映画評 評論

【映画記事】「アリータ バトルエンジェル」徹底解説!

2020年5月1日

「面白い」「面白くない」だけでは勿体ない。
今回、骨の髄まで映画をしゃぶりつくす映画はコチラ!

「アリータ バトルエンジェル」です!

この記事を読むと

①見ていないのが勿体ない気持ちになってくる

②不気味なアリータに感情移入してしまう理由がわかる

③ちょっとした問題点もわかる

ちなみに、ご覧になった方はどれくらいいるんでしょうか?
僕は昨年、かなり好感触を得た作品でしたが、あんまりヒットしていなかった印象ではあります。

しかし「人が評価しない」からといって、それが自分に刺さらないなどということはありません!

「人に評価されていない」だけど「自分は好き」そういうものこそ大切にしたい!

そういう思いで、今日も徹底的に解説していこうと思います!

「アリータ」ファンはもちろん、見たことない「アナタ」にむかって
この作品の魅力を今日は語っていくよ

「アリータ バトルエンジェル」について

基本データ

  • 公開 2019年
  • 監督 ロバート・ロドリゲス
  • 脚本 ジェームズ・キャメロン/レータ・カログリディス
  • 制作 ジェームズ・キャメロン/ジョンランドー
  • 原作 木城ゆきと(「銃夢」)
  • 出演 ローラ・サラザール/クリストフ・ヴァルツ/ジェニファー・コネリー/マハーシャラ・アリ 他

なんと言っても日本の漫画原作をハリウッドの超大作で実写化した点は見すごせないね!

▼あらすじ▼

地球と火星連邦共和国(URM)間で起こった「没落戦争=ザ・フォール」から300年。

空中都市ザレムの下に位置するスクラップの街アイアンシティでは、体の一部をサイボーグ化した人間と生身の人間が共に暮らしていた。

サイバー医師のイドはある日、鉄くずの中から頭部だけが無傷で生き残ったサイボーク少女を発見する。

そして少女に機械の体を与えてアリータと名付ける。

記憶を失いながらも、イドやヒューゴとの生活の中で人間性を獲得していくアリータ。

だが、彼女には重大な秘密が隠されていた。

ここから、ネタバレは含むので注意!

何者でもない「アリータ」が手にするもの

人間としての心を得る

この物語はアリータが「人間の心」を学ぶものだと要約できる。

元々、ゴミ山に見向きもされず捨て置かれた「サイボーグ」
そんな、彼女にサイバー医師のイドが、「ボディ」そして自身の亡き娘「アリータ」の名前を与えたことで物語が始まる。

この時点でアリータは、何も記憶を持たない存在だ。

そして「人間」ではない。

人間の姿を模した「サイボーグ」なのだ。

それゆえに自問自答をする。
「自分は何者なのか!?」と。

そこで「ヒューゴ」という青年と出会い、彼との交流で少しづつ「人間」に近づいていく。
「愛情」という感情を持つことで・・・。

この作品のCMなどで、「アリータ」のビジュアル面に不気味さを憶える、という声は多数あったよね
今作品はそこを物語の進行と共に消し去っていくんだ!

この作品の冒頭の見所は、「サイボーグ」であるアリータのビジュアル面に対する我々の受け取り方の変化にあると言える。
不気味なほどに目の大きな少女。
明らかに人工的に作られた「異物感」を持つ存在であるアリータ。

だが、ヒューゴやイドとの交流で彼女が少しづつ「人間的価値観」を得るにしたがい、その「不気味」な嫌悪感を懐かざるを得ない、そんな存在が「年相応」の女性に見えてくるのだ。

「心」は「人間」に近く、でも物語の進行と共に、彼女はより「機械」として完璧に近づいてしまう

身体の「狂戦士」化

だが、アリータは物語の中盤で失われた遺産である「狂戦士の身体」を手に入れてしまう。

ここまで、例えば「ハンターライセンス取得」後、ヒューゴと共に「犯罪者グリュシカ」との共闘を訴えようとしたシーン。
そこで「曲者揃いのハンター」相手にかます強烈な悪態、ジョークなど、明らかに楽しんでる様子が伺えたり、そこでハツラツと大ゲンカのど真ん中で立ちまわる姿。

そこには、物語中幾度となくフラッシュバックされる「過去の記憶」と思しき姿。
つまりかつて「火星連邦」の戦闘マシーンだった頃の淡々とした雰囲気はない。
人間的魅力にあふれているのだ。

ナルシストハンター、ザパンに対して「顔に金つぎ込んでるんじゃない?」という強烈な皮肉がよかったなぁ!

