っていきたいと思います。

 

秘書
どうしてこんなに可愛いんだろう?
編集長
子どもの象が頑張るんだから、可愛いのは当たり前でしょ!

 

と言ってしまうと身も蓋もないので、ここまでのディズニー作品と、世間の反応について見ていこう。

 

ここまで「制作順」に「総チェック」をしてきたわけだが、まず「白雪姫」を大ヒットさせたディズニー。
そして「ピノキオ」「ファンタジア」と、確かにアニメ技術のレベルはどんどん向上したが、これらの作品を作った事で一気にディズニーは赤字に転落をしてしまったのだ。

 

その原因は!?

要約すると技術を注ぎ込み、製作費が膨れ上がってしまった。
そして、それだけの熱意とお金を注ぎ込んだにも関わらず、観客は好意的な反応を示さなかった。

 

さらにこの作品制作時には「第二次世界大戦」にアメリカも参戦間近。
融資も期待できない状況になっていたのだ。

流石のウォルト・ディズニーも「お金を莫大に使うのはダメだ」
”きちんとお金の管理ができる”「ベン・シャープスティーン」に監督を任せることにした。

つまり「ダンボ」は「節約して作られた作品」なのだ。

 

そのため、「ダンボ」は作品全体でディテール・描き込みを削ぎ落としてシンプルに作られている。
結果、少ない要素で動き、表情を作るダンボは可愛いのだ。

 

編集長
世の中にいる可愛いキャラってシンプルな要素が多いよね!

 

つまり「お金がない」という、ディズニーとすれば「大怪我」な状態が、こんなにも可愛いキャラクターをこの世に生み出すことになった。

これは「怪我の功名」だと言えるわけだ。

 

 

ポイント

✅ディズニーとすれば「マイナス」の状況が、「ダンボ」というキャラを生み出した。

✅「足し算」的思考が、良いキャラを作るとは限らない。

過不足ないランニングタイム

 

ちなみに今作品は「64分」とランニングタイムが短いのも特徴だ。

 

ランニングタイムとは?

映画の上映時間、テレビ番組の時間のことをさす

 

内容に関してはこれから後述するが、「ダンボ」という作品は非常に語りたいテーマと、ランニングタイムに過不足がない。
つまり、物語の持つ「カロリー」に対して、相応の時間で語り切られるということだ。

それはキチンと観客に物語の「伝えたいこと」を真っ直ぐに伝えるのに一番適した方法でもあるのだ。

 

これもディズニーが、あまりお金をかけずに「ダンボ」を作ったからなのだ。
まさにここにも「怪我の功名」があったと言うわけだ。

 

 

ポイント

✅伝えたいテーマが、過不足なく観客に届く作品。

違いを恥じるな、違いを誇れ

”違い”がダンボをつまずかせる

 

ダンボは耳が大きい。
それが他の象との大きな違いだ。

この物語の世界観では、赤ん坊は「コウノトリ」が運んでくる。

運ばれてきたダンボは、初めは母親や、他の象に可愛がられるが、その耳が巨大だったのだ。
そのことが、露呈するやいなや「気持ち悪い」「我々と違う」と仲間外れにされる。
「仲間外れ」とやや大人しい言い方をしたが、これははっきりと「差別」だと言い切っても構わない。

この作品は「他者との違いを”差別”される象の物語」なのだ。

 

ちなみに「ダンボ」を「ダンボ」と名付けるのは、意地の悪いおばさん象たちだ。

「DUMB」つまり「馬鹿」という意味の単語に「O」をつける、日本語だと「バカ夫」という意味だ。

「ダンボ=DUMBO」という名前は悪意の塊なのだ。

 

この耳が大きいという「身体的特徴」を最も浮かび上がるシーンがある。
それはダンボが大きな耳に自ら足を取られつまずくシーンだ。

これは自らの「身体的特徴」によって、自らが苦しんでしまうことを表しているのだ。

 

好きで耳が大きくなったわけではない。
その、どうしようもなさが本当に痛々しい。

 

しかもダンボの受難のはこれだけには止まらない。

母親のジャンボは、息子を虐める人間の子どもから守るために大暴れして、牢に繋がれてしまう。
ダンボは唯一の心のよりどころさえも失ってしまうのだ。

さらにはこの事件で、ダンボは仲間であるはずの象たちに無視されてしまうのだ。
(元々、ダンボのことを”耳が大きい”と差別している)

 

編集長
この、おばさん象たちは見ていて本当に腹立つんです!!

