映画評 評論

【2022年新作映画】『大怪獣のあとしまつ』をあとしまつする!

今回は、公開初日から各社の映画レビューが荒れに荒れまくっており、SNSでも大炎上。

大荒れに荒れている新作映画『大怪獣のあとしまつ』

こちらを鑑賞してきましたので、作品の感想等を短く簡単に語りたいと思います。

 

編集長
スタンドFMでも好評配信中!!

 

 

あらすじ


ドラマ「時効警察」シリーズの三木聡(みきさとし)監督が「Hey! Say! JUMP」の山田涼介を主演に迎え、巨大怪獣の死体処理を題材に描いた空想特撮エンタテインメント。

 

人類を恐怖に陥れた巨大怪獣が、ある日突然死んだ。

国民が歓喜に沸く一方で、残された死体は徐々に腐敗・膨張が進んでいく。
このままでは爆発し、一大事を招いてしまう。
そんな状況下で死体処理を任されたのは、軍でも警察でもなく、3年前に姿を消した特務隊員・帯刀(オビナタ)アラタだった。

アラタとかつて特務隊で同僚だった環境大臣秘書・雨音(アマネ)ユキノを土屋太鳳、ユキノの夫で総理秘書官の正彦を濱田岳、爆破処理のプロ・ブルースをオダギリジョー、未曾有の事態に翻弄される総理大臣・西大立目完(にしおおたちめ かん)を西田敏行が演じる。

「平成ゴジラ」シリーズや「ウルトラマン」シリーズの若狭新一が怪獣造形を担当。

公式サイトより引用

 

 

 

 

「あとしまつ」が大変な映画である

さて、この『大怪獣のあとしまつ』を文字通り、どう「あとしまつ」すればいいのか?

相当悩ましいところですが・・・。
まず、僕なりの結論として、「少なくとも2022年、これより酷い映画を見れる自信はない」
2月にして、今年ワーストレベル、それも下方向に頭10個くらい抜けた作品だったと思います。

このダメさを説明するのにどうしても「作品の内容」を指摘していかなければならない。
つまりどうしたって、ネタバレ不回避なことになってしまう。

 

だから、どうしても「この作品が見たい」という方、山田涼介ファンの方。

 

そういう人は、ぜひ聞かず、そして評判もググらず、SNSでチェックせず今すぐ見てきてください。
まぁもしかしたら、面白いって思うかも知れないしね。
でも、100%、ほとんどの人がガッカリすると思うよ・・・。

 

 

いいところ!

さて、では、この作品のまず「いいところ!」
もちろん「良いところ」が全くない、ということはない。

そのポイントを一つだけ先に指摘しておく。
まぁ一個しかない時点で・・・、って感じですが。

 

唯一のポイントは「設定の面白さ」だ。
具体的に指摘すると、「怪獣の死体処理」という点だ。
特に日本では「怪獣特撮」がポピュラーなジャンルで、「ゴジラ」「ガメラ」など有名な怪獣が存在している。

見た事がなくても、聞いた事があったり、それがどういった物なのか、なんとなくイメージできるのではないだろうか??

 

さて、こうした作品で実は語られなかった問題、それが「死体」ってどうすんの?問題だ。

 

あんなにでかい怪獣の死体を、一体どのように処理しているのか?
それらは、確かにこれまで語られなかったが、考えればすごく気になるテーマなのだ。

例えばその際たるが「シン・ゴジラ」での「ゴジラ」の死体問題だ。
あれほど巨大な死体、そして「解凍」されれば再び進化して、形態変化し人類を滅亡させる、そんな危険な「死体」
それも「仮死状態」の物体があの世界には残されているのだ。

そうした過去の怪獣特撮で、実は不問にされていた問題をテーマにするというのは、これは非常に面白い試みだと言えるのだ。

普通にやれば、絶対に面白くなるし、今年は「シン・ウルトラマン」も公開される(確か5月13日公開)、こうした流れもあるので、日本人に再び「特撮」の面白さを伝える良い機会。
それこそジャニーズファンも巻き込んで、「特撮面白い」と認識させることもできる、大チャンスだったのだ。

 

ただ結果は「最低」「最悪」なものが生み出されてしまった。
そして、これがさらに「最低・最悪」なのは、普段「特撮」というジャンルを見ない人に「やっぱり”特撮”って面白くないんだ」と思われてしまう。
「特撮」というジャンルに対して泥を塗る行為に他ならないのだ。

 

 

 

 

 

ダメなポイント!