しかし、その戦いの最中ボディの大破。ここから物語が大きくうねり出す。
彼女は「狂戦士のボディ」つまり「戦闘マシーン」だった頃の「ボディ」を使うことになってしまうのだ。

そのボディは「超ハイテク機能」が搭載されており、凄まじいパワーを発揮する。

「人間的な心」を手に入れていたアリータ、しかしそれと反するかのように「身体」は「狂戦士」
つまり「サイボーグ」として完成に近づいていってしまう。

ヒューゴは「こんなにも人間らしい子は会ったことない」とアリータとキスをする。
その心は、誰よりも人間らしいのに、でも彼女はどんどん「人間」ではない「サイボーグ」つまり「兵器」として完成に近づいていくのだ。

悲劇にも高性能な「戦士のボディ」だからこそ、そのキスの感覚は何よりも鮮明になるという、後の展開の予見にもここはなっている。

対比となる「人間」描写

機械化する人間

この作品のもう一つの特徴は「アイアンシティ」の人間ほとんどが、身体のいずれかを「機械化」しているということだ。

それが際立つのがこの街で唯一の娯楽である「モーターボール」出場選手の身体だ。
彼らはこの野蛮なスポーツで勝利するために首から下をフルサイボーグ化している。

敵役であるグリュシカもそうだ。
奪い取った強化パーツ身体に装備し、その姿はもはや「人間」とは呼べないほどに変化していく。

こうした世界において「生身の身体」だからこそ「人間」という図式は成立しないのだ。

そして話は前後するが、その際たる例は「楽園」とされる「天空都市ザレム」の実情でもある。
誰もが羨むその場所の人間「ノヴァ」は「他人の脳に忍び込める」というテクノロジーを持っている、この世界の上流支配階級に属する人間は、もはや「個」という概念すら希薄なものになっているのだ。

「心」無き「人間」

そして身体的に「人間」であるという価値観が薄れた世界観で、多くの「人間」は「心」すら失いつつある。

アリータに父性を注ぐ「イド」も「ハンター」という裏の顔を持ち、犯罪者を殺すことを厭わない。
彼の元々の行動原理は「娘の敵討ち」だが、今ではハンター家業で手を血に染め、診療所維持費を稼いでいる。

そしてアリータ最大の理解者であるヒューゴもまた「心」を失っている。
「ザレムに行く」という夢を語るヒューゴ。

彼はある人物の指示で多くの「サイボーグ化された人間」を襲い、その義手などパーツを奪って売り捌いていたのだ。
そこには「人間らしい慈悲」という感情はない。ただ人間を「パーツ」だと思い強盗をこなすのである。

だが彼はアリータと出会い、その心情が大きく変化するのだ。

「心なき人間」であるヒューゴは、一番人間からかけ離れている「サイボーグの心ある少女」に救われる。
彼は自身のしていた行為をアリータとの交流を深めたことで「悔い改める」のだ。
そこで彼は勇気ある決断をする。

これは、後の大きな展開の伏線にもなっている。
この辺りは脚本の巧みさを評価せずにはいられない。

去っていく者たち

愛した者との別れ

この物語の後半、アリータは手にしたものを失っていく。

ヒューゴはアリータとの間で育まれた「愛情」で、彼は「心を取り戻す」にもかかわらず、彼は悲劇にも命の危機に陥ってしまう。
そしてなんとか命を繋ぎ止めるために、皮肉にも今まで「襲っていた」「サイボーグ」それと変わらない存在として生きるほかなくなる。

そしてイドの元妻チレン。
アリータという娘を悲劇で失った彼女。そして目の前に現れた無き娘と同じ名を持つ「アリータ」というサイボーグ。
最初はただのサイボーグだと思っていたが、情に流されてしまう。

チレンにとってアリータが、実の娘と重なってしまうのだ。そして彼女を救った結果、彼女は「殺されてしまう」
そして「整体パーツ」として「脳」などをバラバラにされてしまう。

この「脳」「目玉」を送る描写、この辺りの表現はストレートに見せており、それによって「理想郷」と呼ばれる「ザレム」の人間の異常性があらわになる。
この描写があるおかげで、その部分が強調されるので、ここを逃げずに表現したのは偉い!