 

 

ポイント

✅ダンボの「身体的特徴」が、彼をつまづかせる、どうしようもない苦しみだと言える。

ダンボの仲間も「嫌われ者」

 

そんなダンボの友達になるのがネズミのティモシーだ。

ちなみに象がネズミを嫌いというのは「キリスト教圏」では広く知られていることらしいが、我々からすれば全く馴染みがない。
むしろネズミの方が象にビビりそうな気もするのだが・・・。
(このことに対する”科学的”な解説はこちらを参照されたし)

今作ではダンボが喋らないこともあってか、この物語の語り部の役目も果たすティモシー。

 

編集長
そんな彼がおばさん象たちをビビらせるシーンはスッとするシーンでもある

 

ティモシーは哀れなダンボを救ってやりたいと、努力をするがうまくいかない。

そんな中、落ち込んでいるところひょんなことから2人はシャンパンを飲み酔っぱらう。

 

ここで見る幻影は、正直やばいです・・・。
ファンタジアの「時の踊り」にもあった、動物のバレエダンスを彷彿させられる。

しかも色使いがファンシー・・・。
このインスピレーションの暴走には面食らいました!

 

そして酔い潰れた2人は、明くる日の朝、なぜか木の上で眠っていたのだ。

ここでティモシーはダンボが”飛べる”ことに気づく。
そこで出てくるのがカラスたちだ。

「飛べるわけないだろ」
と彼らは口々にダンボを馬鹿にする。

ティモシーはそんなカラスたちに、ダンボの”これまで”の説明をすると、彼らはダンボが飛べるように背中を押してくれるようになるのだ。

 

ここでダンボの仲間は「ネズミ」「カラス」だ。
正直なところ「現実」では、あまり好かれているとは言い難い動物だと言える。

そんな動物がダンボを支えるというのも、この物語の特徴だ。

 

隅に追いやられた、「マイノリティー/少数派」の痛み・境遇を最も理解できるのは、やはり「マイノリティー」なのだ。

同じ弱さを知るものこそが、真の意味で他人の「弱さ」「悲しみ」を共有することができるのだ。

そのことをダンボの仲間になる動物たちを通じて描いていると言える。

 

 

ポイント

✅悲しみを知るものは、悲しみを分かち合うことができる。ネズミとカラスが仲間になるということに込められた意味は深い。

足枷が「翼」になる

 

そんな「身体的特徴」に苦しめられていたダンボだが、最後はサーカスで象が飛ぶということを証明して見せて「スター」になり喝采を浴びる。

今まで他人に「嘲笑」「バカにされる」対象だった巨大な耳が「翼」に変わるのだ。

 

この物語で「身体的特徴」である「耳」は「治すべきもの」ではない。
むしろそれは「武器になる」のだ。

 

この耳が「ダンボをダンボたらしめる」
そして、それが彼の「他人にはない”誇れるもの”なのだ」

 

最後には無事に牢から解放された母親と共にダンボは、立派な専用列車に乗ってサーカスの巡業の旅を続けることになる。

そして「苦しめられた”違い”」を活かして、大活躍をするのだろう。

 

そこには「違いを恥じていた」ダンボはいない。
その「違いを誇る」ダンボがいるのだ。

 

 

ポイント

✅「耳」「身体的特徴」は治癒すべきものとして描かれない。

✅「身体的特徴」は「武器になり得る」というメッセージが込められた作品である。

 

今作を振り返って

ざっくり一言解説!!

−違いを恥じるな、違いを誇れ−

この言葉がぴったりな作品ですね!!

まとめ

 

この作品は「身体的特徴」を「差別」される象の物語だ。

特に序盤を人間に置き換えて再現されたら、とても見ていられないほど「辛い」展開になることは間違いない。

そんな「差別される」ダンボを支えるのは、あまり「好意的」には接しにくい動物「ネズミ」であり「カラス」なのだ。
彼らもどちらかというと、差別されがちな存在だ。

そんな彼がダンボの仲間になるのには理由がある。

それは、「弱さ」「痛み」を受けたことのあるものは、他人の「痛み」にも寄り添うことができる体。

 

そしてこの物語においてダンボを苦しめる「身体的特徴」は「治療」すべきものとしては描かれない。

ダンボはこの耳がある。だからこそ他の象とは違うのだ。

最後には「違い」を「誇れる」ようになったダンボ。

 

人と違うことは決して「恥じることではない」
そんなエールのようなメッセージに満ちた作品だ。

 

もちろん、見ていてサーカスで搾取される動物たちが可哀想にも見えたりもする。
特に象はかなり劣悪な労働も強いられている。

 

