映画評 評論

【映画記事】「カサブランカ」を見ると、突然元カノが現れた時に役に立つ

2020年5月8日

「君の瞳に乾杯」ってセリフは知っているけど、「カサブランカ」を見たことないという方々に届けたい。

ということで、今日は「カサブランカ」のご紹介。

この記事を読むと

①突然元カノが現れた時の対応がわかる

②過去に囚われていた男の変化に感動する

③昔の映画も面白いことが、改めてわかる

今作は、アメリカ映画ベスト100(2007年選出)
3位にランクインしてるんだよ!

「カサブランカ」について

基本データ

  • 公開 1942年(日本 1946年)
  • 監督 マイケル・カーティス
  • 脚本 ジュリアス・J・エプスタイン/フィリップ・G・エプスタイン
  • 出演 ハンフリー・ボガート/イングリッド・バーグマン/ポール・ヘンリード 他

▼あらすじ▼

「カサブランカ」それはまだ、独軍に占領されてない「仏領モロッコ」の都である。

この地は、暴虐なナチスの手を脱れてアメリカへ行くために、通過しなければならない寄港地である。

そのカサブランカには、アメリカ人リックが経営しているナイト・クラブがあり、
亡命者たちの溜り場になっていた。

ある時独軍の将校シュトラッサーは、
ドイツ側の飛脚を殺し旅券を奪った犯人を追ってこの町に降り立った。

旅券を盗んだウガーテはリークに旅券の保管を頼んだ。
リークはこれをピアノの中へ隠した。

その後フランス側の警察署長ルノーはウガーテを逮捕した。

そのあとへ、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラズロと妻のイルザ・ラント がやってきた。

2人はウガーテの旅券を求めてやってきたのだ・・・。

イルザは、この店の経営者がリックであると知って驚く。

独軍侵入直前のパリで、リックはイルザと恋人同士で、2人は一緒に逃亡することを約束していた。
が、約束の時間に彼女は姿を現さず、そのまま消息を断っていたのだった・・・。

Amazon DVD説明欄より抜粋

「カサブランカ」って一体どこ?(予備知識まとめ)

まずはざっくり、必要知識をまとめておくよ

カサブランカとは?

モロッコの最大都市。
金融、商業の中心で、観光都市としても知られる。

時代背景

モロッコは作中の時点で「フランス領」となっている。

その後、第二次世界大戦が開始。
ナチスドイツにフランスは降伏する。

ナチスはフランスに「傀儡政権」である「ヴィシー政権」を樹立。
フランスの将軍ド・ゴールは、イギリスに逃れ「自由フランス政府」樹立、抵抗を続ける。

フランス領モロッコにもナチスの支配が及び始めている、そんな時代の物語だ。

なぜ、カサブランカを目指すのか?

進軍するナチスから、アメリカに亡命のため、この地を経由する必要があるからだ。

当時のアメリカ

第二次世界大戦には参戦の意志なく静観。
その後、日本の真珠湾攻撃で参戦する。

ここまでの時代背景を頭に入れつつ
ここから、名作をネタバレしながら解説していくよ!

突然現れた元カノに驚く男の物語

他人とは関わりたくないリック

なぜか他人と深く関わろうとしない主人公の「リック」
そんな彼がカサブランカで経営する「アメリカン・カフェ」にはヨーロッパ中から亡命を希望する人間で溢れている。

それは彼が「亡命」するための助けをしてくれる。という噂を信じてのことだった。

真実として彼は情にもろい男ではある。

途中カジノで「アメリカ行き」の権利を勝ち取ろうとした女の夫を救済する描写がある。
ボロ負けしていたにも関わらず、イカサマで彼に勝たせるのだ。
自身の店としては彼らに負けてもらえば利益なのだが、それを度外視でだ。