地上の人間も心を失いつつあるのだが、「ザレム」の人間はもはや「人間」であるかもわからない存在だったのだ。

彼らは地上の人間の「整体パーツ」を利用して生き延びている、そういう存在であるというのが示唆されていたよね

こうした存在とアリータを比較すると、前述したように彼女はサイボーグだが、作品内で最も人間らしい存在として描かれている、我々はそこに感情移入をしてしまうのだ。

それでも残った「思い」

愛した者をどんどん失いながら、アリータは過去の記憶を取り戻す。
そこで自分の「生れた理由」を発見するのだ。

それは「ザレムを破壊せよ」という命令をこなす、そのために「生み出された」ということだ。
元々「火星連邦」のサイボーグ兵器としてその命令を実行するために存在していたアリータ。

かつての彼女の行動。
そこに本人の意思は介在していなかった。
ただ「生まれた理由」である「ザレム破壊」という命令をこなす「兵器」でしかなかった。

ザレム破壊のために生まれ、ただそれを実行する
そこに「自分の意志」は存在していない
それは彼女はかつては「兵器」だったということにほかならない

「ザレム」はアリータが愛した者たちを「利用」し、そして「奪った」
彼女に「人間」としての「心」を与えた存在たち、そんな存在を。

そんな経験は彼女に再び「ザレム破壊」を誓わせる。だがその経緯はかつてとは大きく異なるのだ。

地上で出会った「愛する存在」
それらを踏みにじる「ザレム」を許せない。そういう「怒り」
それは至極真っ当な人間的感情の揺れ動きにより生じた思いではないか?

自らの意志としてその決意を堅くしたアリータ。

過去の自分と行動は同じだ。だが、そこへのアプローチが過去と今では全く違う、アリータは「人間として」「ザレム破壊」を目指す。
その意志を堅くするクライマックス。

悲劇を繰り返し、「愛した者」を失った、でも悲しいかな、その経験すらも「彼女に人間的な判断」をさせる要因にもなったのだ。

だからこそ、その「ザレム」に対して掲げる「刃」
そこで僕は「人間アリータ」としての姿を見つけてしまった。

ちょっとした問題点

ただ、まぁ少し問題点もある作品だとは思います。

ヒューゴの描きこみ不足は否めない

まずヒューゴ。
彼がどうして「ザレム行き」に固執しているのか、そういう描写は深掘りしておくべきではなかっただろうか?

「非人道的行為」である強盗犯罪。
彼がそのような行為に手を染める理由がキチンと描かれないので、アリータと出会い、それをやめる。
それがどれほどの「重い決断」だったのかがイマイチ伝わらない。

アリータを愛して、自らの夢を捨てる、その描写が足りないというのは、これは小さくない問題でしょう。

ただ彼の存在自体が「因果応報」
「獲物にしていた存在に自らもなってしまう」という悲劇性も含めて、良いキャラなんです。

ただ、その説明がない分、クライマックスで「不自由な身体」で「ザレム」を目指す。
ここまでそこを目指す理由は何があるんだろうか?
まぁ下界にいれば「殺される」っていうのもわかるんですけどね・・・。

彼の「ザレム行き」の理由の消化不良感は小さくない問題だよね

イドと「古舘伊知郎さん」問題

あとは「イド」
これは「ザレム」からすればもはや超危険人物でしょ、なぜ彼の命を狙う描写とかがないんだろうか?

ただこれは、おそらく続編も「できればやりたい」という思いもあるんでしょうから、もしも次回作があれば、この疑問は解消される可能性は高いと思いますが。

続編を明らかに意識したラストカットだし、それに期待は十分しているよ!

あと、これはもう言っても仕方ないけど、吹き替えの「モーターボールシーン」
ここは迫力満点で楽しいシーンだよ、でも実況が「古舘伊知郎さん」っていうのはどうなんだろ?
ちょっと世界観にあってない気がする・・・。

今作を振り返って

ざっくり一言解説!

アリータの魅力爆発だね!

最初は本当にアリータの造形に違和感しかなかったけど、観賞後はその魅力にやられてたんだ

まとめ

必死に人間として「生きた」結果の悲劇。
それらの経験を経て最後にはサイボーグとして「生まれた理由」人間としての下した「決意」

それらは同じ「ザレム打倒」だが、そこに至る理由は、やはり彼女が「人間」として下した結論だと言える。

打倒を誓う相手は「人間」でこそあるが、思考に「人間性」などはない存在だ。

人間・サイボーグの境が曖昧な世界で、一番人間的なアリータ。
その姿はやはり大きな見所だと言える。

そして、やはり日本漫画原作でここまでクオリティの高い作品として仕上げてくれた製作陣には本当に感謝ですね!
でも、なんでヒットしなかったんですか!?
日本原作だし、そういう意味でも「クールジャパン」とかいうなら、この映画もしっかりみんな見よう!

「アリータ鑑賞」これはまぁ国民の義務でしょう!笑

というわけで本日もお疲れ様でした!
また次の機会に・・・。

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