編集長
強いていうなら、サーカスを飛び出して、より良い環境でダンボが活躍するラストが良かったのかもしれない。

 

ただ、やはり一度は差別をされ、すみに追いやられたダンボが、同じ場所で、今度はスターになる。
そういうカタルシスもあるので、ここはやっぱりこのラストが相応しいのかもしれない。

 

なんにせよ、最後には「自分を苦しめたものが、自分を輝かせる武器」になったダンボ。

その姿を通じて作品はこういうメッセージを我々に投げかけているのだ。

−違いを恥じるな、違いを誇れ− と。

 

 

まとめ

  • ダンボをつまずかせていた「身体的特徴」が、最後には「誇れるものになる」
  • ダンボを支える動物も「マイノリティー」である。
  • 製作費を抑えたことが、功を奏した作品。

ということで、また「ディズニー総チェック」でお会いしましょう。
次は「バンビ」です!!

ディズニー総チェック 評論

2021/2/28

【映画記事】「ポカホンタス」−高い「志」を目指して・・・。−【ディズニー総チェック】

  さて今日も「ディズニー総チェック」していきましょう! ということで「ポカホンタス」について語っていきます。   編集長中々語るのが難しいタイプの作品がきましたね!ただ、"ポテンシャルは秘めている"作品であることは間違いない!   この作品のポイント 「美女と野獣」を越えようという、遥かに高い「志」 初の「実在の人物」を描いた「ディズニー長編アニメーション」 この挑戦で得たこととは? 長編アニメ視聴チャレンジ🏃🎬✨33作目『ポカホンタス』文化の違いを超えて⚡️34作目『ノー ...

ReadMore

ディズニー総チェック 評論

2021/2/28

【映画記事】「ライオン・キング」−王の資質とは?−【ディズニー総チェック】

  今日も「ディズニー総チェック」やっていきます! ということで、今回も名作・傑作と名高い作品「ライオン・キング」を紹介したいと思います。   編集長本当に濃ゆい映画体験出来る「黄金期」ですね!   今作のポイント 実質「美女と野獣」「アラジン」と「ライオン・キング」で三部作と言える。 王の資質とはなにか? 「サークル・オブ・ライフ」思想を深堀りすると・・・。   目次 「ライオン・キング」について基本データあらすじ「王の資質たるや」を描く作品実は「アラジン」の補完 ...

ReadMore

ディズニー総チェック 評論

2021/2/27

【映画記事】「アラジン」−前作と共通する要素を考える−【ディズニー総チェック】

  今回も「ディズニー総チェック」進めていきましょう! ということで紹介するのは、今回も名作「アラジン」です。   編集長「黄金期」はホント名作揃い!   今作のポイント 実は「美女と野獣」からテーマを引き継いでいると言える。 ここまで失敗してきた題材に挑戦。 目次 「アラジン」について基本データあらすじ「美女と野獣」との共通点/過去作のリベンジ要素「本当の自分」「偽りの自分」「王様の剣」「コルドロン」のリベンジ要素「囚われの身」である、アラジン、ジャスミン、ジーニー物語開始 ...

ReadMore

ディズニー総チェック 評論

2021/2/27

【映画記事】「美女と野獣」の”光と影”を読み解く【ディズニー総チェック】

  さて今日も「ディズニー総チェック」をやっていきます。 今回は、超人気タイトル「美女と野獣」について語りたいと思います!   編集長ココが最大の「総チェック」の山場!   この作品のポイント 「眠れる森の美女」の反省を活かす点。 言わずもがな作品クオリティは「文句なし」 今作が良すぎるあまりに、気づかれなかったテーマ的「危うさ」 露呈しなかった「ミス」の代償は大きかった。 目次 「美女と野獣」について基本データあらすじとにかく「美しい」作劇を心がけた作品「眠れる森の美女」か ...

ReadMore

ディズニー総チェック 評論

2021/2/17

【映画記事】「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!」を徹底解説!【ディズニー総チェック】

  さて今日も「ディズニー総チェック」をやっていきましょう! ということで「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!」について語っていこうと思います。   この作品のポイント 続編の強みを活かす作劇! なぜ「ビアンカの大冒険」に続編を作ったのか? 目次 「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!」について基本データあらすじディズニーの「正史(カノン)」初の続編作品!日本では劇場未公開という「不遇」続編の魅力とは?冒険と恋路ただ気になる点もなぜ「ビアンカ」に続編を用意したのか?/「地獄の門」が開 ...

ReadMore

-ディズニー総チェック, 評論
-

Copyright© Culture Club , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.