そういう点から彼の心根の優しさは見て取れる。

だが、やはり基本的には他人と距離を置こうとはしている。
そんな彼だからこそ、ナチス寄りの立場であるカサブランカを牛耳る所長のルノーは親近感を抱いている。

このルノーは今作では非常に印象的な人物だね

運命の悪戯

しかし、そんなリックの前にある夫婦が現れる。

男の名前はラズロ。
どうやら反ナチス運動の先駆者であり、一度収容所送りにされたにも関わらず、脱獄。
ナチスにとっては超要注意人物だった。

そして、その妻を見てリックは絶句する。
その女性イルザは過去リックと将来を誓い合った愛した人だったのだ。

あらすじでも書いた通り、リックとイルザは陥落前のパリで出会い、互いに深く愛し合い、将来を誓い合っていた。
だが、パリを発つという時にエルザは現れなかったのだ。
リックは「捨てられた」と心に大きな傷を負い、パリを後にした。

このことからリックは女性に対して心を開かなくなるのだ。

そんな人物が突然、しかも夫を伴い目の前に現れる。
この衝撃たるや。

そしてラズロ夫婦はリックに「亡命」の手助けが欲しいというのだ。

これ、普通にショックだし
助けようとは、思わないよね

当然リックはその願いを断ることにする。

ちなみにリックが、女性に心を開かない描写として、イヴォンヌというキャラに対しての釣れない態度は注目ポイントだ。
「明日なら会える?」の問いかけに「そんな先のことわからない」と答える、この返答は超絶かっこいい。
だけどあまりにも冷たすぎる。これは日常生活ではきっと使うことはないと思う。笑

三角関係のロマンス

リックはイルザのことが忘れられず、何度も「手助け」を求める彼女に、「めちゃムカつく」「でもワンチャンあるんじゃね?」という気持ちを持ちつつ接触する。

こういう態度で、元カノに会うのはダメだなぁって勉強になる

どうしても手助けをしてくれないリック。
そんな彼にイラつくイルザ。
そこで起こる口論。

ラズロは「反ナチス」としてどうしても世界に必要な人間だ。
だけどリックは「自分のことばかり考えている」

通行手形を与えないのは「私に対する怒りからだ」
イルザは怒りからそうぶつける。

でも、リックはイルザに捨てられているんだから、こんなこと言われても・・・

でもイルザは事実としてリックをパリで愛していた、それは紛れもない事実なのだ。
だけども今はラズロを生きて逃したいと必死なのだ、そんな思いから「通行手形」を渡せと、イルザはリックに銃を向ける。

イルザはラズロを愛している。
だがリックも愛していた、その彼に涙ながらに銃口を向けるイルザ。

そんな二人の男性の間を揺れ動く彼女の心情は、後述するが非常にうまくこのシーンでは切り取れている。

イルザの真実

そしてついに観念したようにイルザは全てを話す。
なんとリックと愛し合っていた時、彼女は既にラズロの妻だったのだ。

パリにきた時点ではラズロは死んだと思っていたイルザ。
そんな彼女はリックと出会い、本気で彼と人生をやり直そうとしていた。
だが、ラズロ生存の一報を聞き、いてもたってもいられずリックを、結果見捨てたのだ。

見捨てたとはいえ、イルザは本気でリックとやり直しを考えていた
だけど結果ラズロを選んだんだ

利己的な考えを捨てる

その後、事実を聞いたリックはイルザと今でも思いは通じていることを確かめる。
だが同時に、ラズロと彼女をカサブランカから逃がそうと決意する。

リックがこのように行動するのは、自分の愛した女性が「命がけで守りたい人」それを守ることにこそ意義があることに気づいたからだ。
そして「利己的」に生きていた彼が、初めて「世界のためにラズロ」を助けて、ナチスに勝利するための行動をしようと決める決意でもある。

リックというキャラは当時の「アメリカ」そのもののメタファーだ。
戦争に関与しようとせず、自分のことだけを考えてカラに閉じこもっている。

そんな存在が世界の為に行動をする。それこそがアメリカの取るべき道だ。
このリックというキャラの行動こそ、この映画がプロパガンダ的だと言われる所以でもある。

最後にルノーを騙して二人を逃す際、リックはついにナチス将校のシュトラッサーに発砲する。
そして、二人をアメリカに逃す、これはイルザとの永遠の別れだ、だけどリックは「イルザとのパリの思い出があれば生きていける」と告げる。