じゃあ何が悪いのか?

 

それについて触れますが、基本的に物語の構成自体は、突然の飛躍など問題もあるものの、まだ理解はできる。

 

「死体」処理をどの各省庁に任せるのか、現場監督は誰がするのか?
閣僚たちの世論を先読みしての、じき首相の座を狙うための暗躍。
そして主人公アラタやユキノ、マサヒコの関係性。

 

アラタの謎的な部分は正直「ウルトラマン」などを見ていれば、容易にオチは想像がつきそうなものだが、それでも「興味」をつなげる、物語の推進剤としては機能をまだしている。

編集長
まぁ正直予想していたとはいえ、その「オチ」にするなら、最初からその「手段」でやれば良くないか?というツッコミもしたくなるのだが・・・。

 

多少の物語的な「飛躍」はあるが、まだ許容はできた。
(ただし特撮的なリテラシーがないと、ここにも拒絶感はあるかも、他の特撮はもっと話の飛躍とかすごいし、それに僕が慣れている可能性もある)

 

ただ、この作品の問題点はそこではない気がする。

 

それは何か、この映画随所に「意味のない下ネタ」が多い。
そして、政治家への批判描写、某政治家、まぁ名前ぼかさず言いましょう、蓮舫です、まぁ彼女の行動自体は蓮舫プラス、小泉進次郎も入ってるんですが・・・。
とにかく、なぜか妙に政治家に対する批判があったり。
あと、某国家への明らかな皮肉、これも言いますけど「韓国」ですね。

 

別にこれらの要素そのものは悪くない。

例えば映画的にそれが「意味のある要素」になってれば、むしろこれは「良い点」にもなり得る(CODAの下ネタ描写はいい例)。
特定の政治家や、国家への「反対意見」
これも、作品というのは監督のメッセージを込めるものだから、そういう要素があってもいい。

 

ただ、今作においてこれらの要素は、ことごとくすべっている。
というより、明らかに作品のバランスを崩しているのだ。
簡単にいうと、「意味がまるでない」のだ。

 

これらの描写を通じて何が言いたいのか?

例えば怪獣の死体に「キノコ」が生える。
その中身がバラまかれると、そこら中の土地や人間に関わらず「キノコ」が生える。
だから、死体を処理する。

それ終盤まで、「なぜキノコ」なのか、その必要性もわからない。
だがそれが終盤明らかになる。

 

「染谷将太」が全裸でキノコが体から生えまくり、下腹部が黒くモザイクされる。

 

「一つだけおかしなキノコがある」と何度もこのネタをするのだが、それがことごとく滑るのだ。
なんなら「キノコ」である理由は、このネタをしたいがためなのか?と思わざるを得ないのだ。

 

 

 

 

結論:最悪!

一時が万事、このように作品のバランスを崩す描写の数々で、見ていて相当イライラさせられるし、「なんのためにこの要素があるのか?」
それが全く見えてこない。

 

そのため最終的に「どうでもいいわ」と思わざるを得ないのだ。

 

監督や、作り手の主義・主張が作品に込められること自体は、悪いことではない。
だが、今作では、それらが不必要に物語と乖離している。

というか、どう考えても無駄になっているので、見ていて興味を失わせるのは大問題だ。

 

逆にこうした描写を「特撮」に入れることで、「問題提起」しているつもりなら、どうしようもないですね。

このように今作品はとにかく、全体的に不必要な要素が多すぎて、これらが「真面目に映画を見る気持ち」を削ぐということになっているのだ。
正直出演者全員被害者で可哀想ですね。

