ディズニー総チェック 評論

【映画記事】「ふしぎの国のアリス」−何度見ても、意味不明なのが良い−【ディズニー総チェック】

2021年1月4日

 

2021年、最初の【ディズニー総チェック】
ということで、本日は「ふしぎの国のアリス」について語りたいと思います。

 

編集長
正直、語るのが大変な作品です!!

 

この作品のポイント

  • 「意味不明」である。それでいい!

「ふしぎの国のアリス」について

基本データ

基本データ

  • 公開 1951年(日本 1953年)
  • 監督 クライド・ジェロニミ ハミルトン・ラスク ウィルフレッド・ジャクソン
  • 脚本 ウィンストン・ヒブラー ビル・ピート ほか
  • 出演 キャサリン・ボーモント ほか

 

あらすじ

アリスと一緒に白うさぎのあとを追って、なんとも奇妙な世界へ飛び込もう。

不思議な世界を進むにつれ、ますますおかしなことが巻き起こる。

マッドハッター、3月うさぎ、トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム、チェシャ猫、ハートの女王を始め、一度見たら忘れられない風変わりなキャラクターたちがみんなを待っている。

ディズニープラスより引用

何度も挑戦した「アリス」映像化

「アリス・コメディ」と最初の断念

 

ウォルト・ディズニーは何度も「ふしぎの国のアリス」の映像化を試みている。

この作品は「ルイス・キャロル」の「ふしぎの国アリス」が原作となっている。
この作品は有名な話だが、実在した「アリス」という少女のために、彼が書いた作品だ。
それが後に出版され、瞬く間に大ヒットした。

 

そんな原作をウォルトは何度も映像化しようと試みた。

 

その中の一つが1920年代に作られた「アリス・コメディ」シリーズだ。
その原案となったのが「アリスの不思議の国」という作品だ。

ちなみに、この作品はウォルトのキャリアの中でも最重要の作品と言っても過言ではない。

 

この作品は、アリスがアニメのスタジオに入り、アニメが作られるのを目撃するところから始まる。

アリスはその目撃したもの、アニメのキャラクターが生き生きと動いているのに驚く。
その夜眠りについた後、アニメの世界に入り、全てのキャラクターが歓迎してくれるという夢を見る。

アリスはライオンの群れが檻から離れ追いかけられるまで、キャラクターたちと一緒に遊んだ。

 

編集長
作品の特徴としては、実写とアニメーションを組み合わせてる点だね!

 

このようなあらすじの「アリス・コメディ」だが、明らかにこの作品は「ふしぎの国のアリス」からアイデアを拝借しているとしか思えない。
個人的には、明らかに「不思議の国のアリス」の一度目の映像化だと言ってもいいだろう。

そしてこの「アリスの不思議の国」は人気を呼び、後にシリーズ化。
ウォルトは何とか、アニメづくりを続けることが出来るようになり、その後「オズワルド」というキャラを生むことになる・・・。(それは、また別の機会に・・・)

 

そして、1940年「白雪姫」制作後、「ふしぎの国のアリス」制作を企画していたが、大戦が始まり結局、計画は頓挫。

その実現は戦後にまで持ち越されることになる。

 

このように実は作品制作を何度もトライしていたという経緯がある。

そんな経緯を踏まえて作られた「ふしぎの国のアリス」だが、公開当時は批評家・一般受けが悪く。
再評価されるのは1970年代の再上映まで長い時間がかかることになった。

 

ポイント

✅「アリス・コメディ」「一度目の断念」と何度か、制作の企画はあった。

✅念願叶えての上映、しかし当時は評価されず。

とにかく「シュール」な作劇

徹底的なナンセンスさ

 

この作品を見て感想を述べるのは難しい。
なぜなら、とにかく、ひたすら「ナンセンス」「シュール」さが画面・物語を支配し続けるからだ。

それは、原作がそもそも「ルイス・キャロル」が「アリス」にせがまれて、その場しのぎで作った「即興」の物語だからだ。
しかもルイス・キャロルは、どうやら物語に「意味を込める」というのに拒否感があったと言われている。
だからこそ、この「不思議の国のアリス」には「意味がない」のだ。

物語のエピソードに因果関係はない。
これほど「劇映画」にし辛い題材もないだろう。

 

だが、この「ふしぎの国のアリス」「ナンセンス」「シュール」をある意味で「映画」として力ずくで形にしている。
それもまた事実だ。

実は非常に残念な作品だらけの、オムニバス期でも作品内で随所に「ナンセンス」「シュール」な短編はあった。
そこでは、ただ単に「意味不明」で「意図不明」になった要素を、こうして一本の映画に成立させているのは、ここまでの流れを知っている身としては、大したものだと言わざるを得ない。

 

そしてこの作品は、実はアリスの見ていた夢。
つまり「夢オチ」なのだが・・・。

ちなみにこの「夢オチ」
あまりにも話しが荒唐無稽過ぎて、どうしようもなくなって「夢」ということにしたのではないか?
と思ったりもするのだが。

 

「夢」というのは、やはり「シュール」で「ナンセンス」そこに常識は通用せず、不可思議に満ちている。
実は「夢」というものの「本質」を表しているとも言える。

だからこの作品が「夢オチ」で終わるのは、実は正しいといえば、正しいのだ。

 

そして、「夢」には見ている者の「強い主張」が反映されることもある。

アリスは、「世界がむちゃくちゃ」「デタラメ」なことを「よきこと」と考えていた。
だから歴史の勉強は退屈だし、常識は「つまらない」と考えていた。

だが、彼女の思う「理想」を形作った「不思議の国=夢」で彼女は、その理不尽さに翻弄される。
本来望んでいた「世界」が目の前に存在している、そこにトキメキもない。

ただ、あまりの「意味不明さ」に心折られてしまう。

 

そして、恐らく彼女は目覚めてから、二度と「むちゃくちゃ」「デタラメ」が素敵なことと言わなくなったに違いない。

そういう意味でこの作品は、「子供の与太話・屁理屈」が実現すれば、これほど「恐ろしいことはない」という、教育的といえば、教育的作品だとも言える。

 

 

ポイント

✅「意味がない」ということを描いた作品。

✅だからこそ、そもそも「考察」「評論」も意味がない。

 

今作品を振り返って

ざっくり一言解説!!

そもそも「意味」を見出そうとしてはいけない!

考えるな!
感じろ!!

まとめ

 

そもそも「ふしぎの国のアリス」に「意味を求めてはならない」
これは「意味が不明」なことを描いた作品なのだ。

そのことを、また強く感じさせられてしまった。

そういう意味では、やはりこれは「夢オチ」なのは「正しい」のだ。
「夢」とは、そこに「意味がないし」「脈絡もない」のだ。

まさに「夢」こそ「ふしぎの国」と言える。

最後に僕の見た「ふしぎな夢」を紹介しておく。

「がくぜんやく」

癌治癒の薬の名前で、原料は「来来亭」のスープ。

この薬を飲んだ人々が怪物化してしまい、なぜか「来来亭」の社長の僕は、それにショックを受ける。
そして会社が倒産する。

こんな夢を見た。

これが僕の新年最初の「ふしぎの国」体験だ。
明日「来来亭」に行こうと思う・・・。

 

まとめ

  • この世界には「意味」を考えても「無駄」なこともある!!

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