彼は自分の辛い過去を乗り越え、イルザの幸せをラズロに託し、それを見送ることを選んだ。
こんなにも堂々とだ。

これこそが紳士的な態度の極みだとつくづく感じるシーンだ。

最後は世界の為にリックもナチスと戦う決意を新たに物語は締め括られる。

リックが過去にけじめを付け
新しい目的である対ナチスを胸に
スモークの中に消えていく姿は印象的だ

制作状況のドタバタ

誰も結末をわからず撮影

信じられないことにこの作品は「結末」がわからずに撮影をされていたのだ。
イルザが本当にラズロ、リックどちらが好きか?
それを決めずに撮影されていた。

だからこそ、イルザの迷う心の描写は、リアルなのだ。
演者もわかっていない。
本当にリアルな心情がそのシーンでは出ているのだ、だからこそ我々にはそのシーンは説得力が増して見えるのだ。

あえて説明しない、とかではなく
本気で決めてなかったらしい

だからこそ主演のボガートや、イルザ役のバーグマンは今作を「失敗作」と思っていたというのも有名だ。

さらにリックは作中イルザと会ってからイライラしているが、それはボガートが私生活で妻に不倫を疑われてストレスを感じていた。
それが現れていたというのもある。
偶然がこの作品に、リアリティを与えたのだ。

名台詞も脚本にはない

映画史に残る名台詞「君の瞳に乾杯」というセリフ。
ちなみに直訳だと「君を見つめらることに、乾杯」っていう意味で、ちょっと微妙な印象になる
「君の瞳に乾杯」という翻訳は本当に秀逸だったと言える。

ちなみに初見時このセリフがここまで「乱用」されると思ってなくて
びっくりした

これは、この映画のために「作られたセリフ」ではない、監督が別の作品で使おうとしていたセリフなのだ。

さらに「君とパリの思い出さえ・・・」というセリフ、これもアドリブだそうだ。
それほどドタバタした制作状況だったのが伺える。

歴史的側面

反枢軸国映画という側面

反枢軸国的映画と言われることも多い今作品。
歴史的背景から読み解くとその描写はすごく目立つのだ。

リックの存在がアメリカのメタファーというのは先ほども説明した通り。

例えば冒頭の対ドイツレジスタンスが撃たれる際の壁には「ヴィシー政権」のポスター。
ドイツ国歌に対して、ラズロが「ラ・マルセイエーズ」の大合唱、これは非常に印象的ながらもそういう側面が滲み出る。

これ以外にもルノーのミネラルウォーターなど、多くの反枢軸国描写がある

カサブランカはハリウッドだ

さらに今作の製作陣を初め出演者などは、多くがヨーロッパから亡命してきた人間だという点も特徴だ。

これは物語の「カサブランカ」という土地と同じ構造だ。
前述したようにこのカサブランカは、多くの亡命希望者で溢れかえっている、人種の坩堝のような場所だ。

ある意味で作り手の境遇が、この映画の舞台の状況とリンクしている。
これも、この映画に異常なリアリティが生じている一種の仕掛けではないか?

そういう意味でこの映画を作った「ハリウッド」の状況をそのまま「カサブランカ」に重ねることができると言える。

今作を振り返って

ざっくり一言解説!

元カノにも紳士的に対応しよう!

いくら過去に傷ついたとしても、その存在の未来の幸せを紳士的に願う
それが一番かっこいい対応だと学べるね!

まとめ

リックは愛する者の幸せのために身を引いた、その代わりに最後、彼は正義に目覚めた。
そこで真の友情に目覚め、ナチスとの戦いに彼も今後参加する、そういう予感をひめて物語が締め括られる。

彼はやはりアメリカそのもののメタファーなのだ。

こんなにもよく考えられた作りにも関わらず、今作は行き当たりばったりで制作された。
設計図なしで作られても、ここまでしっかりしたものが出来てしまうことがある。

映画というものの「怖さ」もしっかりと学ぶことができる。

時には予期せぬ偶然が、作品を化けさせることもある、そのことも本作では学べる。

もちろん、元カノが出てきた時、あまり過去のことにこだわり過ぎないようにしよう。
世の男性の「教示」となる作品であるということ、そういう点でも普遍的作品だと言える。

というわけで、今日も読了ありがとうございました!
また次回お会いしましょう!

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