 

菊地凛子とか、「パシフィック・リム」のオマージュで出したのか?
とか色々勘繰ったけど、出てくる必要性はまるでないし。

まぁ、そういう変な要素全部削って「山田涼介」周りの「死体処理チーム」の描写を中心に物語を構成すれば、全然「面白くなりそうな」テーマだっただけに、残念で仕方ない。

 

ということで、結論としては、申し分なく今年のワーストワンになることでしょう。

まぁもしも「時間・金」が有り余って、ダメな映画を「見たい」という物好きな方には「おすすめしてやろかい」

でも後悔するんだから、やめたほうがいいと思います・・・。






映画評 評論

2023/8/31

『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場』〜SEED新作に向けて、総チェック〜

今週、評論するのは久々のガンダム作品。 中でも大人気アニメシリーズ『ガンダムSEED』の再編集版がHDリマスターされ劇場公開され話題沸騰中!2024年1月26日には続編も公開するということで、この機会に「SEED」を再鑑賞して評論していきたいと思います。 ということで『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場』こちらを鑑賞してきたので、評論していきたいと思います。   目次 『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場』について作品概要『機動戦士ガンダムSE ...

ReadMore

ディズニー総チェック 評論

2023/8/27

『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』が伝えたいこと【ディズニー総チェック】

今回は久しぶりにディズニー長編アニメーションを鑑賞し、評論する【ディズニー総チェック】 評論するのは長編アニメーション61作品目で、ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品でもある。 『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』について語りたいと思います。   この作品のポイント 100周年のタイミングで「未来への提言」 この提言は「ウォルト・ディウズニー」的と言えるのか? 目次 『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』について作品概要基本データあらすじ冒険ものとして・・・。クレイド家男子の ...

ReadMore

PIXAR総チェック 映画評 評論

2023/8/19

『マイ・エレメント』〜完全なる私小説〜

  今回は「ピクサー」の27作品目となる長編アニメーション映画最新作『マイ・エレメント』 こちらの作品を鑑賞してきたので、感想を語っていきたいと思います。   目次 『マイ・エレメント』について基本データ あらすじ韓国系アメリカ人監督の語る「私小説」どストレートな恋愛映画腑に落ちないラスト 『マイ・エレメント』について   基本データ 基本データ 公開 2023年 🇯🇵8月4日 監督 ピーター・ソーン 脚本 ジョン・ホバーグ/キャット・リッケル/ブレンダ・シュエ 製作総指揮 ピート・ドクター 出演者 リー ...

ReadMore

映画評 評論

2023/8/15

やはり『バービー』は名作だった!

今回も新作映画を鑑賞してきたので、感想・評論をしていきたいと思います。 今回は、世界中で愛され続けるアメリカのファッションドール「バービー」を、マーゴット・ロビー&ライアン・ゴズリングの共演で実写映画化した作品。日本では8月11日より公開された『バービー』 こちらの感想を述べていきたいと思います。   目次 『バービー』について基本データあらすじ冒頭から爆笑の展開ケンという存在何者にならなくてもいい、そのままでいい完璧ではない、でも「それでもいい」 『バービー』について 基本データ 基本データ ...

ReadMore

映画評 評論

2023/8/9

『キングダム 運命の炎』はやはりすごい!

今回は、漫画家・原泰久による、累計発行部数9,500万部を超える同名タイトルの人気漫画を実力派キャストで実写化した「キングダム」シリーズ。 その、シリーズ第3弾となる最新作『キングダム 運命の炎』 こちらを鑑賞してきたので、感想を語っていきたいと思います。 目次 『キングダム 運命の炎』について作品についてあらすじ何度もいうが、ここまで出来ているのは「凄い!」静かな前半このシリーズ最大の功労者「大沢たかお」まとめ 『キングダム 運命の炎』について 作品について 基本データ 公開 2023年 監督 佐藤信介 ...

ReadMore

-映画評, 評論
-

Copyright© Culture Club , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.